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エーデルワイスの咲く頃に。

拝啓

暑さが日ごとに加わって、涼みながら一緒にビールでも飲みたい季節となってまいりましたがいかがお過ごしでしょうか?

こんなお手紙を書くのはあまり慣れていないので、ここからは話し言葉で書かせてもらいます、ごめんなさいね。
急にこんな手紙が送られてきて、きっと驚いていると思います。なんだか急にあなたの顔がぱっと思い浮かんだので。
身体は元気ですか?こんな時だから、お家にいる時間がどうしても長くなってしまいますね。でも、部屋でじっとしているだけじゃなくて、たまには外に出て運動でもした方が、気も紛れるしいいと思うわ。
どこで、何をしていますか?どうしていようがあなたの勝手だというのは分かっていますが、あなたが困らないようにきちんと計画を立てて行動しなきゃいけませんよ。人生は長いようで短いものだ、と最近より一層考えるようになりました。私ももう歳を重ねてきた証拠ですね。
恋人はできましたか?ちゃんと気配りもできるし、相手のことを想って接する事ができるし、なによりあなたは自分が思っているよりもかわいらしいのだから自信を持って。
あなたのことだからきっと、全て大丈夫だと言うのでしょうね。
お節介なのは分かっていますが、心配になってしまいます。あなたもいつかきっと、分かる時がくるわ。

私の方はというと、今はみんなに夢を売る仕事をしています。(これは比喩表現ですが。)
たまに心が疲れちゃうこともありますが、来てくれたみんなに笑顔になって帰っていただくお手伝いをする、そんな素敵なお仕事です。私はこの仕事に誇りを持っています。
また、ささやかではありますが、私は私の大切な人と人生を共に歩くことができています。決して裕福な暮らしではありませんが、それでも心はあの夏空のように澄み切っていて、幸せです。
だから、あなたにもそうあってほしいと願うのは我儘でしょうか。

最後に。
あなたに謝らなければいけないことがあります。

正直に言うと、あなたの顔や、声や、全てが曖昧で、まるで霧がかかっているようにきちんと思い出す事ができません。でも、あなたが私にとってかけがえのないものであるということは、紛れもない事実だと思っています。
瓶詰めにして海に投げ込むよりも、鳥の脚に括り付けて羽ばたいてもらうよりも、このような電波に乗せた方があなたにきっと届くと思って書きました。
あなたもきっと、私のことなんて覚えていないと思います。それでも私は、あなたの事を想うと胸が苦しくなり、あなたの味方でいたいと思い、あなたのことを愛していたいと、そう感じてしまうのです。

暑さ厳しき折、あなた様のご健康をお祈り申し上げます。
これまでのあなたと、これからのあなたに目一杯の祝福を。

敬具

P.S. 道端に咲いていた花があまりにも綺麗だったので、同封させていただきました。よろしければ、飾ってやってください。

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