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マヨコンヌの官能小説『女主人と下僕』

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昔々ロシアっぽい架空の国=ゾシア帝国の混血羊飼い少年=ディミトリは徴兵されすぐ敵の捕虜となりフランスっぽい架空の敵国=ランスで敗戦奴隷に堕ちました。『お前の顔は若いころのわしそっ…
【あまりにエゲツナイ一部部分】&【リアルにお役立ちな性テクニックの一部分】以外は🍒無料🍒ですよ!無…
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2020年6月の記事一覧

1-1 奇妙な下僕、ディミトリ 【小説「女主人と下僕」】

ランス国の首都の街、デュラス街区。 そのデュラス街区の石畳を進んだ商店街の奥に、ザレン茶舗の総本店がある。 ザレン茶舗の総本店といえば、上流夫人御用達の街で一番の大きな高級な茶舗で、高級街区のマダムたちのほとんどは、ここで買った茶で大切な来客をもてなすのが通例だ。 店内は重厚なチーク材やら大理石やらがふんだんに使われ、なにより壮観なのは、茶舗のカウンター側の壁で、黄金色に輝く真鍮の巨大な茶缶が壁のすべてを埋め尽くすようにはめ込まれている。 カウンターや扉などはすべて丁

1-2 出入りの女商人、マーヤ ~小説「女主人と下僕」~敗戦奴隷に堕ちた若者の出世艶譚~

ディミトリがはじめてマーヤに会ったのは数年前のことである。 ある日、使いの後、ディミトリが茶舗に戻ろうと店の前にきたちょうどその時、馬車が止まり、店の前に、黒髪の東洋系の少女が降り立った。彼女の出身国は、東洋一の大国、シーナの帝国の配下ではあるが、帝国の最西端のはずれの地の小国で、そこは東洋と西洋のはざまなので、厳密には完全なる東洋人ではなかったが、やはりそれでもこの西洋のランス国においては珍しい存在で、戦後ずっとランスに住んでいるディミトリの目には充分に異国的な稀人に見え

1-3 こどもの恋人ごっこ ~小説「女主人と下僕」~敗戦奴隷に堕ちた若者の出世艶譚~

このようにマーヤは身分にこだわらない女だった。いやむしろ、ひょっとすると亡命の時にでもなにかあったのか、自分自身も元貴族でありながら、マーヤはなぜか、身分制度というものを、むしろ憎みわざと反発しているような所すらあった。 どうもマーヤは身分をわざと飛び越えたような振る舞いをよくする。 そうなると、敗戦奴隷の出身でありながら、性質は穏やかで働き者、町一番のザレン茶舗の、しかも本店の売り場を、実質取り仕切っている、そんな店長代理のディミトリがマーヤに気に入られないわけがない。

1-12 女主人、下僕を幻惑す~小説「女主人と下僕」~敗戦奴隷に堕ちた若者の出世艶譚~

ここであの人はつまずいた。そしてここで両手を壁につけた。 豪華なザレン茶舗の誰もいない店内。 ディミトリは最後の戸締りをしながら、ちょっと立ち止まって、大理石を張り巡らせた豪華な壁に手を触れた。 ディミトリは、まさに丁度ここに居た、今日のマーヤの姿を思い出す。…慣れない、彼女にしてはかかとの細く高い靴を履いてきたせいで、よろけてしまい、両手を壁に付いて、顔を赤くしながら、ふるふると尻を突き出していた時の…その時のマーヤの姿を思い出して、ぞくっとする。 マーヤの、ほんの