中日新聞の三重県内地域面
仕事の都合で6月下旬まで1か月ほどの予定で三重県伊賀地方に住んでいます。これを好機に2020年6月6日(土)、三重県内で新聞流通調査を行いました。その結果を3回に分けてご報告します。今回は中日新聞の県内地域面全てをご紹介します。
三重県内の地域面は8種類
中日新聞の地域面は4ページ構成です。三重県内では地域面で最もページ数の若い面が、県内7地域ごとに紙面が異なる、いわゆる「子版」となっています。
子版は以下の通りに7地域に分かれています。
北勢版(四日市市、桑名市、いなべ市、木曽岬町、東員町、菰野町、朝日町、川越町)
鈴鹿・亀山版(鈴鹿市、亀山市)
伊賀版(伊賀市、名張市)
津市民版(津市)
松阪・紀勢版(松阪市、明和町、多気町、大台町、大紀町)
伊勢志摩版(伊勢市、鳥羽市、志摩市、玉城町、度会町、南伊勢町)
くろしお版(尾鷲市、熊野市、紀北町、御浜町、紀宝町、和歌山県新宮市、同県那智勝浦町)
くろしお版は和歌山県にもまたがっているのが特徴です。
この他の3ページはページ数順に「広域三重」「三重版」「三重総合」となっており「広域三重」「三重総合」は全県共通紙面です。題字は子版と「三重版」のページのみ掲載されています。「三重版」はくろしお版地域のうち熊野市以南で「紀州版」に差し替えられています。
よって県内の地域面は、地域によって8種類存在することになります。
子版で共通するもの・しないもの
7子版は完全にそれぞれが独自に編集されています。6日付紙面を眺めると、共通するもの、しないものを見つけることができます。
子版題字下の広告は、北勢版と鈴鹿・亀山版が朝日楽器、他の5子版はミエライスのものと分かれました。一方、記事下スペースは全ての子版で、洋洋住研と日之出不動産がそれぞれ半5段(高さが15段組の5段分で横幅が紙面半分のサイズ。中日新聞は12段組なので高さは4段分に相当)広告を出稿しました。また記事中広告も共通で、ふじや本店のものでした。
編集面では、特定定額給付金の相談窓口が各管内の市町ごとに掲載されています。ただしくろしお版は三重県内5市町のみで、和歌山県2市町の掲載はなし。津市民版と鈴鹿・亀山版は共通して津、鈴鹿、亀山3市分が載っています。
おくやみ(訃報)は広域三重面での掲載で県内分がまとめられていますが、おめでた(出生情報)は子版掲載で各エリアの分しか載っていません。
題字下広告のさらに下には「めだかのうた」という定型コーナーが全子版共通で載っています。親子の微笑ましい会話を読者が投稿するコーナー。松阪・紀勢版には投稿案内が掲載され、送り先は三重総局となっていました。
共通記事も見出しいろいろ
記事は、関係地が複数のエリアにまたがるなどして複数版に掲載される場合がありました。また、津市の伊勢花しょうぶ園でハナショウブがもうすぐ満開になりそうだというニュースは、津市民版の他に鈴鹿・亀山版、伊賀版、松阪・紀勢版にも載ったのですが、それぞれで見出しが異なりました。
津市民版「系統いろいろ もうすぐ満開 伊勢花しょうぶ園で色づく」
鈴鹿・亀山版「ハナショウブ20万株涼しげ 津」
伊賀版「紫や黄色 20万株多彩 津の花しょうぶ園」
松阪・紀勢版「系統いろいろ もうすぐ満開 津・伊勢花しょうぶ園」
津市民版では「津」が見出しに入っていないのが特徴的。津市民版と松阪・紀勢版で見出しがほとんど共通しているところを見ると、紙面編集の担当者が共通しているのかなと思ったりします。
またエリア外の記事を載せている例としては、岐阜県海津市の「海津温泉」リニューアルオープンが北勢版で伝えられています。海津市は北勢版地域の桑名市、いなべ市と隣接していることから、近隣のニュースとして掲載されたようです。
地域ならではの定型記事
