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第一印象がよくない人の方が長い関係になる理由

初対面で少し話をしただけの時、「あ、この人は私と合わない人だな」と思うことは数多くあるだろう。よほど人は千差万別であり、風貌、仕事、考え方、物言いといった、考えられるバリエーションは全てある。そういう私自身も一つのバリエーションなのである。だから、むしろ合う人の方がよっぽど少ない。最初のうちは表面的には差し障りのないように接していても、一緒に行動していると「合わない」部分というのは必ず出てくる。第一印象がよくないというのは、その第一歩から合わないという印象を得るほどに合わないということである。
ダイバーシティという。多様性を受け入れようという。それはつまり誰でも千差万別だという前提にたてば、誰でも誰とでも合わない部分を持ち合わせているということだ。相手が自分と合わないと思う一方で、自分も相手に対して合わない部分を持っているのだ。そこのところは議論できない部分であり、言ってみればプライバシーである。つまりお互いにそこには踏み込むことをせず、批判や評価をせず、尊重されるべきところであるといえる。尊重というとおおげさに聞こえるが、要は放っておくべきところとということだ。
それでは合わない部分を取り除いて接することができるのだろうか。多くの場合、「合わない人」に「会わない」でいることはまずできない。仕事の取引先であったり、ご近所さんであったり、はたまた親族であったりするからだ。それが嫌で思い切って引っ越したとしても、その先には「合わない人」がかならずいる。ダイバーシティである。人間社会とはそういうものである。ではどうするか。「距離を取る」のである。いろいろな方法が各人各様であるだろう。物理的になるべく会わないようにする距離のとり方、必要最低限の伝達しかしないという方法、など考えられるが、私がデンマークでこの、合わない人との接し方について感じたのは「我慢せず言葉にして距離を取る」ということである。会話が良くできなかった私は聞いたり読んだりして納得するしかできなかったが、きちんと言葉にすることが良しとされているデンマークでは発言したという行動を判断せずに受け止めてくれるので、言葉で相手との距離を取ることが容易だったようなのだ。
ところで、第一印象が良くないという場合、自分が真っ先にするのは「距離を取る」ということだ。それによって、自分も相手も不愉快な気分になることを最大限回避できる。しかし必要最低限の伝達は日常生活において必要なので行うことになる。これが実は図らずして上手な距離の取り方になっているように思う。結局この距離のとり方によって、長く関係を続けることができる。今までの経験上かなりこれは事実である。「嫌な人だな」と思ったらその人を大切にしなければいけない。「大切に」というのは、嫌だと行って雑に扱うのではなく、踏み込まない部分をきちんと押さえておくということである。きっと長い付き合いになる。不思議なものである。

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