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「企画立案」と「総合調整」の含意

 内閣法や内閣府設置法にある「企画及び立案」や「総合調整」の意味するところについて。

企画立案

 田中一昭・岡田彰(2000)によると、橋本行革の議論が行われていた1997年当時、行政改革会議事務局が起草したドラフトでは、内閣官房の企画・立案権については案を重ねるにつれて後退していったという。

 1997年6月12日の第1次案では「内閣の重要政策に関する企画、立案」だったのが、同15日の第2次案には「閣議に係る重要事項に関する基本方針に関する企画」に、同23日の第3次案では「閣議に関する重要事項に関する基本的な方針の企画」となった。

 この経緯を岡田は次のように解説している。

 「内閣」が「閣議」に、「重要政策」が「重要事項」に、「企画、立案」が「企画」にと、後退が一目瞭然である。なぜ「立案」を排除しようとしたのか。いわゆる官庁用語では「企画立案権」とは、単に案を起草するだけでなく、他省庁に優先する所管の事務として法案提出権を有することを意味する言葉である。

田中一昭・岡田彰(2000)97ページ(太字は引用者)

 なお、その後橋本龍太郎首相が7月2日の行革会議で事務局主導の議論の方向づけを牽制する発言をし、委員主導による起草へと転換されて内閣官房による「企画、立案」が復活することになる。

総合調整

 2015年9月に、内閣官房行政改革推進本部事務局次長(当時)の山下哲夫が参院内閣委で答弁した内容によると、調整は各省がその所掌事務を行うためのもの、総合調整は内閣を助けて各省の所掌事務を超えて行うものと整理されている。

 各省は設置法で任務と所掌事務が定められているところでございますが、調整といいますのは、各省のその所掌事務を遂行するために必要な場合に関係省と相互に行うというものでございます。
 これに対しまして、総合調整は、行政各部の施策の統一を図るという目的で行われているものでございまして、内閣、内閣総理大臣が指導性を発揮して国政の重要課題に戦略的に対応していく必要がある場合に、内閣を助けて行う調整ということで、各省の所掌事務を越え内閣の立場で行うということで総合調整と呼ばれております。

第189回国会参議院内閣委員会議事録第23号、3ページ

参考文献



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