![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89100389/rectangle_large_type_2_6cfb2056420ecbe0cdda32740cbbe4fc.jpeg?width=1200)
とにかく実直! イチローズモルトの『バッチナンバー』
■イチローズモルトのすごいところ
引き続き、私が思う「肥土伊知郎さん=秩父蒸溜所=イチローズモルト」のすごいところについてです。
今回は、「とにかく実直」=『バッチナンバー』についてです。
・2008年に蒸溜開始
・ウイスキー氷河期に自らBAR回りで営業
・つくり方が基本に忠実かつ超本格
・クラフトならではの斬新な発想、スピード感ある実現
・ハンパないウイスキー愛
・とにかく実直
■ウイスキーはブレンドするもの!
ブレンディッド・ウイスキーはもちろん、シングルモルト・ウイスキーであっても「ウイスキー」というものは、「シングル・カスク=1つの樽から」でない限り、複数の樽の原酒をブレンドして商品化します。
▽詳しくは▽
シングルモルトウイスキーは、原酒を混ぜ合わせてつくります!|チャーリー / ウイスキー日記|note
ブレンドをして「狙った味わい」に仕上げるわけですが、ウイスキー原酒は1樽1樽で味わいが異なるため、「完全に同じ味わい」になることはないです。
つまりブレンドによって、「ここからここまでの味わいの範囲」におさめるわけです。
そのため、ブレンドの度に、精密なレベルで言えば「違った味わい」の商品ができあがります。
ただ、普通に飲んでいれば「ほぼわからないレベル」のは味わいの差だとは思います。
■同じ商品でも、時代とともに味わいは少しずつ変えている!
商品化されるウイスキーの「味わいの差」については、ブレンド毎の「誤差」といった味わいの違いもあれば、味わいの「マイナーチェンジ」で、メーカー側が意図的に味わいを変えていることもあります。
これはビールでも、ウイスキーでも行われることで、「消費者が求める味わい」も時代とともに変化しますし、「味わいのトレンド」というものもあります。
あまり大きく味わいを変えてしまっては、「もはや別商品」ということになりますから、あくまで「その商品の骨格となる味わい」は残しながら、枝葉となる部分を変更するということになります、
そして、この「味わいの変更」は、「リニューアルして美味しくなりました!」とメーカー側から発表される場合と、マイナーチェンジのため「敢えては発表しない」場合があります。
ちなみに、「敢えては発表しない」場合のマイナーチェンジだと、最初に気がつくのはその商品のヘビーユーザー=愛飲者さんです。
何年間も、毎日同じ商品を飲んでいるので、その味わいが「舌」と「脳」に焼き付いているので、少しの味の変化にも「あれ? ちょっといつもと違うぞ!」と敏感に気がつくのです。
■スモール・バッチとは?
話は変わりますが、スモール・バッチというウイスキー用語をご存じでしょうか?
これはもともとバーボンで使われてきた概念で、例えば「ノブクリーク スモール・バッチ」というものがあります。
▽サントリーHP▽
製品紹介 サントリーウイスキー ウイスキー・オン・ザ・ウェブ (suntory.co.jp)
スモール = SMALL = 小さい
バッチ = BATCH = ひとくくり
なので、「小さな・ひとくくり」ということです。
具体的には、ウイスキー原酒をブレンドする際に、「選りすぐりの少数の樽からブレンドしました!」ということです。
バーボンは、スコッチと比べ1蒸溜所あたりの生産量が大きく、つくり方もダイナミック!
バーボンは製品化する際に、スコッチと比べかなり多くの樽を、豪快にブレンドするそうなので、このような「こだわりのスモール・バッチ」という商品が誕生したのだと思います。
スモール・バッチは、今ではスコッチ・ウイスキーでも使われる用語となっています。
■《本題》イチローズモルトのバッチナンバー記載!
まず、イチローズモルト・ホワイトラベルの裏貼り写真を見て下さい。
![](https://assets.st-note.com/img/1665894945688-emb9OU4zCf.jpg?width=1200)
このラベルの左下の部分に、唐突に「813」と記載されています。
これは、
「813回目のバッチ」でブレンドされたホワイトラベルです!
という意味なのです!
もう少しわかりやすくいうと、813回目にブレンドしたホワイトラベルということです。
この813回目の商品が全て瓶詰めされて出荷されたら、次の814回目のブレンドを行うこととなります。
この813は「バッチナンバー」とか「ロットナンバー」と呼ばれています。
前回までの記事でも「イチローズモルトの原酒の情報開示はすごい!」と書いてきましたが、この「バッチナンバー」の記載は、世界を探しても、なかなかやっているメーカーはいないと思います。
我々ウイスキー愛好家としては「100番までの味わいはこうだったけど、500番以降はこういう味わいがなって来ていますよね」といったような会話ができますので、嬉しい限りです。
また、ホワイトラベルはイチローズモルトの中で一番安いレンジのものですが、将来的に「バッチナンバー〇〇〇が美味しかった!」となれば、一気に希少性が高まります。
これはマーケティングや、ブレンディングの観点からも有効と思います!
ちなみに、ホワイトラベル以外のイチローズモルトにもバッチナンバーが記載されています。
■とにかく実直!
そして何より、お客様に「ウイスキーの原酒情報」を、「できる限り開示しよう」とする『実直』で『真摯』な姿勢に、「ベンチャーウイスキーさんはすごいなぁ」と感じるわけです。
こういった実直さが、他の蒸溜所さんからも尊敬を集め、「日本のクラフトウイスキー業界のリーダー」として、内外から認められているのだと思います!