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スコットランドでも蒸溜所の建設ラッシュ! 《スコッチ・トレンド史⑨:最終回》
■スコッチウイスキー人気の浮き沈みの歴史
大きな周期で繰り返すスコッチウイスキーのトレンドを解説する最終回です!
◇前回までのあらすじ
スコッチウイスキーは、大きいな時間軸で浮き沈みを繰り返してきた。
《1880年代~1890年代》UP↑
最初のスコッチ・ウイスキーブームの到来
《1900年代~1940年代》DOWN↓
パティソン事件によるウイスキーバブルの崩壊
《1940年代》DOWN↓
第二次大戦による生産調整
《1950年代~1960年代》UP↑
第二次大戦後の好景気によりスコッチ消費量が上昇
《1970年代~1980年代》DOWN↓
ウォッカ(を中心とするホワイト・スピリッツ)人気によるウイスキー離れ
《1990年代~》UP↑
シングルモルト・ブームによって、スコッチ消費が上向くとともに、今の世界的なスコッチウイスキー人気へ!
■2010年頃までは様子見
2000年代に入ると、地酒的な面白さがあるスコッチの「シングルモルトの魅力」が広く伝わり、世界的なスコッチ・ブーム(≒シングルモルト・ブーム)がやっと訪れます。
ただ、2010年頃までは「このブームって本当?」という様子見だったと思います。
というのも、2010年頃まで新規に蒸溜所が開設されることは、スコットランドでもほとんどなかったからです。
それが、2013年のストラスアーン蒸溜所を皮切りに、現在、スコットランドでは大手・クラフトを含め、蒸溜所の超・建設ラッシュです!!
それまで慣例的に認められていなかった小規模サイズのクラフト蒸溜所であるストラスアーン蒸溜所の開設経緯については、以前に記事にしています。↓
法改正までのパッション! 世界で急増、クラフト蒸溜所!!|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)
■蒸溜所の建設ラッシュ
そして、ストラスアーン蒸溜所の開設後の2013年からはスコットランドでも蒸溜所の建設ラッシュです!
蒸溜所の設立年リストはこちら↓
【スコットランド】全130モルトウイスキー蒸留所、設立年度順一覧! | Whisky Laboratory
2013年~2020年の8年間だけでも、30近い蒸溜所が新規に開設されています。
そして、2020年以降もその開設ラッシュは続いています。
■賞賛したい蒸溜所
この2013年からのスコッチ蒸溜所の開設ラッシュの前。
スコッチ不遇の時期に、果敢に蒸溜所を開設した事例がいくつかあります。
1995年:
アラン蒸溜所(現ロックランザ蒸溜所)
2004年:
キルホーマン蒸溜所
など
20世紀最後の蒸溜所開設 『アラン蒸溜所』|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)
この時期に開設した蒸留所って、勇気があるというか、気概があるというか、先見の明があるというか、とにかく凄いです!
あと、同じことは日本のウイスキー市場がどん底だった2008年に開設されたベンチャーウイスキー(=イチローズモルト)の秩父蒸溜所にも言えることだと思います。
■新規開設だけでなく蒸溜再開も!
このトレンド史の2回目で触れましたが、ホワイト・レボリューションによって、1980-90年代には蒸溜所の閉鎖が続きました。
ホワイト・レボリューションに翻弄されたスコッチウイスキー 《スコッチ・トレンド史②》|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)
その時期に閉鎖されるも、その「閉鎖されたこと」によって『もう二度と手に入らない』的な価値も加わり、ウイスキー愛好家の中で、すごく人気になった銘柄がいくつかあります。
超有名どころでは
・ポートエレン蒸溜所 (アイラ島)
・ブローラ蒸溜所 (北ハイランド)
・ローズバンク蒸溜所 (ローランド)
などです。
ただ、世界的なウイスキーブームとなっている現在、この3つの蒸溜所はここ数年で蒸溜を再開しています!
■「世界的なスコッチ人気」vs「日本のウイスキー人気」
現在、スコッチウイスキーは世界的に人気です。
一方で、日本でもウイスキーブームです。
ただ、同じように見える「スコッチウイスキー人気」と、「日本のウイスキー人気」は、チャーリー的には、その発端が異なると思っています。
◇スコットランド
《1990年頃》
静かなシングルモルト・ブーム。
《2000年頃》
コンペが開催されるなど、大々的なシングルモルト・ブーム。
《2013年頃》
蒸溜所の開設ラッシュへ。
◇日本
《2008年》
角ジョッキでのハイボール・プロモーション開始。居酒屋でハイボールが普通に飲まれるようになる。(この頃はそれまでの25年間に渡るダウントレンドで、居酒屋のメニューにウイスキー自体がないことの方が多かった。)
《2010年頃》
角ハイボールに引っ張られ、山崎など高級ウイスキーの消費も急伸。
《2014年》
NHKマッサンが放映され、エコノミークラス(角など)のハイボールのみならず、国内外のシングルモルトを楽しむ方が次第に増加。
《2016年頃》
蒸溜所の開設ラッシュへ。
■今のブームの底を支えるもの
チャーリー的に強引に分析すると、以下のことが言えると思います。
《今のウイスキーブームを下支えするもの》
◇スコットランド
・シングルモルト
◇日本
・ハイボールスタイル(≒食中酒)
同じような時期にダウントレンドを脱し、同じような時期から蒸溜所開設ラッシュとなっているスコッチウイスキー業界と、ジャパニーズウイスキー業界。
ただ、その根底にはこのような違いがあるのではないか?と思うわけです。
■以上で
ナイル川のように蛇行しまくった、「スコッチ・トレンド史」についてのお話を終了させていただきたいと思います!
9話に渡るお付き合い、大変ありがとうございました!!