AI法研究会のセミナー「ChatGPTと生成AIに関する法的倫理的課題」を視聴しての感想など(ChatGPT部, 大城)

こんにちは、ChatGPT部(チャットGPT部)、部長の大城です。
ChatGPT部の活動の中でも「AIと著作権」「AIと倫理」については定期的に話題に上がるのですが、そんな中とても面白そうな無料ウェビナーがありましたので視聴してきました。

所感としましては「まだまだ法的・倫理的に議論するテーマは非常に多く、過渡期」「その中で、安全策としていくつか守るべきポイント」という部分がお伺いできたかなと思います。

あと弁護士の先生方の議論に入る前の、最初の30分のABEJA社・藤本さんによる生成系AI全般の話がめちゃくちゃまとまってて分かりやすかったので、その感想などまとめていきますね。
(そのうちアーカイブとか公開されるとほんとはいいんですけどね・・ 一旦は私のメモレベルでお届けします。)


イベント概要

こちらですね。AI法研究会、というコミュニティのようです。年会費3000円のようなので、めっちゃお得な感じするなと思ってます。

因みに今日はyoutube配信でしたが、午後13:00-15:00という時間帯にも関わらず約1000名の視聴者がいました。

前半30分:ABEJA社・藤本さんによるご講演「生成AIに関する技術説明」

こちら、メモを取り損ねてしまったので細かい部分は解説できないのですが、ChatGPTだけでなく2017年に発表されたTransformer、またその性能が学習量を増やせばどんどん上がるというスケール則の発見、また拡散モデルによる画像のノイズからの復元、といった昨今の生成系AI全般に関する解説を非常に分かりやすく解説されていました。

また商用利用はできないものの、最近はオープンソース寄りの言語モデルとして「LLaMA, Dolly, Vicuna, GPT4All, StableLMなどあるよ」、というお話をされており、この辺りは全然ウォッチできていなかったのでキーワードレベルでもお伺いできて非常に参考になりました。
(個別の要素は未調査ですが、多分そのうち今のChatGPT-3.5同等の性能のものが出てくるんだろうなぁと思っています)

あと私が聞いていて印象的だったのは、
「RVCで音声変換」「(言語モデルなのに汎用的に)解けるようになってしまった」「ChatGPTはプログラミング言語を学習した事で論理的になったと言われている」「ChatGPT-4のブラウジング機能でデータセット集めもしてくれる」あたりはずっとメモをしていました。
(スケール則にしたがって性能が上がるのはわかってたけど、「なぜか」汎用的に解けるようになってしまった、というのはほんとどの研究者も驚かれてる内容ですよね・・というかまだChatGPTの汎用性は解明されてない気がする・・)

せっかくですので、2つ関連twitterも載せておきますね

AI法研究会


藤本さん
私は直接のご面識はないのですが、藤本さんのお話はとても説明がわかりやすいなと感じました。


後半のディスカッション:弁護士の先生方を中心に、著作権や倫理などについて


こちら、扱われているトピックがめちゃくちゃ広範のため、私もうまくまとめられないのですが、論点が多過ぎてかなり今後も議論が紛糾するだろうな、という印象を受けました。
一応G7サミットでは年内に生成AI系の共通ルールを作ることで合意していましたので、あと半年くらいするともう少し見通しは良くなるかもしれませんが、逆にいうとそれまでは本当に混沌としてそうだなと個人的には予想しています。

数が多いので・・ChatGPTに私の雑メモをまとめてもらいました

以下、間違いも含むかもですが私が取ったメモをChatGPTに整理してもらったものを、ざっと載せておきますね。私のセミナー受けての主観ほぼほぼなので、確度80%くらいの感覚でお読みください。
(何か勘違い等ありましたらご指摘いただけますと嬉しいですmm)

前半の議論に対する大城の所感

( なお、Q6の補足としては今はイタリアもOKを出しています )

後半の議論に対する大城の所感

因みにQ7に関して、最近はMSさんもウォーターマーク(電子すかし)について言及されていましたね。個人的には画像や音声には電子すかしを入れるか、テキストからの生成に関してはプロンプトの固有単語(作品名等)で利益分配するしかないんじゃないかと思ってます。

欲を言えば・・企業側としてはどこまで積極的に使っても良いのか、はもう少し聞きたかったところ

また今回はあまり明示的には議論されていませんでしたが、取り急ぎ企業としては「どのように使えば安全か」という点が一番興味のあるポイントだと思いますので、その辺りは今後も議論が深まると良いのかなと思いました。

今回も4つほど生成系AIを利用する際の注意事項は話がありましたが、個人情報を入れない、NDAの範囲を守る、は当然なのですが、「情報の種類別での利用可能範囲のマトリクス」みたいなものは何か共通のガイドラインができると安心してデータ活用もしやすくなるのかな、と感じたところでした。

とはいえこの辺りは2時間というセミナーの時間でも全然時間が足りない印象でしたので、また次回以降に期待、というところかなと思います。
(最も、弁護士さんなど中立的な立場の方からすると積極活用、という論に偏ってもよくないのでは、という話もあるのかも、とも思います。この辺りはMSさんとかOpenAI社側の推進派の方々の声を聞きながら、一方でヨーロッパのGDPRのようにそのデータは個人の幸せのためになるのか、といった議論とすり合わせながらになるかもしれないですね。)


その他、衝撃的だったもの

これは確かパネリストのお一人の吉永さんが回答されていたと思うのですが、そもそもなぜアメリカと日本でここまで技術的な差がついたのか、という点について「日本の研究開発の予算はアメリカの1.5%に過ぎない」のようなことをおっしゃられておられて、あー、まぁそうだよなぁと。
(確か中国はNo2の予算で、日本は確か10番よりさらに下ですよね。ちょっとソースが手元にないのですが、技術立国日本は今や10年ひと昔。)

ただ、個人的にはこの予算感でも国内で頑張っている研究者や民間の分析者は多いと思うので、なんとかまだこの世代が残っている間にもう1回くらいチャンスがないかな、とも思っております。(個人的にはそのチャンスが今なのではと思っていますが、民間の動き見てるとまだまだ様子見、な感じがしますねぇ・・国とごく一部の国内Tech企業が乗り出した、くらいな感覚で全体的なムーブメントには程遠い。この辺りは草の根レベルですがChatGPT部も少しずつ普及活動していきたいなと思っています)

所感:幅広い議論が必要だなと改めて感じました

今回のお話もそうでしたが、ChatGPTを始めとする生成系AIに関してはもはや「技術」の話だけでは収まらないテーマだなと常々感じてまして、そういう意味では今回の「ChatGPTと生成AIに関する法的倫理的課題」というセミナーは非常に勉強になりました。

個人的にはこの辺りのトピック以外にも、「教育」「リスキリング」「SF」「哲学」「AI倫理」「ユートピア・ディストピア」「ベーシックインカム」「エコシステムの構築」あと「ロボティクス」あたりは少しずつ情報を集めつつ、ChatGPT部の議論のトピックとしても取り上げたいなと思っております。(ほんと、短期的にはともかく中長期的には技術の話だけでは判断ができないですね・・)

しかしこれまでの技術的な歴史を振り返ると、電気や通信、各種インフラ、原子力などの技術はこれまでも一部の過渡期の混乱はありましたが、一方で中長期的にはうまくコントロールする方法を見つけることで我々一人一人にとってより良い暮らしにもつながって来ましたので、ぜひ色々な議論のなかで良い技術の使い方が見出せると良いなと思っております。


今日はちょっと固めのトピックでしたが最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
それでは皆さんもどうぞ良いChatGPTライフを・・!(大城)


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