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咲かないモッコウバラが咲いた。そして、これからのこと

行灯仕立ての小さな苗

モッコウバラは、私が庭付のマンション1階に引っ越してからはじめて手に入れたバラです。ホームセンターで買い求めたときは、高さ30cm位の小さな行灯仕立ての株でした。

10年以上前に、アーチの上をいっぱいに咲き乱れるモッコウバラを見て以来ずっと、憧れがあったのかもしれません。枝葉が見えないくらい、びっしりとかわいい小花が、雲のように咲き乱れる。そんな様子を思いうかべ、あと先考えず家に迎えてしまいました。その時は、こんな小さなバラにこれほど手こずることになるとは、まったく想像できませんでした。

手に入れたのは白八重のモッコウバラです。黄色と迷いましたが、白だったらどの草花とも合わせやすいだろうと選びました。後で調べると、白の一重と八重、黄色の一重には香りがあって、黄色の八重咲きには香りがないそうです。

うちに来たときにはすでにかなり咲き進んでいて、花はすぐ散ってしまいました。それで翌年の開花を楽しみに、庭のはじっこ、隣家との柵のちかくに露地植えにしました。

モッコウバラの育て方

ネットで育て方を調べると、モッコウバラは肥料をやったり水やりしたりしないほうが花が咲く、とあります。また病気にも強く、放っておいてもグングン伸びる、いやむしろ手をかけると花が咲かないことがある、とのこと。なんて手間のかからないいい子なんだ、モッコウバラ!無農薬自然栽培に憧れる自分にぴったりのバラちゃんです。

でもそんな考えが甘かったことを、すぐに思い知らされました。何もせず放っておくと、大変なことになるのです。

咲かないジャックと豆の木

来たときはつるも細く繊細で、花も小さくかわいらしかったモッコウバラ。でも露地植えにしたとたん、彼(彼女?)の本性があらわになりました。

「シュート」と呼ばれる新枝が、季節を問わず、地面から幹からどんどん飛び出て、四方八方に伸びまくるのです。新しく伸びた枝は容赦なく庭の一角を埋めてゆき、お隣さんとの境を仕切る低い塀ももちろん軽々とび超えていきます。伸びすぎた枝をばっさり剪定してみても、ひと月も経たないうち、なにごともなかったかのようにまたジャングル化。姉さん大変です、こんなに切っても切ってものびてくるゾンビのような植物があるとは!

同じように繁殖力が旺盛な植物として、萩があります。萩は季節を問わず新しい枝をたゆまず生やしながら、赤紫の小花をつけ続けてくれます。枝葉の数に比例して花数も増えるので、なにもない寂しい庭にはありがたい存在でした。でも、いろんな草花を増やすうちに、うちの小さな庭では手に負えなくなっていきます。寂しい庭を常に彩ってくれる数少ない存在だったので、処分するのはかなり気が引けましたが、引っこ抜いて移植しました。

それにくらべてモッコウバラといったら。春にしか咲かないのに、花のない季節にも緑の触手を際限なく広げていこうとします。その旺盛な生命力に、恐怖すら感じてしまうほど。でも、あの雲のようにこんもり咲き誇る満開のモッコウバラを思い出し、伸びまくるツルと格闘を続けました。

モッコウバラの恐ろしいほどの繁殖力に驚かされる一年を過ごしながら、ようやく迎えた翌年の春。花芽をつけるのは今かいまかと首を長くして待ちました。

柔らかい新芽がぴょこぴょこと生えてきて、春の陽ざしに輝く姿はそれはとても美しく、そこに白い花が輝くように咲く様子を想像してワクワクしながら待ちます。でも、待てど暮せど一向に花芽をつける様子がありません。

4月に入っても、5月に入っても黄緑に輝く葉っぱしかでてこない。調べると、モッコウバラは春先一番に咲く早咲きのバラだそうです。もしや咲かない、なんてことがあるのだろうか?!不安な気持ちで「モッコウバラ 咲かない」というキーワード検索すると、なんということでしょう、10年たっても咲かないモッコウバラがあるらしい、ということがわかりました。目の前が真っ暗になります。10年って、、

切ってはいけないジャングル大帝

どうやら、咲かないモッコウバラの原因を調べてみると、夏以降の剪定にあるようです。つまり、次の年に咲く花芽は夏までにできるので、夏以降に枝を剪定してしまうと、花芽を落とすことになるのだそうです。それでようやく、うちの子は咲かないのだ、と悟りました。

