イチョウ五重奏団 at 中目黒楽屋 Nov. 20, 2023
早いもので昨年のイチョウ五重奏団の中目黒楽屋のライヴからもう1年です。
今年も来ることができました。
満席でマスクなしのフロアも戻ってきて時間が経ち、制限の多かった時期について、あれは何だったのだろうとすら思います。
さて、今回のライヴ1曲目は谷口さんの作品。タイトルはWoddy Allenの映画のイメージで、ということですが、そこからも想像出来るように映像的/映画的な展開の曲です。艶々のVn、深く豊かな音色のVc、洒脱なclに決然として迫力あるflなど、各ソロもそれぞれに素晴らしく、また中間部の長いsoliではまるでそのような音色を持った一つの楽器のように聞こえる演奏。
この曲に限らずですが、エッジのクリアな隙のないアンサンブルが超絶に見事です。
2曲目はアラブのリズム、10拍子の曲ですが、それぞれの楽器の奏でるフラグメントが、同じく新澤曲「天空」に連なる、大気の移り行く流れのような、ダイナミックかつ静謐な印象。
3曲目は谷口さんのcl インプロから始まるスロースでウィンギーな曲ですが、ギリギリのテンポでゆったりとしたグルーヴが豊かな演奏でした。
4曲目は中低域のぞりっとしたアンサンブルのかたまり感が印象的。さらっと聞いてしまいそうですが、かなり抽象的な作品です。
5曲目はVcの豊かな音色が主役。呼吸が深くなる感じです。
セットラストは新澤アレンジの月の光。
印象派からJazzやアメリカの映画音楽への影響など調べてみると、谷口さん作品との関連も含めて面白いかも、とか考えてみたり。
2ndセットはイチョウ五重奏団の原点となった曲、初演から演奏されている1曲から。各パート持ち替えもあり大活躍です。
2曲目は帆足さんのお気に入りの曲とのことですが、穏やかでロマンティックな作品です。ここでも印象派 ー Jazz ー 映画の関連を感じさせる演奏でした。
3曲目、いわゆる北欧Jazzの先端だったE.S.T.の作品。谷口さんはb-clのみ演奏。原曲はかなりメタリックでエフェクト多めな作品ですが、ざらっとしたサウンドコラージュのような演奏が素敵です。
4曲目は新澤さんの思い入れたっぷりのジスモンチ作品。clのインプロから始まって、楽しげなテーマに続く緊張感溢れるアンサンブルからのfl無伴奏ソロ。いつもながら素晴らしい迫力です。
このセットラストは長く色々なフォーマットで演奏されている、いかにも新澤さんらしい作品で締めくくりです。
アンコールではコーラス付きの「翼」に続いて「はじまりの歌」。最初のメンバーであった土井徳浩さんの愛らしく素敵な小品を本当に久しぶりに聴くことができました。思いの溢れる瞬間でした。
なお、本ライブはYouTube楽屋チャンネルでアーカイヴ視聴が可能です(2023年11月24日現在)。URL等詳細は新澤さんのYouTube、
SNSでご確認ください。
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イチョウ五重奏団も今年で13年、遂にレコーディングとレコ発+合同バースデイライブも決定したそうです。
このバンドの原点となった「春の大運動会」(2010年4月24日)のライブレポ(セットリストとメンバー情報程度ですが)を本稿下に補記しておきます。
Info.
date:Nov. 20, 2023
place:楽屋(中目黒)
Personnel:
・新澤健一郎 (pf)
・太田朱美 (fl, alt-fl, piccolo)
・谷口英治 (cl, b-cl)
・帆足彩 (vn)
・橋本歩 (vc)
Set List:
1st.
・Woody is Swinging (谷口英治)
・上弦の月と木星 (新澤健一郎)
・Mood Indigo (Duke Ellington)
・イチョウ並木 (新澤健一郎)
・樹の詩 - Cut in 1891 - (太田朱美)
・月の光 (Debussy, 新澤編)
2nd.
・Liberty City (Jaco Pastorius)
・An Autumn Night (谷口英治)
・Mingle in the Mincing-Machine (Esbjörn Svensson Trio)
・7 Aneis (Egberto Gismonti)
・Quiet Leaves (新澤健一郎)
enc.
・翼 (武満徹)
・はじまりの歌 (土井徳浩)
補記 「春の大音楽会」
まだグループ名が決まっていなかった2010年の春、後のイチョウ五重奏団の初演です。筆者が以前開設していたホームページ(「漆黒斎の庵」)に当時掲載したものです。