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なぜ、アメリカのアーリータイムズ・イエローラベルはバーボンじゃないの? 【ブランド整理編】《アーリー⑬》
■前回までのまとめ
・2021年6月、アサヒビールにより日本国内で販売されていたアーリータイムズ・イエローラベルが突如休売。(そのまま2022年6月、日本での取扱終了)
・なぜアサヒビールの取扱が終了してしまったのか?というと、商品の供給が追いついていないから。
・それは澱が発生した商品があって、その確認のため出荷を止めていたためと言われている。
・なぜ澱が発生したかというと、私チャーリーの推測では、「米国での製造元が変わり、製造工程が変わったから」であり、特に「ろ過工程が変わったのではないか?」。
・そして、そもそもバーボン業界では、度々業界が再編されたために、『1蒸溜所で多ブランド生産』するケースが多く、商品カスタマイズが得意で「アーリータイムズ・ブラウンラベル」は日本限定商品だった。
・ただ、アーリータイムズの定番である「イエローラベル」も、実は日本限定のバーボン仕様であり、アメリカで販売されているものは「中古樽原酒」も使用しているのでバーボン仕様ではなく、ケンタッキー・ウイスキーとして販売していた。
今回は、なぜアメリカで販売されている「アーリータイムズ・イエローラベル」のスペックが「バーボンでなくなってしまったのか?」について、考えてみたいと思います。
■チャーリーの考える背景
アメリカで販売されている「アーリータイムズ・イエローラベル」のスペックがバーボンでなくなってしまったのには、以下の2つの背景があるのではないかと思います。
① バーボンブランドの整理整頓
背景:バーボン業界の低迷とブランド戦略
② 「表示スペック」と「商品選択基準」との文化的違い
背景:過度にスペック依存しない実利的な思考
それぞれについて解説してみたいと思いますが、今回は①についてです。
■バーボンブランドの整理整頓
これについては、今までの繰り返しとなりますが、あらためて解説します。
① バーボン業界は、禁酒法(1920~33年)でビッグ6へ集約
② 第二次大戦後に、ビッグ6からビッグ4へ集約
③ 2000年頃までに、ビッグ4が消滅し、業界再編
といった流れの中で、一部の大手企業にバーボンブランドが集中しました。
そして、その業界再編の最中に、
④ ホワイト・レボルーション(ウォッカ革命)
が米国で興り、バーボンの売上がウォッカに追い越されてしまい、バーボンは販売量を落とします。
以上の流れの中で、多くのバーボンブランドを所有する大手メーカーは、
「このブランドは、世界戦略として、このエリアをメインで販売する」
といった、ブランド毎の世界戦略を進めることになります。
(なんとなく、このブランド毎の戦略ってアメリカっぽいですよね。)
これが、前に記事化した「I.W.Harperは、最近は日本限定になっていた」に繋がるわけです。
カスタマイズ商品が多いバーボン業界。そのバーボン、実は「日本限定品」の巻 《アーリー⑪》|チャーリー / ウイスキー日記|note
つまり、Harperは、その世界戦略を決めた当時、主戦場をアメリカではなく、当時からよく売れていた「日本」に設定したのです。
そして、結果的に、アメリカ本国での販売は終了し、アメリカでは販売されていないバーボンとなりました。
(直近のアメリカでのバーボンの人気復活により、日本で販売されているものと別のスベックのI.W.Harpeが、2015年にアメリカでも発売済。)
■バーボンブランドの整理整頓《ブラウンフォーマンの場合》
同じようなブランド戦略が、アーリータイムズ・イエローラベルにもありました。
アーリータイムズは、ブラウンフォーマン社が1923年に買収し、2020年にサゼラック社売却するまで所有していたブランドです。
ウイスキーに詳しい方なら、
「ブラウンフォーマン社はジャックダニエルで有名な会社」
とご存じかも知れません。
ジャックダニエルは、5大ウイスキーのブランド別・販売量ランキングでは、ジョニーウォーカーに次ぐ、世界2位の売上を誇るテネシーウイスキーです。
実は、このジャックダニエルは、1957年にブランフォーマン社が買収しているブランドなので、元々のブラウンフォーマンの手持ちブランドではありません。(年代的に見ても、1923年買収のアーリーより後輩だし)
そして、このブラウンフォーマン社の創業時からの看板商品は、1870年発売、オールドフォレスターです。
でも、オールドフォレスターって、日本ではあまり聞きませんよね??
それは、アメリカのバーボン業界がダウントレンドで、ブランド毎の世界戦略を決めた際に、ブラウンフォーマン社は、以下のように舵を切ったからのようです。
◇オールドフォレスター
プレミアム戦略で、主にアメリカ国内で販売
◇アーリータイムズ・イエローラベル
低価格帯商品として、主に日本国内で販売
なので、オールドフォレスターは、日本であまり馴染みがないのです。
一方で、アメリカでのアーリータイムズ・イエローラベルについては、I.W.Harperとは異なり、「アメリカでの販売終了」とまで、極端な戦略ではありませんでした。
それは、
「アメリカ国内でも販売を継続しますけど、スペックはアーリーの重点戦略国の日本と変えますよ!」
(新樽原酒は、日本市場を優先させますよ!)
というものでした。
それが、バーボン表記とならず、中古樽の原酒も使っているため「ケンタッキー・ウイスキー表記」になっている、アメリカ版アーリータイムズ・イエローラベルなのです。
■次回は
ブランドの整理整頓で、日本向けとなった元祖・バーボン仕様「アーリータイムズ・イエローラベル」。
アメリカ国内では、中古樽での熟成原酒をつかったケンタッキー・ウイスキー仕様「アーリータイムズ・イエローラベル」とスペック変更になったわけですが、アメリカでは
「お前、これ、今までと違うやないかい!」
とご意見が噴出しなかったのでしょうか?
これについて次回、考えてみたいと思います。