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「長年の勘だね〜。」

私はあまり料理が上手じゃないように思う。
毎日自炊はするし、ちゃんとレシピを見て分量も守る。…最初はね。

この「最初は、」っていうのが私の悪い癖で、「この前美味しく出来たから今回は目分量でいいでしょ〜」とか、「このスパイスはいい香りだから合うんじゃない?」とか、勝手に食材を足したり、引いたりしていると、最終的になんのこっちゃわからないメニューになることが多々ある。

この間はお好み焼きを作った。自慢じゃないけれど、私は数年前まで大阪に住んでいたのだ。だから粉物は任せとけ!という無意識の自負があったり、なかったりした。(どっちだよ。)
そして、意気揚々と作り出し、意気揚々と失敗した。
お好み焼きなんてどう失敗するのかと自分でも思うが、失敗の原因は見当が付いている。

薄力粉に片栗粉を混ぜたのだ。
これには私なりの理由があった。
チヂミを作る時、片栗粉を混ぜるとモチモチして美味しくなる、だからこれをお好み焼きにも応用しよう!と思ってのことだった。
これがまあ笑っちゃうくらいに大失敗。
表面はカリカリなのに中がモチモチというかフニャフニャというか、とにかく気持ち悪い食感に仕上がってしまった。
大失敗だな〜と笑いながらも、
ソースとマヨネーズのコンビネーションに救われて
なんとか1枚を完食した。


そういえば、うちの母は料理がとても上手だ。
食卓にはいつでも美味しい料理がズラリと並ぶ。
けれど母の料理が格段に美味しくなったタイミングを私ははっきりと覚えている。
それは母がレシピサイトを覚えたときだ。

それまでは料理本や古ーい料理雑誌を元に作っていたから、美味しいけれどレパートリーは増えなかった。
ところがどっこい、レシピサイトを覚えた日から
食卓に並ぶ料理は激変した。

焼く、煮つけるだけだった魚料理は、香味揚げやアクアパッツァなんてカタカナ満載の料理に大変身したし、
笹の葉で包まれたチマキが出てきたときには、流石に母とチマキを二度見した。

「お母さんってなんでこんな料理が上手なの?」と聞くと
「長年の勘だね〜」と母は答える。
(レシピサイトのおかげも大いに有り。)と私は心の中で
小さく突っ込みながらも母の言うことも絶対的に正しいことは知っている。
これまでの、30年以上の、毎日の料理の経験が、
母のご飯を美味しくしているのだと思う。

そう考えるとね、私は自炊を始めてまだ2、3年のひよっこ。
失敗して、経験を積んで、勘を鍛えて、
おいしいご飯が作れるように、気楽に楽しもうと思う。

いつか子どもを授かったときに、
「お母さんってなんでこんな料理が上手なの?」
って聞かれることが第一目標。

そしたら間髪入れず私も言いたいな。
「長年の勘だね〜。」

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