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Chatworkのリブランディングのプロセス

こんにちは。BX部の新免(@melange_t)です。
2021年8月25日、Chatworkはサービスのリブランディングを発表しました。Chatwork10周年という節目の今年、リブランディングを実施するに至った経緯や、リブランディングの開発プロセスを紹介します。

リブランディングの背景

今回、リブランディングをおこなった背景は大きく2つあります。

1. 機能訴求だけでは選ばれなくなった
Chatworkが2011年3月にサービスをリリースした当時、「ビジネスチャット」という言葉もなく、競合も少ない中でWebマーケティングや口コミだけでサービスが広がっていくような状況でした。リリースから10年が経ち、ビジネスチャット市場も確立し、これからビジネスチャットが当たり前になっていく中で、単に機能差だけでは選ばれづらくなる状況が見えてきました。

その中で、「Chatwork」が目指す世界観であったり、考え方に共感してもらい、選ばれるプロダクトとして更に成長できるように、ブランディングを会社として意識するようになりました。

2.「Chatworkらしさ」が見えない
組織的にも大きくなり、さまざまな関係者が「Chatwork」を発信するようになったのですが、ブランドやデザインの一貫性が担保できなくなってきた背景もあります。「一貫性を持ってデザインをする」といっても、そもそも「Chatworkらしさ」というものがどういったものなのか明確なものはありませんでした。

その曖昧なものを明確にし、社内に浸透させ運用できるブランドを構築する必要性があり、リブランディングのプロジェクトが2021年1月からスタートしました。

プロセス1 : パートナー探しからスタート

もともと社内でブランディングをやろうと考え、書籍やWebで情報を集め、ブランドの考え方や、ブランド戦略構築のためのフレームワークなどを勉強しつつ、試行錯誤をしながら進めていました。書籍などにある情報はとても参考になるのですが、事例になっている企業規模も違ったり、フェーズも異なっていたりして、なかなか思うように進めることができませんでした。

そこで、ブランド戦略を専門とする会社に入ってもらうことにしました。専門の知見を持った会社に入ってもらうことで、リブランディングのプロジェクトをしっかり進めることができ、自分たちもブランドの作り方を学ぶことができるということで探し始めました。いろいろな会社に話を聞き、選ぶ中でいくつかポイントがありました。

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出来上がったものを納品してもらって終わりではなく、納品後も自社でブランドを育てていける基盤作りが必要だと感じていました。そのため、外部にリブランディングを丸投げするのではなく、パートナーとしてブランドを一緒に作り上げていける会社を探していました。

その条件を満たしていたのが、今回一緒にプロジェクトを進めていただいた「LANDOR & FITCH(以下、L&F)」でした。詳しい経緯などは、弊社代表の山本と、L&Fのゼネラル・マネージャー兼エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターの大島様の対談記事の中でも紹介しています。

【スペシャル対談】ビジネスチャット「Chatwork」のリブランディング

プロセス2 : 役員や社内メンバーを巻き込み「Chatworkらしさ」をヒアリング

リブランディングをおこなうにあたり、まずは社内メンバーが感じているChatworkの強みや課題、将来像などをワークショップを通し洗い出していきました。直接プロジェクトに関わっていないメンバーも含め、20名ほどでmiroとZoomを利用しながら意見を出し合いワークショップを行いました。また、役員は別途インタビュー形式で、1人ひとりヒアリングを行っていきました。

プロジェクトメンバーに関しても、社員ワークショップ同様、コンセプト開発のワークショップを行い、プロジェクトメンバー以外の意見、役員の意見を含め、Chatworkの強みや課題、将来像などをまとめていきいました。

社内メンバーを巻き込むことで、プロジェクトメンバーだけの視点だけではなく、違う視点からの考えや意見を聞くことができます。またブランド戦略策定のプロセスに関わってもらうことで、「Chatworkらしさ」とはどういうものかを一緒に考え、ブランドについて興味を持ってもらうことができました。ブランドを作って行くにあたっては、社内をいかに巻き込むかということも非常に重要になります。

