11-3 爺いが隠していたトリック 小説「女主人と下僕」
前話
マーヤの天蓋のベットに腰かけた二人。
ディミトリは微笑んでマーヤの髪を撫でながらマーヤにそっと囁いた。
「ありがとう。あんな風に仰って頂いて。俺、ようやく ちょっと、元気が出ました」
そう。
マーヤの方はさっきでディミトリとすっかり仲直り出来たのだと勘違いしているようだが、ディミトリはあくまでもほんのすこし元気が出ただけであって、
実はあれぐらいではディミトリはなにひとつ納得できた訳ではなかったのである。
なぜって、いくらマーヤに『わたくしはあなたの視線