2021衆院選新聞調査(1)朝日新聞
※2021年11月2日にCharlieInTheFogで公開した記事(元リンク)を転載したものです。
第49回衆院選は10月31日投開票され、自民党は選挙前から議席を減らしつつも、追加公認を含めると絶対安定多数を単独で確保する261議席となり、一方野党は、立憲民主党が野党共闘で候補者を一本化した小選挙区では善戦しつつも比例代表で議席を伸ばせず、合計議席数が選挙前割れという結果になりました。また日本維新の会が選挙前の4倍近くへと躍進する結果となりました。
新聞は印刷拠点と配達地域との距離に応じて複数の締め切りを設定し、印刷拠点により近い地域には遅い時間の情報を反映する体制を構築していますが、大型国政選挙の翌日付の朝刊は刻一刻と進む開票状況をなるべく反映するため、いつもよりも多くの版を製作し、締め切り時間も遅く設定する特別態勢を組みます。
今回は各社はどんな版建てを組み、どのように紙面を差し替えていったのでしょうか。11月1日に福岡から大阪まで「JR西日本どこでもきっぷ」という企画乗車券を使って移動し、各地で新聞を収集しましたので、各紙の反映状況を記録していきたいと思います。
第1回は朝日新聞です。
野党共闘「一定の効果」→「生かせず」
朝日新聞で入手したのは大阪本社の14版、15版、16版と西部本社の14版、15版、16版の計6個版です。
最も目を引く差し替えは、1面で野党共闘の効果に対する評価ががらっと変わっている点でした。西部本社版で見てみます。
【1面トップ 縦見出し1本目】
14版 立憲、共闘に一定の効果
15版 立憲、共闘効果は限定的
16版 立憲後退 共闘生かせず
【1面トップ 本文中、立憲の議席情勢】
14版 公示前勢力をうかがう情勢
15版 公示前勢力に届くか微妙な情勢
16版 公示前勢力に届かない情勢
【1面トップ 本文中、野党共闘で一本化した選挙区について】
14版 一本化した小選挙区の多くで与党と接戦を演じ、共闘で一定の効果を発揮した。
15版 一本化した小選挙区の多くで与党と接戦を演じたが、共闘の効果は限定的だった。
16版 一本化した小選挙区では公示前の48議席から伸ばしたが、比例区の議席が減少。共闘の効果は限定的だった。
朝日新聞は他社と比べても野党に厳しい情勢の予測をしていましたが、それでも投票終了の20時にデジタルで配信した記事(外部リンク)で、立憲民主党は公示前(109議席)と「同程度の議席数になるとみられる」との予想でした。
接戦が多く、ここまでの劣勢まで正確に予測するのは難しかったようです。