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不思議なご縁。サントリー創業者:鳥井信治郎と・・・


■今までも

今までの記事でも、「不思議なご縁」というものを、何度かご紹介しました。

◇「KFC」とジムビームとメーカーズマーク

ご縁でつながるケンタッキー州「3大名物」|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)

ジムビームのビーム家と、メーカーズマークのサミュエルズ家はご近所付き合いがあって、サミュエルズ家7代目の名付け親は、ビーム家の4代目!
(今のジムビームブランドのバーボンを発売したのが、このビーム家の4代目なので、やり手な有名人です!)

そしてこのサミュエルズ家7代目は若き頃に運転手の仕事をしていて、その時に乗せていたのがKFC創業者のカーネル・サンダースさんという奇跡!


◇「ボンドのコニシ」とサントリー創業者:鳥井信治郎

意外な関係! 「ボンドのコニシ」とウイスキー|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)

鳥井信治郎が丁稚奉公で仕事を学んだのが、当時、舶来品のお酒も扱っていた小西儀介商店でした。
そして、その小西儀介商店とは、現在の「ボンドのコニシ」なのです!!

今回はそれとは別の「鳥井信治郎:ご縁エピドード」をご紹介したいと思います!

※ここからは「琥珀の夢 小説 鳥井信治郎 上 伊集院静:著 集英社文庫」をベースにご紹介します。


■鳥井信治郎はハイカラさん!

サントリーの創業者:鳥井信治郎が、鳥井商店(のちに洋酒の寿屋→サントリーへと社名変更)を創業して独立を果たしたのが、1899年のことです。
信治郎は、赤玉ポートワインや、日本初の本格ウイスキーを発売するなど、とにかく「新しいもの」が大好きなハイカラさんでした。

その信治郎は、鳥井商店時代に当時は高価で珍しかった自転車(それも高級自転車)を颯爽と乗りこなしていました。

純白のメリヤスシャツの上に厚司の羽織を着て、白い鼻緒の麻裏草履でペダルを勢い良く踏んで疾走する姿は船場でも有名だった。
「あれが鳥井信治郎や。どこぞの戦にでも出かけはるんやろうか」
(中略)
当時、自転車に乗る人は少なかった。それもそのはず、一台が百円から百二十円もした。現在で換算すると五十万円以上する。その高級品の中でも、少年が納品する“ピアス号”が百五十円という破格の値段だった。

「琥珀の夢」小説 鳥井信治郎 上 P11 伊集院静:著
集英社文庫


■ピアス号を届ける少年

信治郎のピアス号は五代自転車店で購入したものです。
その五代自転車店でピアス号をメンテナンスした際に、鳥井商店までメンテ後のピアス号を届けた少年がいます。

一人の少年が大事そうに自転車を引きながら歩いていた。左手でハンドルを右手でサドルをしっかりと持ち、少年はうっすらと額に汗を光らせていた。その顔にはまだあどけなさが残っている。

「琥珀の夢」小説 鳥井信治郎 上 P10

そして、信治郎はこの自転車を届けてくれた少年の頭を撫でて送り出します。

「坊、気張るんやで」
信治郎はまた頭をやさしく撫でてくれた。
少年は深々と頭を下げて、おおきにありがとさんだした、と店を出た。

「琥珀の夢」小説 鳥井信治郎 上 P10


■その74年後

この少年はこの信治郎との出会いから74年後、信治郎・没後にその銅像が建てられた際の除幕式に招待されます。

そして自らたっての希望でスピーチを行います。

「私が鳥井信治郎さんと初めてお逢いしたのは、今から丁度、七十四年前の春のことでした。私は当時、和歌山から大阪、船場に出て、ふたつめの店丁稚奉公に出ておりました。そこは堺筋淡路町にある五代自転車店と申しました。(中略)
或る日、丁稚だった私は、そのピアス号の修理が出来上がったのをお届けに行ったわけです。そこで私は初めて鳥井信治郎さんから、よく来たと迎えられ、温かい大きな手で頭を撫でられたことを今でもはっきり覚えております。坊、気張るんやで、と励まされた時の、信治郎さんの笑顔が、今も目に浮かびます……」

「琥珀の夢」小説 鳥井信治郎 上 P10


■この少年こそが

気になりますよね、この少年。
この少年の正体とは、

この少年こそ、後に“経営の神様”と呼ばれるようになった松下幸之助である。

「琥珀の夢」小説 鳥井信治郎 上 P19

こんな縁ってある!?
マンガじゃん。


■類は友を呼ぶ

幸之助は鳥井信治郎を商いの先輩としてだけではなく、その人柄に魅了され、尊敬し続けた。幸之助の事業が成長しはじめた時期も、鳥井信治郎に相談し、信治郎は十五歳年下の幸之助に助言を惜しまなかった。

「琥珀の夢」小説 鳥井信治郎 上 P19

戦前生まれで、第二次大戦とその後の戦後復興を見届けた世代の絆。
何か、グっと来ますね。

何事も情熱を持って真剣に取り組めば、たとえ年は離れていても友になり得るわけです。

まさに「類は友を呼ぶ」。

令和の我々も、パッションで負けないようにしたいものですね!!

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