Crossing Oceans (クロッシングオーシャンズ)
ボドゲ紹介アドベントカレンダーに投稿するのも早いもので3年目。今年は、私のボドゲ人生で最も影響を受けたと言って良いデザイナーであるマック・ゲルツ先生の最新作、「クロッシングオーシャンズ」を紹介します。
この記事はボードゲーム紹介アドベントカレンダー15日目の記事となります。
クロッシングオーシャンズは2017年に発表されたトランスアトランティックというゲームの改良版になります。プレイヤーは20世紀初頭に活躍した海運業者となり、世界中の海で自分の持つ商船(蒸気船)を就航させ、その収益を競い合うことがテーマです。
トランスアトランティック
さて、前作であるトランスアトランティックはどんなゲームだったかを知ってもらわないと、クロッシングオーシャンズにおいて何処が改良されたかを説明できませんね。というわけで
こちらがトランスアトランティックです。
ゲルツ先生があの超名作コンコルディアを発表した後、初めて発表する完全新作だったので期待も高まったのですが・・・
日本語版は出ておりません。和訳付き・・も出ておりません。
悲しいです。
ゲームのシステムはコンコルディアと同じハンドマネジメント。アクションを手札で行い、使った手札は手番を使って回収し、カードを増やして手札をアップデートしていく、今となってはおなじみのシステムです。
カードを使って船を購入し、就航させ、輸送を行って収益を得、その収益で新しい船を購入する・・・を繰り返していきます。
カードのアップグレードは使用済みカード回収の際に行われます。
船が売り切れるとゲーム終了トリガ。数ラウンド後にゲーム終了です。
主に、購入した船の数が勝利点に繋がります。
ゲーム自体はそれほど難解というわけではないのですが、全体的にもっさりしている、切れ味がないという印象です。ハンドマネジメントなのでコンコルディアにプレイ感が似ていることもあり、コンコルディアと比較されてしてしまうこともたびたび。
売れ残って市場を流れてしまった船が、同グループの船の価値を上げるというシステムもわかり辛いかも。
ゲルツ先生の作品全体にあるゲームシステムの美しさが少ない感じがします。
あと、ボードのデザインが淡白だったり、船をグループ分けする旗の色の視認性が悪いです。船の旗はゲームの勝敗にとても大事な部分なのに。
面白くはあるのですよ。ただ、氏の他の作品があまりにも素晴らしいために評価が下がっているそんな感じです(信者の意見です)。
クロッシングオーシャン
多分、多分なのですがゲルツ先生も感じていたのでしょう。漂う残念感を。
5年かけて美しくディベロップしてくれましたよ。流石です。
さて、何がどう変わったのかを紹介していきたいと思います!
まずは見た目!
なにこれかっこいボード・・・
書いている内容はトランスアトランティックと大きく変わらないのですが、大きなボードと世界地図が臨場感を醸し出します。臨場感大事。
蒸気船、カードからタイルに変わって取り回しが楽になりました。
さらに、旗に柄がついてわかりやすい・・・
また、取得した旗はチップで示されるので、非常に管理がしやすい。
そしてロンデル!
ボードの画像からもうおわかりかと思いますが、クロッシングオーシャンズはハンドマネジメントを捨て、ロンデルへと回帰しました。
トランスアトランティックでは基本8+拡張11種類あったアクションから類似したアクションが削られ、厳選された7種が残りました、それぞれのアクションもやることが明確になり、効果もわかりやすくなりました。
ロンデルは人生!
…
ちなみに、余談ですがこの「ロンデルは人生」というのは私の座右の銘でもあります。意味については謎が多いのですが、過去には友人がこんなTシャツをプレゼントしてくれたりもしました
ストレス無いプレイのためにルール変更!
流された船は旗の色ごとにドッグに貯まり、ここからも購入可能になります。旗のグループを集めやすくなり、ストレスが少なくなりました。流れた船が船の価値を上げるルールもなくなりました。
トランスアトランティックでは船を配置できる効果をもつカードを出さなければ船の配置ができなかったのですが、クロッシングオーシャンズでは自手番の始めに1隻配置できるようになりました。
配置できないorしない場合は契約書(使うと0.5アクションくらいの効果がある)がもらえます。
海域から船を押し出すと、他の海域の空いているところに移動するとかややこしいルールもなくなりました。
明快な得点計算!
旗チップにより集計がやりやすく、個人ボードのセットコレクションがなくなり、ゲーム中に頭の中での勝利点計算が楽になりました。
とまぁ、
全てにおいてトランスアトランティックを上回っている(個人の所感です)クロッシングオーシャンズ。もし機会があれば是非プレイしてみてください。
この記事でこのゲームや他のゲルツ作品に興味を持っていただければ私は幸せ者です。
まだ日本では手に入りにくいみたいですが、どこかが日本語版出してくれる!という期待を胸に、締めくくらせていただきたいと思います。
ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。
おまけ
ルールの注意点&バリアント
・商館は7つありますが、BGAでのゲルツ氏本人の書き込みによると、商館の数は無限なので、足りなくなったらなにかで代用してくれとのこと。彼が言うにはゲーム中商館が足りなくなることはなかったらしいのですが、この前私が3人プレイで遊んだときには足りなくなりました。4人プレイだとなくならないのかな・・・。
・商館を立てるとき、先に建てている人に対して30金払うのですが、これを50金にするとキツめのゲームになり良い感じだそうです。個人ボードの支払金も50-100-150にしましょうとのこと。このルールだと商館が切れることもなくなるのかな。
こちらのバリアントルールでも今度やってみたいですね。