ロシア軍に殺されるウクライナの戦場での若いロシア兵たち
ウクライナでは占領地のロシア軍とウクライナ軍との間で激戦が続いています。東部ハリコフ州などで大敗北を喫したロシア軍は、立て直しのためにプーチン大統領の命令によりロシア各地から30万人とも言われる徴集兵を半ば強制的にかき集め、大した訓練も施さず、貧弱な装備品のままウクライナの戦場に送り込んでいます。
ウクライナ南部ミコライフ州のキム知事は、ロシアが動員した徴集兵が既に南部戦線に配備され、多数が降伏を望んでいるにもかかわらず、脱走や降伏を防ぐ督戦部隊に監視されて戦わされており、多数の死傷者が出ていると10月12日に述べています。この督戦部隊というのが、かつてチェチェン戦争でも徴集されてそのままチェチェンの戦場に送り込まれて、大勢が命を失うことになったロシア軍の「伝統的」な戦い方のようです。
要するに若い新兵たちが大した武器も持たずに戦場に無理やり突入させられ、躊躇したり退却や脱走したりすると後方に控えたロシア軍の熟練兵から銃撃を浴びせられ、次々と殺されていったのです。
今回のウクライナの戦場でもチェチェン戦争と同様な事態になっているようです。チェチェン戦争だけではなく、第2次世界大戦の時もドイツ軍と戦っていた旧ソ連軍は、すでに同様のことを行って自軍の兵士を平気で射殺していました。だいぶ前に第2次世界大戦の激戦を描いた「スターリングラード」という映画がありましたが、その中にも督戦部隊の射撃の様子がちゃんと描かれていました。スターリングラード(現ヴォルゴグラード)を占領していたドイツ軍と戦うためにボルガ川を旧ソ連の若い兵士が、2人に一つくらいの銃しか与えられずに小舟に乗せられ突入しますが、躊躇する若い兵士に対して後方から熟練兵が銃を乱射して次々と殺されていく場面がありました。「なんて残酷な」と映画を観て思いましたが、その当時とまったく変わらないウクライナでのロシア軍の無慈悲な戦い方には愕然としてしまいます。
これではロシア兵の士気があがるはずもありません。そうした若いロシア兵に対してウクライナ側はSNSや専用サイトなどで投降を呼びかけているようですが、それに応じるロシア兵が少なくないのもうなずけます。こういう状態でロシア軍がウクライナでの侵略戦争を長期間続けられるはずもありません。
2022年10月16日 青山 正
(写真は1995年のチェチェンでのロシア兵)
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