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なぜ、アメリカのアーリータイムズ・イエローラベルはバーボンじゃないの? 【日本人はハイスペックがお好きでしょ?編】《アーリー⑭》

■前回までのまとめ

・2021年6月、アサヒビールにより日本国内で販売されていたアーリータイムズ・イエローラベルが突如休売。(そのまま2022年6月、日本での取扱終了)
・なぜアサヒビールの取扱が終了してしまったのか?というと、商品の供給が追いついていないから。
・それは澱が発生した商品があって、その確認のため出荷を止めていたためと言われている。
・なぜ澱が発生したかというと、私チャーリーの推測では、「米国での製造元が変わり、製造工程が変わったから」であり、特に「ろ過工程が変わったのではないか?」。
・アーリータイムズの定番である「イエローラベル」は、実は日本限定のバーボン仕様であり、アメリカで販売されているものは「中古樽原酒」も使用しているのでバーボン仕様ではなく、ケンタッキー・ウイスキーとして販売している。
・そうなったのは、バーボン業界の低迷によりブランドを整理整頓し、「日本がアーリータイムズ・イエローラベルの販売戦略地域になったから」と、「日本人がハイスペック表示を好むから」だと、私チャーリーは考えている。

前回は「日本がアーリータイムズ・イエローラベルの販売戦略地域になったから」を解説したので、今回は「日本人はハイスペック表示を好むから」を解説します。


■チャーリーが考える2つの背景

繰り返しとなり恐縮ですが、なぜアメリカで販売されている「アーリータイムズ・イエローラベル」のスペックがバーボンでなくなってしまったのか?については、以下の2つの背景があるのではないかと思っていて、今回は②です。

①    バーボンブランドの整理整頓
背景:バーボン業界の低迷とブランド戦略

②    「表示スペック」と「商品選択基準」の文化的違い
背景:過度にスペック依存しない実利的な思考


■「表示スペック」と「商品選択基準」の文化的違い

ちょっと小難しい表現をしていますが、簡単に言うと、
「純粋に美味しければ、細かい製造スペックは別に良くね?」
という話です。

最近は、「モノ消費でなくコト消費が大切!」ということが言われ、販売するモノにも、その背景にストーリーを求められることが多いと思います。

これは、古今東西、世界共通ではあると思いますが、日本では特にその

・情緒的価値
・スペックとしてのレッテル

が重んじられる傾向にあると思います。


同じお酒業界で言えば、ビールの「生」の定義です。
これは、日本における定義は、生ビールの定義は「出荷容器への充填前後に熱殺菌されているかどうか」です。
(生=樽生=ドラフトビールの関係は、すごく複雑で、世界各国でも認識が異なったりもしているので、とても解説したいですが、話がズレすぎるので今回は泣く泣く割愛。)

日本では、なんとなく「生ビール」が

『良さげ!』  『やっぱり生!』

という感じです。

確かにそう思われるだけの歴史的な流れはあるものの、ビールの製造技術が進化した現在でも、深く考えずに
「生ビールは、熱処理ビールよりよりもの」
と思ってしまいがちです。

(製造技術の進化・嗜好の変化により、今は、サッポロ赤星ラガーや、キリンクラシックラガーパーフェクト・サントリー・ビールなど「熱処理ビール」も、人気が高まっています。このビールの酒質と火入れ(=熱処理)については、またいつか記事化したいと思います。)

一方で、欧米では、日本人の「生ビール信仰」とは異なり、そこまでビールに対して「スペックとしての生」にこだわりはありません。

イメージでいうと、朝採れ新鮮野菜があって、それを

・生のままサラダで食べるか
・温野菜で温めて食べるのか

 ⇒ 自分の好きな方で良くね?

といった感じしょうか?
(すみません。私、留学経験や海外駐在経験もないので、あくまで文献で読んだだけの知識です・・・)

生の方がランクが上、というわけでなく、実際食べてみて、自分が好きな方を選ぶ、という感覚です。

そのため、ビールについても、「非加熱」か「加熱処理済」かは、日本ほどは気にされていないようです。

そして、同じような感覚が、アーリータイムズ・イエローラベルの「アメリカ仕様」=「ケンタッキー・ウイスキー表示」にも、当てはまっているのではないかと思っています。

【日本】
バーボン表記でなければ、偽モノ・バーボンウイスキー!
バーボン表記がある方が、ケンタッキー・ウイスキー表記より絶対上!
※ 確かにスペック上はそう言えなくもないですが、味の好みは千差万別かと。

【アメリカ】
バーボン表記でなく中古樽原酒も使っていても、
美味しくて、コスパが高ければ良くね?


■こういうわけで

アーリータイムズ・イエローラベルは、

ホワイトレボリューション以降、
日本がアーリータイムズの戦略地域になった。

日本人は、ハイスペックを思わせるバーボン表記がお好き。

という理由から、日本限定の「バーボン仕様」の商品になったものと私は推測しています。

一方で、アメリカでは

低価格帯商品であるアーリータイムズの戦略地域でなかった。

中古樽原酒が入っていても、美味しければ良くね?

という理由と、何度も書いてきているように

バーボンの蒸溜所は原酒のつくり分けが得意

という製造文化的な特徴から、アメリカ独自の「ケンタッキー・ウイスキー仕様」の商品になったのではないかと思います。


■やっと

14話かけて、やっとアーリータイムズ・イエローラベルの説明を終えることができました!

次回は、いよいよ新発売アーリータイムズ・ホワイトラベルの解説です。
(自分で言うのもなんですけど、アーリーの記事、長くない?)

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