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シングルモルト人気へ導いたボトラーの雄:G&M社 《スコッチ・トレンド史⑤》

■スコッチウイスキー人気の浮き沈みの歴史

大きな周期で繰り返すスコッチウイスキーのトレンドについてご紹介する6回目です。

◇前回までのあらすじ
スコッチウイスキーは、大きいな時間軸で浮き沈みを繰り返してきた。

《1880年代~1890年代》UP↑
最初のスコッチ・ウイスキーブームの到来

《1900年代~1940年代》DOWN↓
パティソン事件によるウイスキーバブルの崩壊

《1940年代》DOWN↓
第二次大戦による生産調整

《1950年代~1960年代》UP↑
第二次大戦後の好景気によりスコッチ消費量が上昇

《1970年代~1980年代》DOWN↓
ウォッカ(を中心とするホワイト・スピリッツ)人気によるウイスキー離れ

《1990年代~》UP↑
シングルモルト・ブームによって、スコッチ消費が上向くとともに、今の世界的なスコッチウイスキー人気へ!

《シングルモルト人気の立役者は!?》
1963年 グレンフィディックによってシングルモルトが初誕生!

ただし、シングルモルト人気の立役者は、「グレンフディック」だけではありません。
シングルモルトがブームになるまで、色々な会社が、様々なチャレンジをして来たのです。

今回は、グレンフィディックに続く事例をご紹介してみたいと思います。


■ボトラーの雄 ゴードン&マクファイル社

ゴードン&マクファイル社とは、スペイサイドにある超有名なボトラー(瓶詰め業者)です。

◇ボトラー(瓶詰め業者)とは?

ボトラーとはその名の通り、各蒸溜所から原酒を買い集めて、独自に瓶詰め(ボトリング)する業者のこと。

※ その後、ボトラー自身が独自の熟成もするようになりました。

スコッチウイスキーの流通の草創期には、資金力の乏しい原酒生産者(=蒸溜所)から、資金力の豊富な食糧雑貨店(=のちのボトラー)が原酒樽を購入して売り捌く、という分業体制が、市場経済の中で自然発生的に確立して行きました。
そして、ウイスキーの品質を安定させるために、食糧雑貨店の店主が複数の樽の原酒をブレンドするようになり、ブレンディッド・ウイスキーが誕生しました。

この流れは以前に記事化しています。

有名ブレンディッド・ウイスキーの銘柄は、街の商店発!|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)

そのボトラーの中でも、歴史的にも、実力的にも、格式的にも、最も有名なのがゴードン&マクファイル社なのです!
ウイスキー愛好家は「G&M社」とか、「GM社」とかと呼んだりします。


■シングルモルトのパイオニア、G&M社

日本の正規代理店のジャパンインポートシステムさんのHPから、概要を引用してみたいと思います。

ゴードン&マクファイル | 株式会社ジャパンインポートシステム JAPAN IMPORT SYSTEM (jisys.co.jp)

◇ゴードン&マクファイル社

ゴードン&マクファイル(以下G&M)社は、1895年に創業した、インディペンデントボトラーの雄です。その長い歴史のほとんどを、シングルモルトスコッチウイスキーのリリースに費やしてきた、まさにパイオニアと言える存在です。

上記のジャパンインポートシステムHPより引用

気になるフレーズを太文字にしましたが、このゴードン&マクファイル社はシングルモルトのパイオニアなのです!

もうちょっと詳しく見てみましょう!


■ゴードン&マクファイル社 コニサーズチョイス

再び、ジャッパンインポートシステムさんのHPからの引用です。

◇コニサーズチョイス

同社のその歴史の中で、やはり代表作と言えるのは、1968年にリリースされた「コニサーズチョイス」でしょう。それまでも、「シングルモルト」に重きをおいて、小売店舗で量り売りをしていましたが、このシリーズの誕生によって、日の目を見た蒸留所もありました。当時は家族経営されている蒸留所も多く、このリリースで初めて自分の蒸留所がラベルに印刷しているのを見、感動した方も多かったそう。

上記のジャパンインポートシステムHPより引用

1963年にウィリアム・グラント&サンズ社が、初めて瓶詰のシングルモルト・ウイスキー「グレンフィディック」を発売しました。

その5年後に、今度はいくつもの蒸溜所から原酒を購入している有力ボトラーのG&M社が「コニサーズチョイス(鑑定士の選択)」というシングルモルトを発売し、そのシングルモルトというウイスキータイプのすそ野を広げたのです!

ただ、G&M社のシングルモルト「推し」は、コニサーズチョイスに留まりません。


■ゴードン&マクファイル社 蒸留所ラベル

さらに、ジャッパンインポートシステムさんのHPからの引用です。

◇蒸溜所ラベル

「コニサーズチョイス」のラベルがG&M社のオリジナルデザインで統一されていたのに対し、数年後に誕生した「蒸留所ラベル」シリーズは、生産者である蒸留所から公式な許可を得たラベルを使っていることで、注目を集めました。そのいくつかは未だにリリースされ続け、蒸留所と同社の信頼の深さを表しています。

上記のジャパンインポートシステムHPより引用

ボトラーが「蒸溜所のラベル」を正式にOKをもらって、シングルモルトを発売するって、今では考えられないことですよね。

例えば、山崎の原酒樽を業者に売ったとして、その業者が「シングルモルト山崎」という名前だけでなく、そのロゴやラベルそのものも使っちゃうイメージです。
もはや自社蒸溜所のブランディングを、ボトラーにお願いしちゃう感じですね。

いずれにせよ、グレンフィディックにはじまったシングルモルトという世界観を、超有力ボトラーのG&M社が広げたわけです!!


■「静かなブーム」が「大きめムーブメント」へ!

グレンフィディックやG&M社によって、「シングルモルト」が静かなブームとなると、それをさらに大きなムーブメントへさらに加速させたが事例があるのです!

次回に続きます!

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