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容器革命を巻き起こしたワンカップ大関
■角打ちとは?
前回までの酒販免許とはちょっと話は変わって、最近、流行りの大衆酒場的な業態で「角打ち(カクウチ)」というものがあります。
◇角打ち
①酒屋の店内において、その店で買った酒を飲むこと。また、それができる酒屋のこと。
②上記の意味から派生して、安く飲むことができる立ち飲み屋を「角打ち」と表現することもある。
「角打ち」とは、酒屋での立ち飲みを表す九州北部地方の言葉のひとつ(方言)であったが、角打ち発祥の地と言われる北九州地域において、工場や炭鉱、港湾等で働く労働者が、仕事帰りに酒屋で酒を飲んでいたことが「角打ち」として定着し、全国にその呼び方が定着していった。
前回からの記事を読んでいる方は、もう気がつかれたかと思います!
そう!
①と②は、法律上は違うカテゴリーに属します!!
◇角打ち
①店内において、その店で買った酒を飲める酒屋 = 酒販免許
・未開栓のお酒を売ってもらい、お客様に開栓してもらって飲ませるか、
コップに「量り売り」したお酒(歴史的には日本酒)を飲ませる。
・食事の提供は不可。
(ただし、店内で買った缶詰や、乾きものをつまむのはOK?)
②安く飲むことができる立ち飲み屋 = 飲食店営業許可
・思いっきり飲食店です。居酒屋の経営と一緒。
■角打ちは量り売り
歴史的に、「角打ち」は酒屋さんの付属サービス的なもので、「量り売り」の一形態です。
第二次大戦後の貧しい時代に、
その日を一生懸命に働いた労働者を癒してくれるコップ1杯の日本酒。
これが角打ちの原点です。
ただ、次第にこの「酒屋さん併設の角打ち」が繁盛・発展し、また戦後復興の中で「居酒屋」が増えてくると、問題が発生します。
◇居酒屋経営者の声
あそこの角打ちは、もはや酒屋ではなく、飲食店=居酒屋だろ!
飲食店として俺らのライバルになるわけだし、そもそも、酒屋が居酒屋化して、お酒を提供するのは、お酒の仕入原価も違うわけで、ズルいんじゃねーかい!?
■再三に渡る飲食業界からのクレーム
飲食店業界からは、再三、酒販業界へクレームが入ります。
もはや酒屋ではなく、飲食店=居酒屋だろ!
その都度、酒販業界では、トップからそれぞれの酒屋さんに、通達が出ます。
本来、我々のお客様(お酒の販売先)であるはずの飲食店さんからクレームが来ていますよ!
食べ物の提供はダメですよ!!
あくまで、ウチらは「量り売り」の立場ですよ!!!
再三の通達には関わらず、状況が改善しないことに業を煮やした飲食業界は、衛生意識の高まってきた当時、食品衛生法を盾に、酒販業界に角打ちの撤廃を求めます。
◇飲食店業界の声
ウチらは、食品衛生法に則って、厳しい保健所のチェックを受けて、飲食店営業許可をもらって、やっと営業している。
お宅らは、ろくに水回りもないけど、食品衛生面で大丈夫なの?
そもそも、「量り売り」で日本酒を入れているコップが、不衛生ですね!
衛生面からも、「量り売り=角打ち」は、やめるべきではないですか??
このもっともな理屈に、酒販業界は、
角打ちで、日本酒を提供する際は、
使い捨ての紙コップを使用すること!
という通達を出します。
でも、
紙コップなんて、雰囲気がでないし
一日の疲れを癒してくれないわ!
と通達に従わない酒屋さん(角打ち)が続出。
飲食業界と酒販業界との交渉も限界が来ていた時に、画期的な商品が誕生します!
■革命のワンカップ大関
そう!
この当時に登場したのが、カップ酒です!!
カップ酒は、前の東京オリンピックの開催された1964年に、大関が最初に商品化しました。
いわゆるワンカップ大関です!
誰でも一度は見たことがある、あのカップ酒は日本初の大発明 ! – SYULIP
カップ酒は、
・使い捨て = 衛生的!
・紙コップにはない重量感(質感) = 情緒的価値もOK!
だったので、角打ちを中心に爆発的ヒットとなったのです!
これは、日本の酒類史における容器革命の中でも特出すべき事例だと思います!
■行きすぎた容器開発
次回へと続きます。
※ タイトル写真は、大関HPより引用しています。
大関 公式オンラインショップ (ozeki.co.jp)