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2024衆院選 候補者一覧の派閥表記が各紙で微妙に異なっている

 2024年衆院選が15日、公示され、一般紙各紙は16日付朝刊で全国の候補者一覧を掲載しました。自民党派閥の政治資金問題をめぐり、除名や非公認などの処分、派閥の解散などさまざまな動きがあった中での総選挙ということで、候補者一覧に掲載される情報が、新聞によって微妙に異なっています。


自民党(旧)派閥の表記

 現在、自民党の派閥は麻生派(志公会)のみが現存し、安倍派(清和政策研究会)、茂木派(平成研究会)、岸田派(宏池会)、二階派(志帥会)、森山派(近未来政治研究会)の5派閥は解散しています。

 近年の国政選挙では派閥表記をしていない朝日新聞は別として、毎日、読売、日経、産経の4紙は旧派閥も含めた所属の表記をしています。

 このうち共同通信の配信データを使用していると思われる毎日、日経、産経の3紙は、麻生派のみ丸囲み(毎日は四角囲み)、それ意外はカッコ書き表記として現存派閥と旧派閥を書き分けました。読売新聞は麻生派・それ以外を問わず四角囲み表記です。

 読売と日経は、旧派閥については2023年12月1日時点の所属であることを明記。日経はさらに「麻生派は退会した議員を除いた。自民党に所属するが非公認となった前職には旧派閥名をつけた。参院議員からくら替えする自民党の新人にも旧派閥名を付した」と詳しく基準を明らかにしています。毎日と産経は出身派閥の判断基準は特に記載していません。

非公認・旧党籍の表記

 朝日新聞は「自民の裏金問題に関与した無所属の候補」に、丸囲みの「自」を付しました。

 読売新聞は「国会議員経験者が最後に立候補した国政選での党派」を「旧党籍」として丸囲み表記しています。

事例

2024年10月16日付朝刊 候補者一覧の党派表記

 具体的な候補者の事例を見ていきます。

 まず、政治資金問題で自民党を離党した世耕弘成氏と、党籍はあるものの非公認となった萩生田光一氏を比べます。毎日、日経、産経は両者ともに旧安倍派出身の表記を付しましたが、読売は世耕氏は前回自民候補のマークを、萩生田氏は旧安倍派出身のマークを付して書き分けています。

 派閥退会組は、基準日の記載がなかった毎日と産経も含めて、朝日以外の4紙がそろいました。麻生派を独り退会した岩屋毅氏は派閥表記がなくなった一方、事実上の派閥分裂の形で参院議員らとともに旧茂木派を退会している小渕優子氏には茂木派出身の表記が残るのは、なんとも釈然としないものがあります。

 元職の候補も微妙に違いが出ています。2021年総選挙で落選した大西宏幸氏に、岸田派出身のマークを付すかどうかが分かれました。記載しなかった産経新聞も、いわゆる「パパ活」報道を受けて任期途中で辞職した宮沢博行氏には旧安倍派出身のマークを付けていて、必ずしも元職かどうかで区別しているわけではなさそうです。

 いつもの選挙とは異なる混沌を前に、名簿ひとつとっても、どのように伝えれば要を得たものになるか悩ましい今回の総選挙であります。


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