仕込み水の『硬度』と、ウイスキーの『酒質』
■前々回/前回のまとめ
今回は、ウイスキーで、仕込み水の「硬度の違い」を考えてみたいと思います。
■山崎蒸溜所と白州蒸溜所の仕込み水の「硬度」
ジャパニーズウイスキーの代表的なこの2つの蒸溜所の水の硬度を比べてみたいと思います。
ちなみに、どちらの「仕込み水」もミネラルウォーターとして商品化されているので、簡単に硬度を調べられます。
◇山崎の水
山崎の水|サントリー食品インターナショナル (suntory.co.jp)
主に業務用(飲食店向け)専用なので、あまり目にしたことはないかも知れませんが、山崎の水も商品化されています。
◇白州の水(=天然水 南アルプス)
『サントリー天然水』の硬度を教えてください。 サントリーお客様センター (suntory.co.jp)
こちらはもっとも有名な天然水ブランドなので、ご存じの方が多いと思います。
ウイスキーの白州蒸溜所と、天然水/南アルプスの工場は、同じ敷地内にあります。
ちなみに、最近、白州蒸溜所がリニューアルして、「白州蒸溜所」と「サントリー天然水 南アルプス白州工場」の両工場の結びつきや、白州の森や自然を一体的に感じられるようになりました。
サントリー白州蒸溜所リニューアルオープン 2023年9月15日 ニュースリリース サントリー (suntory.co.jp)
■男酒・女酒、山崎・白州の「仕込み水」の硬度を比較
こうして比べると灘 / 山崎 / 伏見は、かなり似通った硬度ですね。
大きな目で見れば、同じ関西圏ということもありますし、標高もそこまで違いがないです。(天王山の麓にあるものの山崎蒸溜所で標高約20m)
一方で、白州はさすが「森の蒸溜所」と言われるだけあって標高約700mlの高地の森の中にあります。
そのため、硬水・軟水の「山がち理論」によると、降った雨が傾斜でサーっと流れてしまい、地中のミネラル分があまり溶け込まないため、かなりの軟水となっています。
ちなみに、2022年に新しく長野県にできた「サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場」は、山梨県の南アルプス、熊本県の阿蘇、鳥取県の奥大山に続くサントリー第4の天然水工場ですが、こちらの硬度は約10mg/Lで、すっごく軟水です!
■山崎は赤ワイン的、白州は白ワイン的
山崎と白州の味わいを比較して表現する場合、
と、ワインに例えることがあります。
この味わいの違いは、ポットスチルだったり、熟成樽だったり、熟成環境だったりと本当に色々な要素が影響して、味わいを形づくります。
その中で、「仕込み水の硬度」も酒質に影響を与える要素の1つなのではないかと、チャーリー的には思っています。
硬度差20で「男酒/女酒」というくらい味わいの違いが出るのであれば、硬度差60もあれば、「男酒/女酒」以上に味わいに変化がでてもおかしくない、むしろ違いが出るはずかなーと。
■《穀物のお酒》醸造酒/蒸溜酒と仕込み水の関係
どちらも穀物を原料として仕込み水が必要なお酒ではありますが、日本酒は醸造酒(原料:米)、ウイスキーは蒸溜酒(原料:大麦など)です。
そして、ウイスキーをボトリングする際に、アルコール度数調整で加水するためにつかう水は、熟成された原酒の味わいに影響を与えないために、基本的にはミネラル分のない精製水(精製されたミネラル分のない中性の水)となります。
ウイスキーの仕込み水とは?|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)
そういう意味では、実際にお酒を飲む段階では「硬度のよる酒質・味わいの違い」は、ウイスキーでは日本酒ほどは大きくないのかも知れません。
ただ、ウイスキーのモロミの品質は、できあがるウイスキーの品質を決定づける超重要な要素です。
そのモロミの酒質に影響を与える「水の硬度」は、やはりウイスキー品質・酒質に影響してくると思います!
■次回は
「水質」と「お酒の酒質」について、もう一歩踏み込んで考えてみたいと思います!
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