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「日本産ウイスキーの輸出減少」と輸出相手国の「景気」。そしてジャパニーズウイスキーの定義。
■前回からの続きです。
《日本国産ウイスキー》中国への輸出が急減!!|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)
2023年の日本国産ウイスキーの輸出は、前年を大きく割り込みました。
(数量・金額とも大きく前年マイナス)
◇2023年 日本国産ウイスキーの輸出状況
【輸出量】
2023 年年間 約1293 万リットル
(対前年同時期比 9.3%減)
【輸出金額】
2023 年年間 約501 億円
(対前年同時期比 10.6%減)
202312_whisky_statistical_data.pdf (jwic.jp)
酒類の輸出動向(令和5年分)|国税庁 (nta.go.jp)
ポストさんてん日記 酒類の輸出状況(日本酒・ウイスキー・ビール) (fc2.com)
そして、それはNo.1かつ構成比が約3割を占める中国が不景気で、日本産ウイスキーの輸入を大幅に減らしていることが一番の理由らしい。
◇日本国産酒類の輸出相手国
ウイスキー 1位:中国
[金額構成比 26%] (前年比 -33%)
清酒 1位:中国
[金額構成比 30%] (前年比 -12%)
このように数字上は、「中国の不景気によるマイナス影響で、日本産ウイスキーの輸出そのものも減っている」と言えそうです。
そしてその輸出量減のトレンドは日本国産ウイスキーのみならず、清酒も同様なことが起きています。
では、中国の不景気がおさまれば、再び日本国産ウイスキーの輸出は順風満帆なのでしょうか?
これについて今回は考えてみたいと思います。
■日本産ウイスキーの輸出相手国=2位以下の動向は!?
![](https://assets.st-note.com/img/1711884800818-SaBQn7JjSd.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1711884842184-JPy9h0WuQt.png?width=1200)
酒類の輸出状況」から引用
ポストさんてん日記 酒類の輸出状況(日本酒・ウイスキー・ビール) (fc2.com)
日本産ウイスキーの輸出先では、
「1位:中国」に続くのは、
「2位:アメリカ」
「3位:フランス+オランダ」
「4位:シンガポール」
です。(5位以下は少し金額が開くので省略)
あと、超わかりづらいのですが、「日本国産ウイスキーのEUへの輸出」の際、通関させる国を「フランス→オランダ」へ変えたメーカーがあるとの噂もあるので、今回は「フランス+オランダ(大きな意味でEU)」で、数字を比較してみたいと思います。
◇日本国産ウイスキーの輸出相手国(2023年)
1位:中国 約132億円
[金額構成比26%](前年比 33%減)
2位:アメリカ 約106億円
[金額構成比21%](前年比 4%減)
3位:フランス+オランダ 約99億円
[金額構成比20%](前年比 22%増)
4位:シンガポール 約41億円
[金額構成比 8%](前年比 11%増)
3位・4位は、2ケタ増なのでコンディションは良いのですが、気になるのは「2位:アメリカ」の前年割れです。
■アメリカも景気の影響?
2023年のアメリカの景気は、
「不景気になるぞ!」と、2022年からずっと言われていたものの、
思ったよりも不景気にはならなかった。
という状況だったようです。
2023年の米国経済の動向と2024年の見通し | 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報 - ジェトロ (jetro.go.jp)
このアメリカへの輸出減のトレンドは『日本酒』も同様で、清酒も中国だけでなく、アメリカへの輸出も落としています。
◇清酒の輸出相手国(2023年)
1位:中国 約125億円
[金額構成比30%](前年比 12%減)
2位:アメリカ 約91億円
[金額構成比22%](前年比 17%減)
ちょうど、日経新聞(2024年4月5日・朝刊・17面)に、日本酒の輸出減についての記事がありましたので引用したいと思います!
『日本酒の輸出額 昨年13%減』
「中国、禁輸の余波」「米、物価高で不振」
高級銘柄、けん引約に
米国でもニューヨーク州やカリフォリニア州では高単価な日本酒が人気だ。ただ、全体でみればまだ少数派だ。(中略)ブレンドの定着には高付加価値は必要不可欠で、量から質への転換が求められている日本酒は正念場を迎えている。
このように中国同様に、経済の不確定要素から、2023年のアメリカでも、
比較的単価の高い嗜好品である
「日本国産ウイスキー(や日本酒)」がそこまで売れなかった。
ということが言えそうです。
■ジャパニーズウイスキーの定義の浸透
ただ、中国・アメリカへの輸出減は、本当に不景気の影響だけなのでしょうか?
個人的には、2021年に発表され、2024年4月~正式に適用となった「ジャパニーズウイスキーの定義」が、影響してきている部分があるのではないかと思うのです。
次回へ続きます!