先述のとおり、おめでたや「かえるのうた」などの定型コーナーは共通してあり、他にも救急当番や献血車情報、ケーブルテレビ番組案内など一般的に新聞の地域面でよく見かける定型記事が載っている場合もあります。
これとは別に地域ならではの定型記事が載っている子版がありました。
「遠洋漁船だより」が掲載されたのは伊勢志摩版とくろしお版。礫浦(さざらうら)、和具、尾鷲、三木浦、引本、長島の各漁港(伊勢志摩版での掲載順)の遠洋漁船について、静岡、鹿児島両県の漁業無線局ホームページの情報を基に動静を伝えています。くろしお版では漁港の順番が、尾鷲、三木浦、引本、長島、礫浦、和具の順に変わります。
伊賀版とくろしお版には近畿宝くじの当せん番号が載っていました。近畿宝くじの発売区域に三重県は入っていませんが、近畿地方との結び付きが強いため掲載されているものと思われます。三重県で発売されている関東・中部・東北自治宝くじの当せん番号は第3社会面で伝えています。
ほぼ題字差し替えのみの紀州版
さて、県版にあたる「三重版」面は熊野市以南で「紀州版」に差し替えられていることは先ほども記しました。しかし、記事や広告は三重版と共通で差し替わっているのは題字と、取材拠点の連絡先の順番のみです。和歌山県の読者もいるはずの紀州版でも、三重県の行政ニュースの書き出しが単に「県は」で済まされているほか、天気予報も三重県内の地点のみになっており、和歌山県読者を意識した紙面編集はしていないようです。
番組欄は3種類
テレビ・ラジオの番組情報は3種類存在しています。名張市で購入した伊賀版紙面では最終面テレビ欄が「伊新」版、中面BSラジオ面が「伊賀・第二紀州」版。熊野市で購入したくろしお版(紀州版)紙面では、最終面が「紀州」版、中面が「紀州牟婁」版。それ以外は最終面、中面ともに「三重」版でした。
「伊新」「伊賀・第二紀州」版は三重県伊賀市・名張市と和歌山県新宮市・那智勝浦町向けの紙面とみられ、「紀州」「紀州牟婁」版はくろしお版の三重県内向け紙面ではないかと思われます。
最終面の「伊新」版では、他と違って在阪局が全てフルサイズで掲載され、在名局では中京テレビとメ~テレはハーフサイズに格落ちしています。CBCテレビと東海テレビがフルサイズなのは中日系の放送局だからでしょうか。
「伊新」「伊賀・第二紀州」版の番組紹介記事では同じ番組でも放送局名が在阪局になっています。
今回入手した中日新聞
入手地、1面版数表記、最終面テレビ欄版数表記、中面BSラジオ欄版数表記の順で記述。FMはファミリーマート、SEはセブン─イレブン。
北勢版 FM近鉄四日市駅前ふれあいモール店、11版、三重、三重
鈴鹿・亀山版 SE鈴鹿白子駅前店、11版、三重、三重
伊賀版 FM近鉄名張駅前店、10版、伊新、伊賀・第二紀州
津市民版 FM近鉄津駅ホーム店、11版、三重、三重
松阪・紀勢版 FM近鉄中川駅4番ホーム店、10版、三重、三重
伊勢志摩版 FM伊勢本町店、10版、三重、三重
くろしお版(三重版) FM尾鷲中央町店、10版、三重、三重
くろしお版(紀州版) FM熊野井戸店、10版、紀州、紀州牟婁
次回は全国紙の地域面について見ていきます。
おことわり
三重県では法律に基づく新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が5月14日に解除され、県独自の緊急事態措置も同15日に解除されました。県知事による同日のメッセージで「県内における移動についてお控えいただく必要はありません」とされていることなどから、調査実施可能と判断しました。常時マスクを着用し、鉄道利用時は他の乗客と距離を保つなどの対策を取りました。
※本記事は2020年6月7日にCharlieInTheFogで公開した記事(元リンク)を転載したものです。