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とにかく褒めてくれる人。

眠れない。
何をどうやっても眠れない。
今日もあれこれ失敗して
ダメ、アタシ、泣いチャウ。
だれか、私を褒めて。
そして慰めて・・・
そんなおセンチチックな夜。

ふとオススメに上がってきた
「とにかくあなたを褒めたいチャンネル」
なるもの。

いやだ、こわい。
心のなかで思ってただけなのに
オススメで出てくる怪奇現象。

まて、これはおそらく天使の仕業(?)

どれ、ここはひとつ
「とにかくあなたを褒めたいチャンネル」を
試してみようか。

フンフン、朗読系ね。
褒められながらいい気分になって
眠れるってわけね。

いざ。

「今日あなたは、ちゃんと起きれました。
 …………えらいです。」
えぇ、えぇ。私は大人だからね。

「あなたは、お仕事でしたか?それとも
学校?……………行けることが……すごいです。」
まぁね、諭吉、いや、栄一のためよ。
稼がないとね。

「あなたは急いでいても、ちゃんと
赤信号で止まれました。……立派です。」
え?当たり前やんけ。

「あなたは今日、小さなゴミをみつけて
拾いましたね。地球を少しキレイに
できました………すごいです。」

…………………いや、ごめん。
ゴミは拾ってない。

「あなたは、今日、たくさんの人を
笑顔にできました。………すごいです!」

……………いや、しとらんです。
っていうか、一日中不機嫌をふりまきました。

あぁぁぁぁぁ、ダメだ。
些細なことを褒めてくれる人に対して
イチャモンつけてるよ。

次の「褒められポイント」を待って
脳みそが余計に覚醒してるよ。
眠れないよぉぉぉ!!

これでは「とにかく褒めてくれる人」に
失礼が過ぎるではないか。
よし、仕切りなおし。
キレイな澄んだ心で挑むことにする。

「あなたは今日、空を見上げましたね・・・
 すてきです」
 うん、空はいい。

「あなたは今日、風を感じましたね・・・
えらいです。」
まぁ、強風でしたが。

「あなたは今朝、太陽の光を浴びました。
 力が漲っていて、カッコいいです。」
えっと、朝陽は苦手です・・・。

いやぁぁぁぁぁぁ!!
私、黒い!荒みすぎ!
屁理屈こきオンナみたいぃぃぃ!!

褒めてくれる人が悪いんじゃぁない。
このチャンネルはきっと
色んな人の力になれているんだよ。
毎晩聞いている人もいるんだってば。

だがしかし、
褒められ慣れていない
屁理屈こきのオンナが聴いていい
チャンネルではなかったようだ。
ごめん。

こうなったら
「自分で自分を褒めたいと思います」
って言っておこう。
きっとメダリストになれるはず。

そうだ、いいこと考えた。
私はこれから、
意地でも眠りたくない人向けの
「とにかくどうでもいい話を
無理やり聞かせる人」のチャンネル
を開設しようと思う。
エンドレスで
何のためにもならず、知識もつかず
どうでもいい話を
「もう、やめてぇぇぇぇぇ」というまで
語り続けるヤツ。


「あなたのアイデアは……
とても……くだらないです。」

いや、そこ、褒めるとこやって!!







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