ワークショップの結果を見て、Chatworkのもつ強みや独自性、課題感などは、自分が思っていたよりも、みんな同じ方向を向いているなと感じました。一方、それらを表すイメージ写真を挙げたときはバラバラになったので、やはり自分たちの目指す世界観「Chatworkらしさ」を明確にする必要性を、改めて感じました。

プロセス3 : 「Chatworkらしさ」の羅針盤、ブランドコンセプトの開発

役員、そして社内メンバーからヒアリングした内容をまとめ、Chatworkの、「現状」「強み/独自性」「未来」を明確に定義し、ブランドコンセプトを作っていきます。

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ブランドアイデア
共同開発して最終的に決まったブランドアイデアは「Success Activator」。この言葉は、Chatworkは単にビジネスチャットとして、社内外のコミュニケーションを円滑にすつためだけのツールではなく、中小企業の業界の働き方をしっかり理解し、ユーザーの成功(Success)を導き、ビジネスを活性化させる存在(Activator)になるという想いを込めています。

ビリーフ
ブランドアイデアを特徴づけ体現すべき価値観を示唆するキーワードとして「Respect」「Insight」「Smart」「Empower」を定めました。それぞれのキーワードが「Success Activator」になるための信念を表したものになります。

これらのキーワードの頭文字をとって「RISE」と呼んでいますが、「RISE」という言葉にも「上昇」や「向上する」という、ユーザーのビジネスが成功し上向きになる意味が込められています。

ここまでで、ブランドの核となるコンセプトが決定しました。コンセプトが決まるまでに、L&Fには多くのアイデアを出していただき、そのアイデアを元に、役員やプロジェクトメンバーで議論を重ね決めていきました。

そしてここから、ブランドコンセプトを実際にデザインや文章でどのように表現していくかを決める、Look & Feel(ビジュアル)の開発に入っていきます。デザインなどの表現で判断を迷った場合は、ブランドコンセプトに立ち帰ることで迷いなく進めることができます。

プロセス4 : ブランドの「らしさ」を知る

ここからL&Fとの、デザイン開発の共創がはじまりました。初日のキックオフで、「ブランドの『らしさ』とはどういうものか?」を知るためのワークショップをおこないました。

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ワークショップのお題は「もしもChatworkが〇〇だったら?」です。Chatworkが他のブランドの「らしさ」を取り入れると、どのような表現になるか実際にデザインを行いながら体験していくというものでした。

私達が選んだのは、某アウトドアブランドです。選んだ理由は、「Chatworkとは全く違うカテゴリのブランドを組み合わせたらどういう結果になるかチャレンジしてみよう」ということで、あえてアウトドアブランドを選びました。

Chatworkにアウトドアブランドの「らしさ」を取り入れるとどのような表現になるかを、ディスカッションしながら作っていきました。

・ブランドが大切にしていることは何なのか
・ブランドのイラストや写真は、どのような表現をしているか
・ブランドのトーン&マナーはどのようなものか

上記のような点を考えながら、それらをChatworkのプロダクトや広告、ノベルティなど表現するとどうなるか実験していきます。

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選んだブランドはアウトドアブランドなので、自然をモチーフにしたビジュアルが多いです。それをChatworkで表現するのであれば、「大自然の中でPCを広げた写真を使おう」とか、「アースカラーをデザインに取り入れよう」など、さまざまなアイデアがでました。

このワークショップを体験することで、「どのようにすればブランドの『らしさ』を表現できるか」ということを知ることができました。

プロセス5 : コンセプトから「Chatworkらしさ」を集める

次に、どんなChatworkの世界観が描けるか?というお題で様々な写真やグラフィックをあつめ、デザインの方向性を探っていきます。いわゆる「ムードボード」を作り、ブランドの「らしさ」を探っていく作業です。

