エイドリアーーーーん！！と叫んでみた。

先週からちまちまとやっている仕事が
そろそろ、やっと、
終わりをむかえようとしていた。

自分の仕事の中でも、
一番頭を使わなくて
一番時間だけがかかる仕事。

「明日会社に来たら
親切なコビトたちが終わらせて
くれていたらなぁ・・・・」
と、いつも思う仕事。

と思うけれど
順番とか、いろいろ
ぐちゃぐちゃになるとややこしいので
結局ひとりでする羽目になる仕事。

それがやっと、やー－－っと、
終わろうとしている！！！

その瞬間、私の頭の中に、
あのテーマが流れ始めた。

「ロッキーのテーマ」

てってーてててーてててーてててっ
てってーてててーてててーてててー－－

ててーててーててっててー－－－－－－
ててーててーててっててー－－

ちゃちゃーーちゃー－－ん
ちゃちゃー－ちゃー－－－－ん
ちゃちゃー－ちゃー－－ん
ちゃちゃーちゃー－－ー－ん

ちらりーりちっちりー－－
ちゃちゃちゃーちゃちゃっちゃらー－－ん
フッフゥーー
・・・・・

よし、盛り上がってきた。
生卵１０個飲むよ。
んで、オェて言うよ。
そして、ランニングに行くよぉぉぉぉぉ！！！

（この時、実際はセロテープを必死に引っ張り
　紙をクリアファイルに貼り付けていた）
　

私は今、ロッキー。
美術館の階段を駆け上がり
シュシュっ！シュシュっ！！
とシャドウで相手を打ちのめしている。
セィセィ！
（おそらく、あと２００回
　セロテープを引っ張れば・・・）

そして両手を上げて

わー－－－－－！！！
ガッツポーーーーズ！！
オレはー－－やれるー－－！！

トレーニングも完璧だ。
よし、次はリングへ上がるのだ。
（あと１００回！）

アツい、アツい！！
汗まで出てきた。
よし、この調子だ。
（あと５０回・・・）

打たれても打たれても
立ち上がる。
そう、私、今、
ロッキー。

そして、ついにその瞬間が
やってきた。

エーイドーリアーーーーーン！！！
すーきーだぁぁぁぁ！！

腹の底から湧き上がる声！

ふぅ。終わった。頑張った。
わたし、頑張った。
汗だくだ。
心なしか息も上がっている。

ふぅ。勝った。
チャンピオンに勝ったのだ。

ニヤニヤしている私に、
前の席に座っている
女性の職員さんが

「今、何か言いました？？」と聞いてきた。

ヤバイ。

本当に
エーイドーリアーーーーン！！！
って、言ってたらしい。

「ううん。なんでもないよ。ウフフフ」
そう答えるしかなかった私。

まったく、しょうもない
事務員だよ、オイ。
なんかごめんネ。

来週からは本格的に
繁忙期。
でも大丈夫。
オレにはエイドリアーンが
ついている。

さ、セロテープ片付けて
帰ろ。