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ビジネスチャット「Chatwork」がいま、メチャクチャ面白い理由

株式会社kubellで「Chatwork」のVP of Productをしている海老澤です。

今年VPoPに就任して以来、数多くの方とカジュアル面談などでお話しさせていただいているのですが、
老舗のビジネスチャットでプロダクトも組織も完成していて成長余地がないと思っていたが、ビジネスチャットが非常に可能性のある領域だとわかってワクワクした
といった感想を多くいただきます。
裏を返せば、10年以上継続しているSaaSというだけで完成している、大きなグロースの余地はないのでは?といった先入観を持たれがちということかと思います(私も入社前はそう思ってました)。

しかし実態としては10年以上経った現在も成長し続けており、さらに新たなチャレンジを仕掛けていくフェーズなんです。
そこで今回は、プロダクトとしてのビジネスチャット「Chatwork」の面白さについてご紹介します。

実は2年前に弊社代表の山本が、似たタイトルのNoteを書いているのですが、このときは会社としてのChatwork株式会社(現:株式会社kubell)の面白さについて書かれたものでしたが、今回はプロダクトとしての「Chatwork」についての記事です。


自己紹介

ソニー・エリクソンで携帯電話ソフトエンジニアとしてキャリアをスタートし、アプリ・サービス企画を経験後、ソニーにて音楽サブスクリプションサービスのグローバルでの立ち上げを経験しました。
その後アメリカに赴任して5年間、PlayStation Networkのプロダクトマネージャー(PMと呼ばれたのはこのときが初めて)として、PlayStation4向けビデオ配信サービスやソーシャルサービスなどを担当しました。
帰国後に日産自動車に転職してPM組織及びプロダクトの立ち上げ、センシンロボティクスでのB2B SaaS立ち上げ経験を経て2022年7月にChatworkに入社しました。
入社後は認証基盤や2023年にグループインした株式会社ミナジンのPMI、BPaaSプロダクトの立ち上げを担当した後、2024年1月にビジネスチャット「Chatwork」のVP of Productに就任しました。
経歴の詳細は以下の記事にまとまっているので、ご興味のある方は併せてご覧ください。

ビジネスチャット「Chatwork」とは

「Chatwork」は2011年3月にサービスを開始した国産ビジネスチャットです。IT業界の皆さんの中にはあまり馴染みがない方もいらっしゃるかもしれませんが、実はビジネスチャットのパイオニアで、中小企業マーケットにおいて、Product Led Growth (PLG)という言葉が誕生するよりずいぶん前から、以下の3つの特徴によってPLGによる成長を遂げてきたサービスなんです。
現在の契約社数は59.1万社ID数は705万(2024年6月末時点)に上ります。

1. 誰もが簡単に使える

ITを専門としない中小企業のお客様の場合、これまでメールでのやり取りやプライベートでのチャット利用はしていても、業務でSaaSを使うのは「Chatwork」が初めて、というケースもありますが、そういったお客様をメインターゲットにインターフェイス設計しており、トレーニングなどを実施しなくても幅広い世代のお客様が直感的に使える点が支持されています。

2.オープンプラットフォーム

聞き慣れない言葉だと思いますが、「Chatwork」は社内外のやり取りをシームレスに管理できる設計になっており、チャットルームの一覧画面で社内のチャットと取引先とのチャットをまとめて管理することができます。
この特徴が特に社外とのやり取りの多いお客様に広く支持され、取引先に対して「Chatwork」をご紹介いただき、お客様がお客様を呼んでくださる行動に繋がりました。

3. フリーミアム

オープンプラットフォームの特徴によって、取引先から「Chatwork」を紹介されたお客様は、フリープランがあることから、まずはフリープランで使い初めていただき、使い慣れて利便性を実感していただいた後に、社内利用や他の取引先との利用、有料化につながっていくPLGでの成長を遂げてきました。

ビジネスチャット市場

普及率

昨年の調査結果で、ビジネスチャットの国内普及率はまだ19%*ほどです。IT業界で日々ビジネスチャットを使った業務が当たり前の環境にいらっしゃる方々には、かなり低いと感じるのではないでしょうか。
ちょうどキャズムを超えてマジョリティ層への普及が始まっている段階で、これからが本格的な普及期というフェーズです。

*当社依頼による第三者機関調べ、2023年12月調査、n=30,000

ビジネスチャットの国内普及率

ポジショニング

プロダクトのターゲットを中小企業としているため、主要な競合とは中心となるターゲット層が異なっています。

「Chatwork」は導入社数59.1万社、登録ID数705万アカウントの規模ですが、普及率はまだ低い水準であり、競合と異なるポジショニングを取っており、まだまだグロースの余地が非常に大きい市場環境です。