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A3用紙にChatworkらしいと感じたビジュアルを出力し、どういった点が今回のブランド・アイデアとつながり、どんな世界観を描けるのかをプレゼンしていきます。

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まずはデザインの可能性を広げるために、離れすぎているようなアイデアも持ち寄り方向性を探っていきます。可能性を広げたあとに、方向性を絞り実際のデザイン制作に入っていきます。

プロセス6 : ブランドLook & Feel開発

世界観の方向性が定まってきたら実際にデザインをしていきます。デザインアイデアを考えるときは、自分たちがどう見られたいかだけを考えるのではなく、ユーザーが見たときにどう感じるか、両方の視点から考えデザインすることが重要です。

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デザインアイデアでは、1アイデアにつき下記の展開を入れました。

・デザインコンセプト+キービジュアル
・カラーパレット・フォント
・デザインスタイル
・展開イメージ(Webサイト・プロダクト・グッズなど)

1アイデアにつき、1ビジュアルではなく、デザインアイデアがどう展開していくかを含めて作っていくことで、ブランドの世界観「らしさ」が見えてきます。

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さまざまなアイデアが出たところで、以下の視点からアイデアを絞り、デザインを作り込んでいく作業に入ります。

・コンセプトに沿ったアイデアか
・ブランドとして展開していけるか
・一方的な視点になっていないか

上記のようなポイントを踏まえ、ディスカッションしながらデザインを絞り込んでいきました。まずは、プロジェクトメンバー内で絞り込み、最終的には役員も含めデザインを決定していきました。

プロセス7:デザインの決定

最終的に決まったデザインコンセプトは「Focus & Create Your Vision」です。ユーザー1人ひとりにフォーカスし、Chatworkが創造的な働き方を提供するという意味を込めました。

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Chatworkのロゴモチーフである会話のバブルを「Focus Bubble(フォーカスバブル)」と名付け、それを写真と組み合わせることで、ユーザー1人ひとりにフォーカスし寄り添いながら、ユーザーの成功をChatworkが一緒に目指す姿勢を表現しています。また、写真の上にイラストを組み合わせることで、Chatworkでビジネスを活性化させ、活き活きと働いている姿を表現しています。ブランドコンセプトの「Success Activator」を表現したLook & Feelになりました。

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展開として、より感情的な表現から、説明的な表現までどのようにFocus Bubbleと写真、イラストを組み合わせるかデザインスタイルとして定義しています。

その他、新たにタグラインやカラーも新しいものを設定しています。詳しくはブランドサイトで発表していますので、ぜひ、ブランドサイトをご覧ください。

Chatworkブランドサイト

リブランディングのこれから

Chatworkのブランドコンセプトが固まり、「Chatworkらしさ」が見えてきました。しかし、リブランディングは、ようやくスタート地点に立ったばかりです。

「Chatworkらしさ」をさまざまな場面で取り入れ、一貫した世界観を作っていき、しっかりブランドを育てて行く必要があります。これから、Chatworkがどのように変わっていくか楽しみにしていてください!

お知らせ

Chatworkは、LANDOR & FITCHが9月30日(木)17:00〜18:00に開催するオンラインセミナー『ブランディングの裏側大公開!「Part 3:ブランディングにおける共創のプロセス〜LANDOR & FITCH x Chatwork〜」』に登壇予定です。

今回の「Chatwork」のリブランディングの取り組みについて、ブランド戦略の構築から具現化に至るまでの共創プロセスをテーマに、どのように新たなブランドを共に創り上げていったのか対談形式でお届けします。

当日は、マネージャーの山田と、私も登壇します。お時間が合う方は、ぜひご参加ください!

【オンラインセミナー概要】
『ブランディングの裏側大公開!「Part 3:ブランディングにおける共創のプロセス〜LANDOR & FITCH x Chatwork〜」』
日時:2021年9月30日(木)17:00~18:00(終了予定)
開催方法:Zoom(インストール・ご利用ともに無料です)
参加費:無料
主催:LANDOR & FITCH
詳細・申し込みはこちら

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