スコッチ・カティサーク、その名前の由来とは? 《カティサーク②》
■カティサーク発売の背景
前回記事でご紹介しています。
すっきり系ブレンディッド・スコッチ『カティサーク』《カティサーク①》 | 記事編集 | note
英国のワイン・スピリッツ商のBBR社が、アメリカ禁酒法時代に、禁酒法の撤廃を見越して誕生したライト系スコッチウイスキー。
それがカティサークです。
■カティサークの名前の由来
さて、このカティサークというスコッチの名前ですが、調べると以下のような由来があるとされています。
「オイ! それぞれ、全然違うじゃねーか!」
という感じですが、実はこれ、全部繋がっているんです。
それについて、今回はご紹介させていただきます。
■スコッチ:カティサークの由来 「帆船の名前」
スコッチのカティサークの直接的な由来は、そのラベルに描かれている帆船の名前「カティサーク号」から名付けられたものです。
このカティサーク号は、ティークリッパーといって、中国のお茶をヨーロッパへの運ぶ船でした。
そのクリッパー船の中でも、カティサーク号は、1869年にスコットランドのダンバートンで建造され、当初は主に、中国から紅茶を積んで、ロンドンへ運ぶのに活用されていたそうです。
そしてこのカティサーク号は、世界最速記録を打ち立てた、人気で有名なクリッパー船だったのです!
その後、メンテナンス費用がかさむようになった老船カティサーク号は、1895年にポルトガルの貨物船会社へと売却されてしまいます。
しかし、1922年、この時に富豪となっていたイギリス人の元・有名船長が、このカティサーク号を見かけ、買い戻しを決意。
実際に購入して、見習い水夫たちの訓練船として活用したり、記念物として展示をしたところ、
とイギリス中で話題沸騰!!
そんなタイミングでしたので、1923年に新発売したこのスコッチにカティサークと名付けたわけです。
現在は、カティサーク号は、英国海軍ゆかりの地、天文台で有名なグリニッジに展示されています。
カティ・サーク号 | マリタイム・グリニッジ | 世界遺産オンラインガイド (worldheritagesite.xyz)
ちなみに、スコッチ・カティサークは、ラベル・デザインも勇逸です。
わざと古めかしい歴史あるイメージとするため、黄色地に手書き文字をデザインし、スコッチと書かずに、古めかしいスコッツ(SCOTS)というフレーズを採用しています。
■ティークリッパー船:カティサークの由来 「有名な魔女」
タイトル写真は、カティサーク号の舳先ですが、そこに女性の像が飾ってあります。
これは、船首像と呼ばれるものです。
船首像(せんしゅぞう)とは? 意味や使い方 - コトバンク (kotobank.jp)
この船首像で、一番有名ともいえるのが、カティサーク号の女性像なのです!
で、この女性は、魔女のナニーさんと言います。
■魔女ナニーで、なんで「カティサーク号」と呼ぶの?
ここで、このティークリッパーが、「ナニー号」なら、話は早いのですが、船名は「カティサーク号」です。
それでは、カティサークとは、一体何なんでしょうか?
答えは、この魔女ナニーさんが身に着けているヒラヒラの肌着(下着?)のことを『カティサーク』と呼ぶのです!
ということだと思うのですが、この辺の船名の名付けの詳細は不明です・・・
この魔女ナニーさんが、「ビキニの水着」を着ていれば「ビキニ号」でしょうし、「キャミソール」を着ていれば「キャミソール号」だったんでしょうね、多分。
■シミーズって何?
ちなみに、カティサークという用語を調べると、「短い下着」「短いシミーズ」「短いシュミーズ」とかと出てきます。
ところで、シミーズ(シュミーズ)って何?
聞いたことないんだけど。
調べてみると、昔の西洋の肌着で、1930年以降は用いられなくなったらしいです。
「シミーズ」と「キャミソール」の違いとは?分かりやすく解釈 | 違い比較辞典 (chigai-hikaku.com)
そういえば、私が子供の頃は、母ちゃんが、夜にネグリジエというものを着て、寝ていたような記憶がうっすらあります。
(今はTシャツを着て、寝ていますが。)
ネグリジエとか令和になってから(というか平成時代でも)聞いたことがないので、シミーズも、同じように過去のものになってしまった肌着なんでしょうね、きっと。
■魔女ナニー(あだ名:カティサークちゃん)の由来
では、この魔女ナニー(あだ名:カティサークちゃん)は、どこから来たのでしょうか?
魔女ナニーは、ロバート・バーンズというスコットランドの国民的詩人が書いた長編詩(詩物語)「タム・オ・シャンター(シャンタ村の農夫のタム)」の中に登場します!
次回は、このスコットランドを代表する「タム・オ・シャンター」という詩物語について、ご紹介します。