(シングルモルト人気の解説の前に)そもそもシングルモルトって何? 《スコッチ・トレンド史③》
■スコッチウイスキー人気の浮き沈みの歴史
大きな周期で繰り返すスコッチウイスキーのトレンドについてご紹介する3回目です。
このシングルモルト・ブームの始まりを深掘りしてみたいと思うのですが、今回は、まずシングルモルトって何なのか?について、ご紹介したいと思います。
■そもそもシングルモルト・ウイスキーって?
よく勘違いされますが、
です。
シングルモルトとは、1つの樽からのモルト原酒を瓶詰めしたものではありません。
それは、シングルカスク・ウイスキー(バーボンではシングルバレル)と言います。
シングルモルトとは、
ということです。
どういうことかと言うと、1つの蒸溜所のモルト原酒のみをブレンドに使い、瓶詰めしたウイスキーのことを、シングルモルト・ウイスキーと言います。
したがって、シングルモルト・ウイスキーは、原酒をブレンドしてつくられているのです!
■なぜモルト原酒をブレンドするのか?その①
これはいきなり答えからです。
例えば、同じ時に蒸溜したニューポット(ウイスキーの赤ちゃん/透明なウイスキー)を木樽に詰めて、3年間熟成させたとします。
ただこれだけでも、1丁1丁の樽によって仕上がりに違いが生じます。
木樽からの成分の溶出度合いには、木目なども影響しますから、同じ熟成にはならないのです。
また、数年間という長い年月を熟成に費やしますから、樽の置き場所(上段か下段か/倉庫の入口に近いか遠いかetc.)によっても熟成に違いが生まれます。
このように、生産者の意図しない形で、原酒に多様性が出るため、そのブレ幅を修正して平均化するために、原酒をブレンドする必要があるのです!
■なぜモルト原酒をブレンドするのか?その②
モルトウイスキー蒸溜所の生産者も、色々なバリエーションの原酒づくりにチャレンジしています。
これが木樽熟成の工程まで行くと、さらに多様性が広がります。
代表的なものだけで、これほど変数が多いとなると、1つのモルト蒸溜所でできあがるモルト原酒のレパートリーには、数に限りがないとも言えます。
このように、生産者が意図した形で原酒に多様性を持たせています。
この1つの蒸溜所でつくられる多様な原酒の中から、「狙った味わいのシングルモルト・ウイスキー」に仕上げるため、商品毎に、異なる原酒がセレクトされ、ブレンドされているのです。
■山崎12年は山崎18年になれない!
このようにシングルモルトも、1つの蒸溜所でつくられる多様な原酒を、ブレンドしてつくられます。
そして商品毎に、使われる原酒のバリエーション(レシピ)は異なります。
例えば、
と言うことです。
が存在します。
このように商品によって、使用する原酒の構成が異なるので、仮に
のです。
これは以前に記事化しています。
山崎12年は、山崎18年になれない!|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)
■次回は
話をスコッチのトレンド史に戻して、シングルモルト・ウイスキーを誕生させた立役者をご紹介します!