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お酒づくりは女性から男性へ。《②中世ビール編》

■前回は

ビール発祥の地:メソポタミアでは、紀元前、「女性」がビールづくり(ビール醸造)に携わり、それを売る酒場を経営したのも「女主人」だったことをご紹介しました。

そして、なんならビールの神様も「女性」だったというくらいですから、当時はビールづくり全般に関して、『女性』が中心だったことが伺えます。

そのビールはメソポタミアからエジプトへ伝わり、その後、ヨーロッパ全土へ、そしてエールビールの誕生したイギリスへと伝わります。


■自家製ビールから専門業者へ

ビールの醸造技術の伝わったヨーロッパでは、はじめのうちは当時の「産業・技術・情報」の最先端施設である『修道院』を中心にビールづくりが行われていました。

その後、その醸造技術が民間にも伝わり、農民が余剰穀物からビールを造るようになります。(自家製ビールの自家消費)

やがて消費しきれないビールを売るようになり(自家製ビールの販売)、その後にビール醸造で生計を立てる業者(ビール醸造専門業者)が誕生します。

では当初の自家製ビールをつくっていたのは誰だったのでしょうか?

エールビールの本場イギリスでは、それは

女性(=奥さん/主婦)でした!

古代メソポタミアから変わりませんねー。

この自家製ビールをつくっていた奥さん達を『エールワイフ』と呼びます。


■エールワイフ

家庭用規模のビール醸造は多くの国で引き続き行われ、イギリスではしばしば「エールワイフ」と呼ばれる女性がビールづくりを行っていた。

ビールの歴史 食の図書館 P24
ギャビン・D・スミス著 原書房

そして、女性がビールづくりを行っていたのは、このような ↓ 理由からです。

あまり体力を必要としないビール造りは女性にうってつけの仕事で、ひとつの工程から次の工程まではかなり間をあける必要があるため、家事ともうまく両立できた。さらに、鍋や樽といった基本的な醸造用具はすでに家庭にあるものばかりだった。

ビールの歴史 食の図書館 P24

エールワイフは家庭で消費しきれないエールを、飲食店(=居酒屋)に売るようになります。

このエールビールを売っていた居酒屋が、『エールハウス』です!


■エールハウス

イギリスで、エールハウスは9世紀頃に広まりました。

エールハウスは、エール中心の飲み物を提供する場であり、それがその後のパブPUB=パブリックハウス)へと発展を飛べます。

(※パプでは、エールだけでなく、ラガービールやワイン、ジンやウイスキー、そして食事も楽しめ、地域の人が集まり会話やゲームを楽しむ社交の場へと進化して現在へ至ります。)

で、このエールハウスですが、

主婦(エールワイフ)が、
エールハウスを経営することもあった

らしいのです。

女性の大活躍!

ますます、紀元前のメソポタミア時代から変わりませんね~。


■結婚式とエールビール

この主婦による自家製エールビールは、祝い酒として飲まれることもありました。
そのお祝いの最たるものが「結構式」でしょう。

エールワイフがビールをつくっていた当時、新婦の友人たちが、結婚式のお祝いで自家製エールビールをつくって、祝い酒として渡す習慣があったそうです。

花嫁      = Bride ブライド
エールビール  = Ale   エール

感の良い人は何が言いたいか、ピーンと来たと思います。

そうです!

Bride + Ale 
= ブレイド + エール 
= ブライドエール
→ ブライダル / Bridle

結婚式・婚礼を意味するブライダルとは、このエールワイフのつくる自家製エールビールが語源となっているのです!

“ブライダル”の語源はとあるエールビールだった?!結婚式とビールの意外な関係 | よなよなエール公式ウェブサイト「よなよなの里」 (yonasato.com)


■同じような話では・・・

はちみつ酒というものがあります。
はちみつは糖分を含みますから、このはちみつがほどよく雨水で薄まって、野生の酵母菌が入り込めば、お酒ができます。

このはちみつ酒のことを「ミード」と言います。

このミードは、人類が「最初に(意図的に)つくったお酒」とも言われている、歴史のあるお酒です。
(ミードについては、またいつか別途で記事化したいと思います。)

で、このミードですが、結婚式から1ケ月の間、新婦(またも女性!)がミードをつくり、そのミードを飲み、早く子宝に恵まれるようにハッスルするという習慣がありました。

なんか、ブライダルの語源と似たような話・・・

はちみつ酒(Honey)で祝う、新婚1ケ月間(Moon)。

1ケ月 = Month ≒ Moon(月:ムーン)
はちみつ = Honey(ハニー)
     ↓
Honeymoon / ハネムーン / 新婚旅行

ミードとは | 一般社団法人 日本ミード協会(Japan Mead Association Inc.) (japan-mead.or.jp)

このブライダルと、ハネムーンの語源を知っていれば、立派なお酒マニアです 笑


■話を戻して

いずれにしてもヨーロッパでは、昔(自家製のお酒をつくっていた時代)は『女性』がそのお酒づくりの中心にいたようです。

一方で、日本のお酒づくりも確認してみたいと思います!

次回に続きます。

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