「マスターブレンダー」と「 マスターディスティラー」の違いとは!?
■5大ウイスキーの3分類
少し前に、5大ウイスキーの5ケ国のウイスキーに歴史について、ご紹介しました。
世界5大ウイスキーって何? まずはウイスキーの発祥国から解説 《5大ウイスキー①》|チャーリー / ウイスキー日記
その歴史軸でとらえた場合、大きく3つのグループに分けることができるとお伝えしました。
ただ、日本のウイスキーづくりは、スコッチウイスキーをお手本として真似したことにはじまっています。
そのため、大きな意味では「ウイスキー発祥国系」に近いと言えます。
■ウイスキー発祥国系と移民系の違い
そして、発祥国系と移民系のウイスキーの代表的な違いもすでにご紹介しました。
つまり、アメリカンウイスキーもカナディアンウイスキーも、スコッチウイスキーのレギュレーションで考えると「グレーンウイスキー」ということになります。
(最近では、ポットスチルでモルト原酒をつくるアメルカやカナダのクラフト蒸溜所もありますが、あくまで極一部のみです。)
《スコッチウイスキー》
◇モルト/グレーンの法定義
稲富博士のスコッチノート第103章バランタイン・ウイスキーの話―その4.ストラスクライド蒸溜所
■スコッチに革命を起こしたブレンドという手法
モルト原酒とグレーン原酒の「ブレンド」=ブレンデッドウイスキーの誕生は、ウイスキー業界に革命を起こしました。
『ブレンディッド・ウイスキー』、はじまりは雑貨屋のオヤジの閃きから!|チャーリー / ウイスキー日記
そして、このブレンデッドウイスキーの発明(とワイン用葡萄の害虫:フィロキセラのヨーロッパ上陸)によって、スコッチウイスキーは、一気に「世界的な銘酒」の地位に駆け上がることとなるのです。
ブレンディッド・ウイスキーがワイン市場を飲み込んだ!《ブレンディッド史④》|チャーリー / ウイスキー日記
その後、ブレンドの技術は歴代のブレンダー達によって、磨きがかけられ、芸術の域まで達します。
つまりブレンドとは、もともとは
① 味の均一化のために複数の原酒を混ぜ合わせた
というマイナスをゼロにするような役割でした。
それがブレンド技術の向上・ブレンド文化の浸透により
② こういった目指す味わいをつくり上げたい!
という圧倒的なプラスを獲得するための手法となったのです!
■ブレンドという概念がないバーボンウイスキー
一方で、スコッチ基準ではグレーンウイスキーに該当する「バーボンウイスキー」には、基本的にはブレンドの概念がありません※1。
※1)ただし、正確にはバーボンも樽毎の個体差をなくすために、通常はスコッチのブレンド①のように、
して商品化します。
しかし、ブレンドにより、「1+1=2」ではないような
といった、スコッチのブレンド②の的な、ウイスキーの香味づくりの根本に関わる部分としての「ブレンド」がないということです※2。
※2)ブッカーズに代表されるスモールバッチ・バーボンは、厳選したバーボン原酒樽のみ選抜してブレンドしてつくるので、スコッチのブレンド②に近いです。
ただ、それはあくまでバーボン原酒という1つの熟成樽バリエーションからの創造です。
スコッチのブレンデッドウイスキーの
「数十ものモルト原酒×いくつものグレーン原酒」
という掛け合わせからの創造と比べると、スコッチの方に
「商品化されるウイスキーの香味の幅の広さ」
では、軍配が上がることがわかると思います。
■名称の違う製造トップの肩書
このように、ウイスキー発祥国系(スコッチ/アイリッシュ/ジャパニーズ)と、移民系(アメリカ)では、ウイスキーづくりの根本的な部分が異なります。
そのため。製造トップの肩書が違うのです!
(すみません。カナディアンウイスキーがどちらの肩書を使うか、調べ切れていません。)
逆に言えば、
ということです。
5大ウイスキーの中の、技術的・文化的・哲学的な違いがわかる事例だと思います!