まるでそこだけジャングルかのように、びゅんびゅん伸びまくる枝と戦った日々。夏以降に剪定してはいけないというけれど、そんなの無理です。放っておいたら庭一面がモッコウバラの緑のツルに埋め尽くされてしまいます。小花がたくさん咲く可愛らしい様子はいかにもバラの中でも庶民の味方、みたいな様子なのに、育てるには広いスペースが必要な、育つ庭を選ぶお花だったのです。残念だ。。

さて、咲かない暴れん坊のバラちゃんをうちの狭い庭に置いておく余裕はありません。しかし、すでにしっかり庭に根をおろしてしまっています。まわりに植えこんだ草花たちにも影響するし、今から引っこ抜くのはためらわれます。もしかしたら来年は咲いてくれるかもそれない、という淡い期待をいだきつつ、次の春まで執行猶予を与えることにしました。

3年目の春、ついに。

それでもびゅんびゅん伸びてくる新枝をばっさばっさと切り倒しつつ迎えた3年目の春。今年(2020年)は暖冬で、すでに2月後半には新芽が少しずつ出てきました。

新芽の先に花芽がついていないか、恐る恐る観察するも、やはりその様子はない。よし、これで思い残すことはない、今年こそ引っこ抜いてしまおう、と心に決めた時の様子がこちら、2月22日の記録です。

そこから間もなくして、とうとう花芽を見つけたのが翌週の2月29日。

最初はたったひと房だけだったのが、日を重ねるごとに蕾の数が増えていき、最初の花芽が確認できてから約5週間後の4月6日に開花。

そこから徐々に開花がすすみ、ベランダの窓ごしに見えるこんな光景にこれまでの苦労が報われた気がしました。

そしてほぼすべての蕾が咲きそろったのが4月22日。最初に花芽を確認してから約7週間たってます。

実は夏以降に剪定しても咲くモッコウバラ

本日5月6日のモッコウバラは、すでに半分くらいが茶色くなって花殻をハラハラとおとしています。一方で、ふたたびジャックと豆の木状態が復活、ビュンビュンシュートを伸ばし始めました。

さて、昨年咲かなかった要因として、夏以降に剪定したことをあげました。2年目も構わず剪定しまくりましたが、今度はちゃんと咲きました。何が違っていたのでしょう?

先日モッコウバラの先輩から、答えを教えてもらいました。充実した枝を残して、そこから伸びる側枝を適当にトリミングしたり、伸びまくるシュートを根本からカットするのは問題ないとのことです。

また花がついた枝の特徴ですが、鉛筆より細く竹串より太いくらいの前年の夏頃までに伸びた側枝から、秋以降に生えてきた細い枝に、そこから春にまた新芽が出てきて花がつくものが多かったです。まだ、枝葉が見えないほど花がつくところまでには至っていませんが、主軸に近い枝には花がつかないので、割り箸より細い孫枝?がたくさん生えるよう誘引すると良いのかもしれません。

次のシーズンに向けて

今年花が咲いたことで、引っこ抜くのをやめようかと思いましたが、勢いよく伸びてくるシュートを見て、またあの際限なく続く戦いが始まるのかと思うとすこし気が滅入ります。

一方モッコウバラと格闘している間に手に入れた40鉢以上のバラちゃんたちが次々と咲きだしました。

実際に育て咲かせてみると、枝葉の茂り具合や花のサイズ、花の付き方が小さな庭では分不相応に感じるものもいくつか出てきました。ネットショップで選んだ時は、狭い我が家の庭を考慮して、花の色や形だけでなく、樹高や樹形をそれなりに調べて選んだつもりでした。でも実際に育ててみると、自分の庭にあうものは自分が選んだものとはちょっと違うことも見えてきます。

手に入れた品種はどれも思ったとおり素敵な花を咲かせてくれましたが、バラだけのお庭はすこし食傷気味になります。ほかの植物と組み合わせ咲かせると見ていて心地良いバランスになること、実際に咲かせてみるとあまりに大ぶりで華やかなものが多く、今はもっと楚々とした、かわいい感じの子が欲しいなと触手が動きはじめています。

とはいえ、すでに庭は様々な植物で埋め尽くされています。それで、ちょっと大ぶりの、病気にも強そうな子は、駐車場や庭の外の雑草エリアを整地して移植してしまおうと考えています。そして、この大きく場所をとっているモッコウバラも、やはりいったん鉢植えにもどして、小さくコンパクトにまとまってもらおう、そんなふうに考え始めてます。

ここまでしっかり根付いたものを今更引っこ抜けるのか不安ですが、バラの季節が一段落したら、来年に向けてまた本格的に手を入れて行く予定です。

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