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どうしても見たい展示があって姫路に行ってきました

長いようであっという間だった夏季休暇が終わってしまいました。私は実家に帰省はせず、一人こっそり姫路に行っていました……というのも、なんとしてでも、どうしても、見たい展示があったからです。

志村ふくみ展 いのちを織る

志村さんを知ったのは6年前。織物作家になりたかった私は、都内で行われた志村ふくみさんの展示を見に行きました。当時は草木染の色の美しさに圧倒され、過去に学んだこと作った作品を思い返しましたが、おそらくその記憶の整理だけで終わってしまっていました。
だけれど、心動かされた記憶はずっと残っていました。だから今回、姫路まで足を延ばしたのです。



6年前に受けた衝撃とは全く違いました。ずっと頭のどこかで考えていたことを答え合わせができたような感覚。色を見て、作品を見て、志村さんが染織に取り組む姿勢のもとになる文脈を知り、世界観や大事にされていることを全身で浴びた。そんな感覚を持ちました。

ミクロとマクロを行ったり来たりしながら織り上げる作品はどれも美しく、紬だからこその素朴で柔らかな表情が見える生地と、その一方で草木染の色は優しくも自然のパワーを感じます。1点ずつ立ち止まってじっくり見て、タイトルと解説を見て、またじっくり見て…その繰り返す時間の幸福感。できるだけ鮮明に色を読み取ろうとして、ガラスショーケースぎりぎりまで目を近づけて、角度を変え、距離を変え、様々な角度でじっくり見つめていました。

家の中で過ごす時間が多くなった今年、移り替わる季節に目を向ける機会が少なくなったような気がします。時間は常に流れ、季節に合わせて自然も変化しているのに、なんだかまだ春に取り残されている気分。こんなにたくさんの色に囲まれているのだからと、そのインプットから作品を作っていた時期もありました。気づけなくなてしまったのは、東京にいるからなんて理由ではなく、私自身の季節のアンテナが弱まっているのかもしれません。

そんなことを思い出し、考えさせてくれた良い機会となりました。思い切って行ってみて本当に良かったです。

こちらの展示は8/30まで。
ご興味あれば、ぜひ行ってみてください。

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