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『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』サム・ライミ流、エンターテイメントの最骨頂

ドクター・ストレンジ/
マルチバース・オブ・マッドネス
Doctor Strange in the Multiverse of Madness
監督
サム・ライミ
脚本
ジェイド・バートレット
製作
ケヴィン・ファイギ
製作総指揮
スコット・デリクソン
出演者
ベネディクト・カンバーバッチ
エリザベス・オルセン
キウェテル・イジョフォー
ベネディクト・ウォン
ソーチー・ゴメス
マイケル・スタールバーグ
レイチェル・マクアダムス


サムライミは彼の長編デビュー作品でありホラー映画の歴史的作品『死霊のはらわた』から、今作『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』まで、自身の映画において、如何に観客を最大限にまで愉しませることができるかを真摯に考え続けてきた、エンターテインメントに対してとても一途な人間だ。

全くダレ場のない展開や編集、コミック的に誇張された恐怖・ギャグ演出等が彼の作品における特徴だが、今作『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』ではそんな彼の才能が100%遺憾無く発揮されている。

昨今のエンターテインメント映画業界で巨大スタジオが所謂「ファンサービス」を過剰に供給しすぎた結果、映画において「なにが面白いか?」という重要なポイントがボヤけてきように思う。
だが、映画の「面白さ」・「愉しさ」最大限にまで追求し、観客にそのプリミティブな「面白さ」・「愉しさ」感覚を思い出させるサム・ライミの手腕は言わずもがなだし、その狙いは1ミリたりとも間違いがない。


そして、今作の
「マルチバースを通し、自分多面性の一部であるネガティブな部分を見つめ直し、一人の善き大人になる」
というテーマも、彼が『スパイダーマン』三部作で培ってきたように、とても普遍性のある成熟したものになっている。
恐らく、普遍的な「善き大人」が彼の考える「ヒーロー論」なのであろう。


今後のエンターテインメント映画から、このような映画におけるプリミティブな喜びを思い出させてくれる作品にあと幾つ出会えるのだろうか?
今後もこのような作品に光が当たり、世に出ることを切に願う。

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