シングルモルト人気の出発点 《スコッチ・トレンド史④》
■スコッチウイスキー人気の浮き沈みの歴史
大きな周期で繰り返すスコッチウイスキーのトレンドについてご紹介する4回目です。
今回は、このシングルモルト・ブームの始まりを深掘りしてみたいと思います!
■スコッチにはブレンデッドしか存在しなかった!?
スコッチが、ヨーロッパ各国で人気が沸騰して、『世界のお酒』としてメジャーとなったのが、上記年表の一番上のこちらです。
1860年にスコットランドのアンドリュー・アッシャーさんが、ブレンディッド・ウイスキーを誕生させます。
『ブレンディッド・ウイスキー』、はじまりは雑貨屋のオヤジの閃きから!|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)
そうすると、ブレンディッド・ウイスキーが、「旨くて」「安くて」「品質が安定」していたので、ブレンディッドがスコッチ業界を一気に席巻。
この頃から、
のことを指し、その後100年近く、シングルモルトのスタイルで飲まれることは、ほとんどありませんでした。
■ちなみにブレンディッド・ウイスキーとは?
有名ブレンディッド・ウイスキーの銘柄は、街の商店発!|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)
スコッチでは、
・ジョニー・ウォーカー
・バランタイン
が2トップブランド。
日本では、
・角瓶
・響
などが有名です。
現在でもスコッチウイスキーや日本国産ウイスキーの流通量の9割以上は、ブレンディッド・ウイスキーです。
■シングルモルトのはじまりはグレンフィディック!
1900年を過ぎると、ほぼブレンデットしか存在しなかったスコッチ・ウイスキー。
その中で、
と果敢にチャレンジした会社があります。
グレンフィディック蒸溜所を傘下に持つ、ウィリアム・グラント&サンズ社です。
ウィリアム・グラント&サンズ社は、1963年に、業界初(初と言っても大昔にはあったわけですが)の瓶詰めのシングルモルト・ウイスキー「グレンフィディック」を、主にアメリカ市場向けに発売します。
ウィリアム・グラント&サンズ社 凄いぞ列伝②《成長期:メーカーへの事業拡大編》|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)
なんでもそうですが、最初にチャレンジする人ってすごいですよね。
この時には、まだ「シングルモルト」というフレーズすらありませんでした。
そのため、アメリカ向けに発売したこともあり、「ストレート・バーボン」というフレーズにヒントを得て、「ストレート・モルト」というフレーズで発売しました。
現在、世界で販売されているシングルモルト・ウイスキーでは、この「グレンフィディック」と、ライバル商品「グレンリヴェット」が、そのシングルモルトでの『販売量』、蒸溜所での『生産量』などが常に拮抗していて、1位争いをしています。
この結果を見ても、ウィリアム・グラント&サンズ社の「先見の明」と「チャレンジ精神」は、無茶苦茶すごいと言えるでしょう。
■そう簡単にシングルモルト・ブームは来ない
現在のスコッチウイスキーの世界的な人気は、シングルモルトがその人気を下支えしていると思います。
そして、そのシングルモルト・ウイスキーの第1号=グレンフィディックが発売されたのが1963年ですが、そこからすぐに「シングルモルト・ブーム」が来たわけではありません。
なんなら、発売後に1970年代のアメリカのホワイト・レボリューションがやってきますから、シングルモルトによるスコッチ人気の復活までは、時間差があります。
この間、この「地酒的なシングルモルトの魅力」を感じ、グレンフィディクと同様にシングルモルトの魅力を発信した人たちが他にもいたのです!
次回は、グレンフィディックに続き、シングルモルトというお酒の文化を広めようと果敢にチャレンジした事例をご紹介したいと思います!!