良いことが起きる前兆と歯のはなし
あの日、正確に言うと電車に乗る前、首筋が痒かった。なんだろうと思って、首の後ろ側を見てみたけど何もない。普段からストレッチや運動をサボってきたから、首がうまく回らずに見えなかったのかもしれない。そのまま気のせいかと思い、電車に乗った。夏休みに入ったからか、比較的空いていた。ボックスシートの窓側に座った。黒いリュックを抱えながら本を読んでいると、視界に白いものがスピーディーに動く様子がうつった。よく見ると、小さな(1cmくらい?)蜘蛛だった。そして、今まであんまり見たことなかったというか、ほぼ初めて見たんだけど、白色だった。カバンから私のズボンを伝って下に降りて行った。あっという間の出来事だった。
スピリチュアルとか普段からガッツリ信じているわけではないが、なんとなく調べてみた。「白い蜘蛛 スピリチュアル」で検索。「トラブルを解消する予兆」だの、「仕事運上昇の前兆」だの、「金運アップ」だの。虫が現れただけなのに、良いことばかりが書かれていた。ラッキー。もしかして、何か良いことが起こるのでは?と考えている。あれから、数日、特に悪いことも良いことも起こっていない。もう少し待ってみようか。きっと、そのうち忘れてしまうことになるのだが、これから良いことがあるかもと思うだけでちょっと良い気分。虫は苦手だけど、今回は感謝しよう。クモ子ちゃん、ありがとう。
歯医者さま、ご無沙汰しております
一年半ぶりに勇気を振り絞って歯医者に行ってきた。歯医者は病院の中でも特に緊張する部類にあって、ハードルが高く、今まで現実から目を逸らしてきた。夏休みに入り、ようやく重い腰を上げたところなのだが、いざ行こうと思うとやはり緊張した。その緊張が災いを呼んだのだが、病院に着いたとき、痛恨のミスを犯したことに気が付いた。やばい、歯磨きをせずに家を出てきてしまった。やられた。いや、やってしまった。昼食後、糸楊枝をして、満足してしまっていたのだ。しっかりしてくれよ、自分。歯医者に歯磨きをせずに行くだなんて、前代未聞だよ。
時間になって、名前を呼ばれ、ビクビクしながら診察用の椅子に腰掛けた。久しぶりの来院だったので、早速レントゲンを撮ることになった。謎の空間(レントゲン室)に入り、機械の前で頭と顎の高さを調節し、小さな突起を噛む。顎を固定されて、「今から撮りますので、そのまま動かないでください」と言い残し、歯科衛生士さんが部屋を出ていく。その瞬間、ウィンウィーンウィンウィンと高い音が鳴り響く。未来的なロボットのような音がして、自分の周りをグルグル回り始めた。こわいこわいこわい。動いたらダメと言われてるからこそ動きたくなってきた。どうしよう。こわいのと面白さとがジワジワ込み上げてきて、笑いそうになってしまった。あかん。わろたらあかん。必死で我慢した。自分の周りをロボットがグルグル回ってる。何なんだこの状況は?!たった1分くらいの出来事だった。笑いをこらえるのに必死だった。(家族は共感してくれなかったけど、共感してくれる人がいれば、私たちはきっと良いお友だちになれると思います)
その後、地獄の時間が待っていた。「磨き残しを調べますね」と色をつけるアレが出てきた。名前はわからないアレ。ちょっと甘い味がするアレ。今回はブルーのお色だった。アレを歯に塗りたくった後、鏡をわたされた。鏡に映る歯はお歯黒(お歯青?)になっているんじゃないかとドキドキした。おそるおそる見てみると、案外いつも通り(きっと普通の人より恐ろしく色が付いているのであろうが)だった。歯科衛生士さんに叱られることもなく、その後、歯も隅々まできれいにしてもらえて、あーあ早く来るんだったなって後悔した。歯医者に行くか迷っている皆さん、勇気を持って早めに行くとをおすすめする。そして、次回は虫歯に侵された親知らず抜歯という大イベントを予約してきた。美味しいものを食べ続けられるように、歯を大切にしよう。虫歯だらけのボロボロになってしまった今更ながら、そんなことを思った。