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カタストロフと美術のちから展に行ってきた

こんにちは、チェ・ブンブンです。

昨日、六本木で開催されている「カタストロフと美術のちから展」に行ってきました。この展覧会は、東日本大震災やアメリカ同時多発テロなどといった、災害や戦争等の悲劇に対して、「アート」的アプローチでもって人々に気づきを与えていくことで、国際平和を実現していこうとするものとなっています。

東京国際映画祭に行った際に、CMで紹介されており、非常に興味を抱きました。

・異例!外国人ばかりの展覧会

六本木では、森アーツセンターギャラリーで「カードキャプターさくら展」が開催されていました。こちらは、長蛇の列ができており、入場するまで1時間待ちとなっていました。ブンブンも「カードキャプターさくら展」は気になっていたのですが、アルフォンス・ミュシャの絵をさらに神々しくしたような《さくらちゃん》の肖像を直視できる自信がなかったので、「カタストロフと美術のちから展」だけにしました。

さて入場して驚いたのは、美術展にしては人が少なかったということだ。ここ数年、日本の美術館は非常に混雑しており、到底作品と向き合える環境ではないと感じている。まるで、動物園でパンダを見るように、作品を流し見する。それだったら、本を買って鑑賞した方がいいなと思います。

そんな中、今回訪れた「カタストロフと美術のちから展」はガラガラでした。とはいっても東京国立博物館で先日開催されていた「マルセル・デュシャンと日本美術」よりかは入っていたのですが、テーマがテーマだけにもう少し人がいてもいいのではと思うぐらいガランとしていました。ただ、他の美術展に比べると異様に外国人の方が多かったです。

会場のアチコチから聞こえてくるのは、英語、中国語、フランス語、ドイツ語といった言葉。日本語は全く聞こえてきません。そして、非常に真面目そうなカップルや、家族が真剣に1つ1つの作品について感想を語り合っていました。

・いきなり瓦礫の山がお出迎え

入場すると、早速トーマス・ヒルシュホーンの《Abschlag》が眼前を埋め尽くします。瓦礫の山と化した建物の再現、まるで文化祭で造られるアトラクションのようにダンボール感が強調される。一見すると、虚構の産物に見えてしまうこの作品ですが、あまりに巨大な現実の惨劇を再現した虚構を前にすると、まるで当事者のような切なさを感じます。むしろ、これを本物の廃材や瓦礫を使って演出してしまったら、それこそ惨劇のレプリカ感が強調されてしまう。それを回避するような作りになっているのではと考えながら次へと足を進めていきます。

・国際平和を深めあう展示

中を進んでいくと、強烈な作品が次々と目に飛び込んでくる。災害の写真をジクソーパズルにプリントした作品や、沢山の手芸を並べたような作品などが会場に点在している。また世界各国で行われた企画を撮ったドキュメンタリーも会場の至る所で上映されています。そんな沢山ある作品の中から、ブンブンが気に入った作品4つについて紹介していきます。

1.《ブラックカラータイマー(平川恒太)》

ブンブンが中でも気に入ったのは、平川恒太の《ブラックカラータイマー》。遠くから見ると黒い点の集合体に見えるが近くから見ると、光の反射で、ガスマスクをつけた人の肖像が浮かび上がるという作品。原子力発電というのが恐怖の記号となってしまい、恐怖の本質から盲目になってしまう。個が見えなくなってしまっていることをハッと思い出させてくれる気がします。

2.《石鹸の通路(ミロスワフ・バウカ)》

ポーランドのアーティスト、ミロスワフ・バウカが制作したインスタレーション《石鹸の通路》。通路を歩くとほんのりと石鹸の甘い香りが漂う。まるでLUSHの店内を歩いているような気分になります。しかし、これはホロコースト時代、ガス室に送られる直前、ユダヤ人に石鹸を渡されていたという悲しい歴史を反映させた作品です。何層にも塗りたくられた石鹸には、殺されたユダヤ人の魂が込められています。現代アートの《意味》と《空間》の結合を訪問者に突きつけてきます。

3.《オデッセイ(アイ・ウェイウェイ)》

北京オリンピックの《鳥の巣》制作に携わり、来年1月には彼がメガホンをとった難民ドキュメンタリー『ヒューマン・フロー 大地漂流 HUMAN FLOW』の公開(2019/1/12よりイメージ・フォーラム)を控えているアイ・ウェイウェイの作品も展示されていました。

《オデッセイ》は、ホメーロスの『オデュッセイア』の世界観を現代の難民問題に投影させた作品です。遠くから見ると、古代ギリシアの壁画に見えるのだが、近づくと、難民の冒険譚や暴力の歴史が描かれているのに気付かされる。絵巻的時間の流れを最大限活かして、肉体的喧嘩が、槍による戦いに発展し、最終的に銃撃や爆弾による攻撃に発展していく様子、沢山の難民が船に乗って国を渡る様子などが描かれているのでじっくり観ていく必要があります。

4.《色を加えるペインティング(難民船)(オノ・ヨーコ)》

ラストはオノ・ヨーコの《色を加えるペインティング(難民船)》。本企画の目玉となっている作品で、展覧会の最後に設置されています。

入り口で、クレパとお手拭きをもらう。靴にカバーをつけ、作品の中に入る。

元々、真っ白なスペースに来場者が青のクレパスで国際平和に関するメッセージを書いていく。会期終盤だったこともあり、書けるスペースは少なかったのですが、外国人の来場者は皆想い想いに壁にメッセージを書き込んでいく、その空間には日本語は少なく、英語や韓国語、フランス語と様々な言語によるメッセージが全体に広がっていました。

ブンブンもメッセージを書きました。

"SEIZE THE DAY(今を生きろ)"

ここに書くべき言葉だと思いました。

・おわりに

「カタストロフと美術のちから展」は2019年1月20日(日)まで開催中です。災害や戦争は時が経つと風化してしまう。それを美術が留めておこうとする。美術はただ事象を魅せるのではなく、《ある視点》を観る者に提示することで、事象の本質について考えさせられます。これは一人で来ても十分楽しいですが、できれば2人以上で訪れることをオススメします。きっと充実した美術館体験となるでしょう。

「カタストロフと美術のちから展」公式サイト

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CHE BUNBUN
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