見出し画像

音響オペレータの基礎知識①


 音響オペレータとして必要な知識を書いてみます。
 大きなイベントのオペレータというよりライブハウスでどう鳴らすかという観点で書きます。
 
 電源onの順番など当たり前のことはおいておいて、
 一番重要なのは、ハコの周波数特性の把握です。
 ハコの奥行きの長さと、音の波長の関係を知らねばなりません。
 波長λ=音速v/周波数f
ですので、
 例えば、ギター5弦開放の110Hzの場合、
 λ=340m/s ÷ 110Hz
  =3.09m
になります。
 ハコの奥行きがこの3.09mの倍数ちょうどで、壁が硬めの素材だった場合、5弦開放の音が止まらないほど伸びます。
 これを「定在波が立つ」といいます。
 よっぽど壁がデッドでない限り、どこかの周波数でゲインが高くなります。
 この定在波の周波数が演奏する曲のキーと一致したりすると、演奏者はミュートするのに苦労します。
 
 オペレータが出来る対策は2つあって、
 1)グライコでその周波数のゲインを下げる。
 2)スピーカーの向きを少し変えて、定在波の周波数をずらせるか、試してみる。
 
 それ以前にオペレータとして、定在波が立ってしまってる周波数がないか、有るとしたらその周波数、を知らねばなりません。
 本来は、ハコのPAを設置したときに、ハウリングマージンを稼ぐために、グライコの設定をやるべきです。

 定位置にマイクをおいて、どんどんフェーダーを上げていきます。
 毎回同じ周波数でハウリングするなら、そこが定在波によってゲインが高くなっている周波数です。
 スマホのスペクトラムアナライザで周波数を監視しながらやると周波数がすぐにわかりますので、グライコを迷わず調整できます。
 
 オペレータとしては、「演奏に支障がでるほどの周波数特性の暴れがあるかもしれない」というのを常に意識する必要があります。
 ですが、ステージでギターを弾いていて、低音弦の特定のフレットで定在波が立ってしまってそこだけ音が止まらなくて苦労していても知らんぷりのライブハウスが多いのも事実です。
 
 チャンネルごとのイコライザをいじったり、リバーブを加減したりするのはその後の話です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?