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フードロス削減で関係者の財布ロス
フードロスという文字が目につきます
私が食品業界に身を置いているからかもしれませんが…
ご存知の通り、食べ残しなど、食べれるものを捨てないでぇーってことです
おっしゃる通り!
以前、日本の食糧自給率について書きました
日本は輸入に頼っているわけで、それを捨てるとは言語道断です
日本人の1人当たりの食品ロス量は1年で約42kg
これは日本人1人当たりが毎日お茶碗一杯分のご飯を捨てているのと近い量となるらしい
なんとも凄まじい量です!
私なんか、お茶碗にくっついている一粒のお米を見落としてカミさんに叱られる日々です(汗)
社食でも残したことがありません!
ご飯の量を自分の食べれる量に自由に調整できるのに、ご飯を残す奴の神経というか、自己管理不能といいますか、なんせ、キチンと仕事が出来ない人です
何かの小説で読みましたが、戦国時代の殿様が自分の食べる量もわからない息子に、そんなことも判断できないやつが大軍を先導できるか!と一喝する場面がありました
まぁ、それを言いたかったわけです(汗)
フードロスを語るうえで、どうやって減らすかという議論と、減ることのメリットデメリット議論があるかと思います
ここでは、企業側から見たデメリットについて少し書かせてもらいます
まずですね、捨てる量を減らすとですね、消費量が減りますよね
ってことは、我々食品業界の販売数量が減るということなんでよね
つまり売上高が減っていくわけです
少し脱線しますが…
大きな声では言えませんがね、お刺身を食べる時に小皿にお醤油を入れますよね
食べ終わった後、小皿に残っているお醤油をペロペロ舐めてます?
捨てる人が多いと思います
その量って結構な売上高に匹敵するってメーカーの方にお聞きしました
元に戻りまーす
フードロスを減らすことで売上高が減る食品メーカーは、どうすりゃいいの?
生産量が減っても固定費総額が減るわけではないので、製品当たりの固定費比が一気に上がります
一つのやり方は、固定費を削減すること
10人で販売(製造)していたものを5人で販売(製造)すれば、固定費総額は減ります
売上が減っても原価率を下げて利益率を高める
これって、もう普通にやってます…
日々努力し続けていますよ
もう限界に近い状態じゃないでしょうか
そうすると、販売単価を上げるしかないんですよ
100円のモノが100個売れて売上は10,000円
10個しか売れないならとすれば、単純に価格を1,000円にするしかありません
余談ですが、たばこって、この理論で価格設定されているのをご存じですか?
増税すると、喫煙量が減少する
よって、減少するであろう量を試算して、増税分に更に加算しているんです
逆に言えば、想定よりも減少しなければ、その分利益の上乗せです
やるなぁーー
おっと、戻ります
ん?フードロスを減らすんだから、原料コストも減らせるだろう?
そうそう、そういう声も聞こえてきます。
例えば野菜を使っている会社がフードロス削減を謳って、廃棄率を下げる、つまり歩留をあげようと奮闘努力します
やったぁ!歩留あがったぞぉ!
振り返ると、人件費が倍近くになっています
という話が、結構な割合で聞こえてきます
何故なら、野菜って意外と不定形なので可食部分を最大限取ろうとすると人手でしか取れないケースが多いのです
今までキャベツの芯から5㎜分残していたのを4㎜にして1㎜加食部分を取ろうとすると芯が直線でないので機械では取れない
じゃぁ、4.5㎜に機械を設定すればいいじゃねぇ?
やれるならとっくにやっています
出来るだけ歩留を上げるよう試行錯誤した結果の5㎜なんですって
がんばってますよぉ!我々の業界も!
元に戻すと…
小売りさん(スーパーマーケット等)は、なかなか値上げを認めてくれません
「うちより安く売っているお店があるじゃないか!逆に値下げして欲しいぐらいだ!」
(いやいや、同じ価格で卸していますぉ おたくが儲けすぎているだけですよぉ あそこは利益を削って店頭売価を下げているんですよーー)とは言えない(汗)
食品会社の次の手は実質値上げです
パン業界を例に、内容量サイズを減らすやつです
内容量に併せて包材を変更すると、またまたコストが上がるので、極力現行包材で内容量を減らす
スカスカの菓子パンって時々店頭でみますよ(苦笑)
まぁ、昨今のベアアップ圧力で、しぶしぶ値上げを受け入れて頂いておりますが、現在の値上げは実質コストアップ分のみの値上げなので、見かけの売上は増えますが、利益は増えていません
製造販売コストアップ分+フードロスコストアップ分+利益増額分の値上げが無いと従業員のベアをアップさせる原資がないんですよ
問題は後ろ2つです
”フードロスコストアップ分”と”利益増額分”って、説明しにくいんですよねぇ
フードロスで減っているのか、人口減によって減っているのか、そもそも人気が無いのか…
適正利益っていくらなのよって…
ある意味いい値ということに受け取られます
だからこの部分の値上げは認めてもらえない…
製造業で最も生産効率が低いのが食品業界です
自動車メーカーのように機械で同じものをポンポン製造できないんです
農業も含め、人力で頑張るしかないんです
フードロス削減は、絶対に必要です!
でも、そのコストを農家をはじめ食品関係者だけに、押し付けないで欲しいのです
国民・世界人類に公平に負担して頂くよう、平に平にお願い申し上げまする!
ここで終わるつもりでしたが…
世界と言えば、中国?
あれだけの人口がいる上に、食事を全部平らげるのではなく、残すのが礼儀だと聞いたことありません?
最近では少し変わってきつつあるようです
2021年4月、「反食品浪費法」が制定され可決
国をあげて食べ残しを無くす動きに変わってきています
このなんともいえない名前の法律ですが、過剰な食べ残しをした客に対して、店側が処分費用を請求できるという法律です。大量注文で食べ残しが発生した場合、最大1万元(約22万円)の罰金が科されることもあるようです
また、大食いを取り上げた番組や動画配信も禁止で、違反者には10万元(約220万円)以下の罰金とのこと
日本では、そういう番組や動画が結構多いですよね
人生100年時代、過食も体によくなさそうだし、そろそろ法案化もありかもしれません