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マスターブレンダーとマスターディスティラーの共演『リージェント』《リージェント①》

■マスターブレンダーとマスターディスティラー

前回は、この2つの違いについてご紹介しました。

◇マスターブレンダー
ブレンドに重きを置く「ウイスキー発祥国系」の蒸溜所における肩書
・スコットランド、アイルランド + 日本

◇マスターディスティラー
蒸溜に重きを置く「移民系」の蒸溜所における肩書
・アメリカ

ウイスキーや蒸溜器の歴史の違いが、ウイスキーづくりに反映され、結果的に「マスターブレンダー」と「マスターディスティラー」という呼び名の違いとなっているのです!


■ブレンダーとディスティラーの共演『リージェント』

2024年11月に、日本のマスターブレンダーと、米国のマスターディスティラーが協力してつくり上げたウイスキー「リージェント」が発売となりました。

これについて数話に渡って、少し詳しめにご紹介したいと思います。

the Legends / 2人のレジェンド
バーボン一家の伝統を守りながらも革新を続けるフレッド・ノウ。
「山崎」「響」の開発を手掛け、卓越したブレンドテクニックを顕(あら)わす福與伸二。
LEGENTは、二人のウイスキーレジェンドが、時を重ねて生み出したコラボレーション作品です。

2014年にビーム社とサントリーが統合したことをきっかけに、ノウと福與は“これからのウイスキー”について一層語り合うようになりました。成熟しつつある市場に向け「新しい香味づくりにチャレンジすべきだ」というビジョンのもと、まず福與がアメリカ文化とバーボンの神髄を学ぶためジムビーム蒸溜所を訪れ、自らのブレンドテクニックでバーボンの新しい可能性を引き出すよう試行錯誤を重ねました。

帰国後、さまざまな樽で後熟したバーボンを掛け合わせ“まだ市場に存在しないユニークなフレーバー”をつくり出せることを発見。福與は再び蒸溜所を訪れ、ノウが厳選したバーボンをシェリー樽、ワイン樽で後熟。その原酒を正統派ストレートバーボンとブレンドするという、バーボンの常識を覆す製法に挑戦しました。こうして誕生したLEGENTは、ビーム社の伝統的なバーボンづくりのノウハウと、サントリーの繊細なブレンディング技術が生んだ東西の技の結晶であり、二つのウイスキー文化の融合を象徴するウイスキーでもあります。

下記のサントリーHPから引用

LEGENT(リージェント)|サントリー


■ノウ氏:なんで名前がビームじゃないの?

◇フレッド・ノウ氏
ジムビーム蒸溜所
 創業家・7代目マスターディスティラー

ビーム家の家系の7代目ですが、名前がビームでなく「ノウ」です。
なぜなんでしょうか?
これについては、ビーム家の歴史を確認してみたいと思います。

ジムビームとは、米国でウイスキービジネスを始めたビーム家の4代目:ジェームズ・ボーリガード・ビームが発売したブランドです。

実は、ビーム家は最初からジムビームというブランド名のバーボンを販売していたのではありません。
ジムビーム・ブランドの発売以前には、ビーム家からいくつかのブランド名でバーボンが発売されましたが、全国区となったブランド名は「オールド・タブ」と言います。 (今でもジムビームの蒸溜所のショップでは、オールド・タブが売られています。)

そして、この家族や友人から「ジム・ビーム」と呼ばれていた4代目は、激動の時代を生き抜いた「やり手」でした。


■ジェームズ・ボーリガード・ビーム

◇ジムビーム4代目:
 ジェームズ・ボーリガード・ビーム
  (通称:ジムビーム)

・1864年・生~1947年・没
・1920年~34年のアメリカ禁酒法の時期を経験。
・禁酒法の終了後、120日で蒸溜所を再開。
・1940年、ジムビームを発売。

特筆すべきは「禁酒法の終了後、わずか120日で蒸溜所を再開」です。

ジムビームは69歳になっていた禁酒法の終了直後、すぐに蒸溜を開始することでバーボン業界そのものを勇気づけるとともに、業界の活性化に尽力しました。
彼の働きが無ければ、バーボン業界の復興はかなり遅いものになったと言われています。

そのため、ジムビームはジムビーム・ブランドのみならず『バーボンの中興の祖』と呼ばれています。

またこのビーム家からは、自社他社問わず、現在のバーボン業界で活躍する優れたディスティラーを30名以上輩出していて、まさにバーボン界の名門です。

ジムビーム/バーボン、偉大なる血族の記録[ウイスキー&バー] All About

ちなみに、ジムビームという商品が「バーボンNo.1ブランド」に向けて一気に販売量を増やしたのは、ジムビームの息子の5代目の時代です。


■ビーム家とノウ家は親戚

1927年
ジム・ビームの娘の1人、マーガレットがフレデリック・ブッカー・ノーと結婚する。ノー一族により、ビーム一族の火は守られることとなる。

下記のサントリーHPから引用

BEAM'S HISTORYMAKE HISTORY|世界No.1バーボン「ジムビーム」サントリー

やり手の4代目:ジムビームの娘婿の家系がノウ家なんです!
つまり、ビーム家もノウ家も、一緒といえば一緒なんですね!!


■次回は

リージェントのもう一人のキーマンについてご紹介します。

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