
大船渡に想いをはせる
2011年の東日本大震災、僕の妹夫婦が大船渡に住んでいて被災した。
当時僕は岩手県内陸部の盛岡市に住んでいて、2日間妹たちと連絡が取れず、ダメかもしれないと感じてしまったことを思い出す。震災の最中、裏山の公民館に避難でき、無事に夫婦ともども一命をとりとめて、震災3日後には実家のある岩手県紫波町へ二人そろって帰ってきてくれた。
震災からもう14年、この14年の間に僕は何度大船渡へ足を運んだことだろう。妹たちが震災の年に大船渡に住んでいたからというわけではなく、単純に大船渡の街が好きだからだ。
海と山に囲まれた美しいまち


大船渡には碁石海岸というリアス式海岸からコバルトブルーの海が広がる海岸公園がある。春にはツツジの花が咲き乱れ、桜の名所でもある。緑の松と空、海のコントラスト、そして海風がなんとも気持ちいい。大切な人ができたとき、何度もこの海岸公園を散策した。
10年の恋、そして新しい恋、今はすべて過去のものになってしまったけれど。また大切な誰かができたらきっと碁石海岸へ連れていくだろう。碁石海岸の記憶がいつも甘く切ない思い出の風を運んでくる。僕にとってはそんな
愛しい海岸である。
岩手を代表するお土産スウィーツは大船渡の名産

岩手を代表するお土産スウィーツと言えば『かもめの玉子』だと思う。
そして、この『かもめの玉子』が生まれたのも大船渡のさいとう製菓からだ。
さいとう製菓は震災で旧本社は津波で流されてしまったが、震災後、かもめテラスというスウィーツをテーマにしたテーマパークを作ってくれた。
このカモメテラスができたことで、大船渡のまちに息吹が宿ったような気がする。岩手県内陸部からは車で2時間ほど、大切な恋人や家族とともにする時間を過ごすために大船渡までの道のりはいつもとても幸せな時間だった。
かもめテラスでお土産を買い、そしてカモメソフトを頬張る。

恋人や家族と、気軽にかつ特別な時間をすごす場所ってとても必要だと思う。特別に高級な宿や、高級な料理や、アクティビティを求めているわけでなく、そこに行くだけで自然体で幸せになれる場所、そんな場所が僕は好きだ。震災後、大船渡に何度も足を運んだのは大船渡が僕にとってそんな場所だったからだと今改めて思う。
また行きたい。大切な人たちと。
幸せになれるまち、大船渡へ。