新澤健一郎/佐藤允彦 2台ピアノ 〈Greco 2Pianos 2024 Summer〉 at 大塚Greco Jul. 14, 2024
1stセット1曲はB. Evansの演奏でお馴染みの曲から。
2人のインプロから。小さな水滴が跳ねて混じり合うような音色。涙が出てきそうな優しい響き。新澤さん、佐藤さんとソロが繋がります。2台で1人のような緊密で豊かな演奏です。
2曲目はH. SIlverの作品。
ソロは佐藤さん、新澤さん。とにかくダイナミクスが物凄く、ピアノとてもよく鳴る、というか鳴らす演奏。
3曲目は佐藤さんの"Double Exposure"から「暮雪」。
西洋っぽくないもの、というコンセプトだったそうですが、日本の風土的なやや湿り気を帯びたテイストが、新澤さんのたとえば「鼓動」などの作品とも通じ合うような素晴らしいバラード。
4曲目は新澤さんの作品。
このところすっかりお馴染みのアラブのリズムを借りた作品。佐藤さんもお気に入りだそうです。
2人で鳴らすピアノの、音域の近い密集和音でも濁らずクリア、リズムの抑揚も面白く素敵な演奏です。
セットラストは新澤さんの佐藤さんとの出会いエピソードも興味深い曲。"Double Exposure"のアレンジで。
2ndセットは佐藤さんの作品。
"Double Exposure"にも収録されています。和テイストで、何というか日本的情念の熱さみたいなものが伝わってくる、そんな印象でした。
2曲目は時間制限だけ設けられた完全即興演奏。
「やって楽しい、聞いて苦しいフリーピアノ」(佐藤)とのこと。
初手は新澤さんから、音を転がし合うような単音の投げ合い。
やがてコード、クラスタの投げ合いから高圧インタープレイへ。
途中ブレイクの一瞬がぴたりと同期して無音になる箇所など、全体に緩む暇もない緊張感。
かつての道場主と対応に渡り合う門下生、といったような、格闘技、武道的な即興演奏の時間でした。
セットラストはブルース。
探り合いのようなイントロから、しかしとても楽しそうな演奏でした。
アンコールにはエリントンの名曲。
軽快でキレの鋭い佐藤さんのピアノを聴いていると嬉しくなりますね。
全体を通して佐藤さんが終始穏やかで、当然新澤さんも嬉しそうな気配が伝わってきて、とても素敵な時間でした。
ああ、リスペクトというのはこういうことなのだな、と思ったりもしました。
(お二人の関係性などについては、新澤さんご本人からお話もあるでしょうから、私が中途半端にご紹介するのは控えます)
繰り返しますが、とてもとても素晴らしいライブでした。
Info.
date:Jul. 14, 2024
place:大塚Greco
Personnel:
・新澤健一郎 (pf)
・佐藤允彦 (pf)
Set List:
1st.
・Waltz for Debby
・Nicas Dream
・Evening Snow (M. Sato)
・The First Quarter Moon Meets Jupiter (K. Shinzawa)
・Alice in Wonderland (arr : M. Sato)
2nd.
・Thus The Song Passed (M. Sato)
・即興30分
・All Blues
enc.
・It don't Mean a Thing
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?