ポジショニング

コミュニケーションプラットフォームとしてプロダクトの進化

プロダクトの磨き込みの余地

10年以上の歴史があることで「既に完成している」と思われがちなのですが、まだまだプロダクトは発展途上にあり、ビジネスのコミュニケーションプラットフォームとして取り組むべき課題が多くあります。
現在はプロダクトの機能追加、改善に注力して、コミュニケーションプラットフォームとしての使い勝手や生産性向上、コミュニケーションを円滑にする機能の拡充を進めていますが、お客様の要望にはまだ応えきれていない状況です。
また、PLGを加速するための開発にも注力していますが、施策によって確実にKPIの引き上げができている一方、まだ手を付けられていない領域もあってやりきれておらず、磨き込みの余地が多くあります。

マジョリティ市場の課題を捉えてStep Changeを起こす

ビジネスチャット市場は普及率が19%で、これからマジョリティ市場での普及が進んでいくフェーズです。既存の顧客層とは異なる顧客層の解像度を高めて課題を捉え、プロダクトを進化させていくことでStep Change(非連続な成長)にチャレンジしていきます。

BPaaSプラットフォームとしてのプロダクトの進化

BPaaSについては桐谷の記事で詳しく説明しておりますので、興味のある方は是非ご覧ください。

社名を変更してBPaaS事業を立ち上げます、と言うと「Chatwork」とは全く別の事業と思われるかも知れませんが、実はBPaaSを展開する上で、「Chatwork」は非常に重要な役割を担います

中小企業の顧客基盤へのアプローチ

BPaaSも「Chatwork」の顧客層である非ITセグメントの中小企業をターゲットとしており、「Chatwork」で獲得済みの顧客基盤があり、プロダクトの特性上、ユーザーが職種問わず長時間プロダクトに滞在いただいている点は大きなアドバンテージとなります。
「Chatwork」のユーザーに対してはプロダクト上でアプローチすることができますし、一度ご依頼いただくとチャットでお客様とつながった状態になるため、2回目以降のご依頼が非常にしやすくなります。

「Chatwork」でBPaaSを展開する理由

BPaaSプロダクトとのシームレスなUX

BPaaSの申し込みや案件管理などの機能は、既存の「Chatwork」にはないので新規で作る必要がありますが、複数のSaaSを使いこなすのが難しいお客様に対して提供するサービスですので、全く別のSaaSを立ち上げる形では本末転倒です。お客様とのやり取りは「Chatwork」で行い、新たに立ち上げるBPaaS窓口のプロダクトとはシームレスなUXを構築しつつシステムの独立性を担保しながら、BPaaSしやすいビジネスチャットの体験を実現すべく、開発を進めています。

自動化エンジンによるBPaaSワークフローの効率化

また、BPaaSではさまざまな業務関連SaaSを活用しますが、API連携によって「Chatwork」と連携するための「自動化エンジン」を構築して、BPaaSのオペレーションの効率化を進めていきます。BPaaSを効率化する上で必要となる機能を「Chatwork」に実装できるのは、ビジネスチャットを保有しているkubellならではの強みです。

kubellが展開するBPaaSのイメージ

BPaaSに必要な機能の追加・強化

「Chatwork」の特徴の一つである、社内外のコミュニケーションがシームレスに管理できる強みを活かして、ユーザー企業内の担当者による勤怠締めや経費精算の取りまとめといった業務まで代行するサービスなども考えられます。
新たなBPaaSサービスを構築していくうえで、ビジネスチャットに求められる機能や既存機能の強化も必要になりますので、BPaaSプラットフォームとしての進化も進めていきます。

BPaaSプラットフォームへ

「Chatwork」の今後

ビジネスチャット市場において、コミュニケーションプラットフォームとしての10→100のグロースと、BPaaSプラットフォームへの進化を戦略的に両立させていきます。
BPaaSで必要となる機能がビジネスチャットのお客様にとっての便益にもなったり、ビジネスチャットとしての課題を解決するとBPaaSの効率化にもつながる、といったシナジーも生めるのではないかと考えております。
また、チャットのインタフェースと流通するテキストデータを保持しているkubellならではのLLMの活用も今後のテーマの一つです。

決算説明資料より

「Chatwork」のPM noteはじめます

これまで、「Chatwork」のPMの取り組みがあまりご紹介できていなかったのですが、noteをはじめることにしました。
初回は私から、「Chatwork」の現在と今後についてご紹介しましたが、今後PMからより具体的な取り組みについてご紹介していきます!

最後に

これまで10年以上に渡り、「Chatwork」単一の事業・プロダクトで成長してきたフェーズから、BPaaS事業及びプロダクトを立ち上げ、複数事業・プロダクトのフェーズに変化を迎えています。
プロダクトとしても、マジョリティ層向けにStep Changeを起こして10−100のグロースにチャレンジしながら、BPaaSプラットフォームを進めていくという非常にチャレンジングなフェーズです。
この記事を読んで興味を持っていただけた方は、是非採用情報をご確認ください。

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