ブレンデッドモルト風のシングルモルト『宮ノ鹿』
■シングルモルト風のブレンデッドモルト
本坊酒造のマルスウイスキーに「MARS The Y.A.」という商品があることを、ご紹介させていただきました。
「屋久島エージングセラーで熟成させた原酒」のみを使っているので、シングルモルトと思いきや、その原酒は「長野県:駒ヶ岳」、「鹿児島県:津貫」で蒸溜した『2つの蒸溜所の原酒』を使っているので、ブレンデッドモルトであるということを、前回ご紹介しました。
つまり、
ということです。
今回は逆に、「ブレンデッドモルト風のシングルモルト」をご紹介したいと思います。
■桜尾蒸溜所
広島県の世界遺産:宮島の対岸の本州側にあるのが、桜尾蒸溜所です。
総合酒類メーカーの中国醸造が、社名をSAKURAO Brewery and Distillery(桜尾ブルワリー&ディスティラリー)と変え、新たに本格的なウイスキーづくりをはじめたのが、2017年です。
そしてウイスキーだけでなく、ジンもつくっていて人気があります。
この桜尾蒸溜所からは2つのシングルモルトが発売されています。
BLENDED WHISKY | SAKURAO DISTILLERY
特に戸河内の熟成庫については、超・湿気が多く、なんとエンジェルズ・シェア(熟成中に蒸発して無くなってしまう分)が0%という、聞いたことない熟成環境です。
あまりに衝撃的で、以前に記事にしています!
ハンパじゃないエンジェルズ・シェア 桜尾蒸留所《戸河内貯蔵庫》|チャーリー / ウイスキー日記
桜尾蒸溜所では、クラフト蒸溜所では珍しくグレーンウイスキーもつくっています。
そのため、自社原酒をつかった「ブレンデッド・ジャパニーズウイスキー 戸河内」も発売しているチャレンジングな蒸溜所です。
BLENDED WHISKY | SAKURAO DISTILLERY
■桜尾蒸溜所の限定ウイスキー
その桜尾蒸溜所で、蒸溜所限定で販売されているウイスキーが「宮ノ鹿」です。
世界遺産の宮島には、鹿がいっぱいいますからね・・・
この「宮ノ鹿」のラベルには、「翼の生えた天使風の鹿」が描かれていますが、これが桜尾蒸留所のマスコットキャラクターの『宮の鹿』なのだそうです。
時代に寄り添いながら、新たな挑戦を続ける!桜尾蒸留所訪問記|ACORN / The Whiskyplus
この「宮の鹿」の商品スペックが、また面白いのです!
シングルモルトジャパニーズウイスキー宮ノ鹿 | ウイスキー紹介 | ウイスキペディア
では、このウイスキーは、
・ブレンデッドモルトウイスキーなのでしょうか?
・シングルモルトウイスキーなのでしょうか??
■答えは
宮ノ鹿は、「シングルモルトウイスキー」となります!
2つの異なる個性を持つモルト原酒をブレンドしているから、ブレンデッドモルトウイスキーを思ってしまいそうなところです。
しかし、桜尾原酒も戸河内原酒も、その原酒が蒸溜されて誕生したのは、ともに桜尾蒸溜所です。
「1つの蒸溜所でつくられた原酒」を、ブレンドしているので、シングルモルトウイスキーに該当するのです!
■シングルモルトウイスキーとは?
一般的な説明としては、以下の通りです。
個人的にはこの「つくられた」という部分が、わかりづらいというか、ビッグワードなのかな?と思います。
ウイスキーは、穀物を原料に、糖化・発酵(=醸造)、蒸溜、木樽熟成をさせたお酒です。
ウイルキーをつくる = 醸造 / 蒸溜 / 熟成。
どれも、「つくる」に含まれます。
なので下記の通り、もっと明確な文言にした方が良いかなと思います。
つまり熟成庫の場所は、シングルモルトウイスキーの言葉の定義には影響してこないのです。
■チャーリー流:シングルモルトウイスキーとは?
クラフト蒸溜所を中心に、原酒を色々な環境下(熟成庫)で熟成させるケースが増えてきています。
そういうことからも、「シングルモルトウイスキーとは何か?」という質問には、今後は以下のように答えてみようかと思います。
■それにしても
私はまだ「シングルモルト ジャパニーズウイスキー 宮ノ鹿」を飲んだことがないので、機会をつくって飲みに行ってみたいと思います!
※タイトル写真は、宮島の鹿です。