ライスウイスキーとは?《ライスウイスキー:前編》
■前回は日本酒の話でした
前回は「日本酒」からの、お酒づくりにおける『乳酸発酵』の話でした。
今回はその延長線上で、ライスウイスキーというものについてお話してみたいと思います。
■ライスウイスキーとは?
その名の通り、米を原材料に使ったウイスキーのことです。
現在、定番商品でライスウイスキーをつくっている大手メーカーはないと思います。
かつて、限定品的にサントリーや、キリンから発売されていたことがあります。
◇サントリーのライスウイスキー
THE ESSENCE of SUNTORY WHISKY サントリー
このライスウイスキーは、サントリー傘下の鹿児島の焼酎蔵:大隅酒造でつくった米を原料とした原酒でつくられています。
ちなみに、この「エッセンス・オブ・サントリー」のシリーズは、限定発売ですでに終売となっていますが、非常にチャレンジングな商品が多くて、そのスペックを見ているだけでもウイスキーマニア的には、とても面白いです。
◇キリンのライスウイスキー
■ライスウイスキーをあまり見かけないのはなぜ?
『穀物のお酒』というものは、もともとは「その地域で食糧として食べられていた穀物」を原材料として、農民がその余剰穀物から自家消費用のお酒をつくったことに始まるケースがほとんどです。
ヨーロッパにおけるビール(大麦を原料)にしても、日本におけるどぶろく(米を原料=これを絞れば清酒)にしても、農民が食糧用につくった穀物からお酒をつくったという流れは同じだと思います。
ウイスキーが誕生した「アイルランドorスコットランド」では、米文化でなく、寒冷地に強い大麦の文化だったので、大麦からお酒をつくるようになったのです。
当然と言えば当然の流れです。
■保存性を高めるために蒸溜
一般的に醸造酒は劣化しやすいです。
その対策として保存性をため、蒸溜をするようになります。
ざっくりは、こんな↓感じです!
■アメリカでも同じような話が
アメリカでは、スコットランドやアイルランドからの移民によって「お酒文化」が持ち込まれました。
移民が大西洋を渡って、まずたどり着いたのがアメリカ東海岸です。
そこは、ライ麦の生育に適した環境でした。
そのため、アメリカでは当初、ライ麦を原材料にしたライウイスキーがつくられました。
東海岸から、アパラチア山脈を越えて、徐々に西へ西へと移民は広がっていきました。
そうすると、その土地の環境に適した穀物は、ライ麦よりも、トウモロコシとなりました。
「気候が違うよ!」というお話です。
そして、ヴァージニア州やケンタッキー州らへんで
と、なって、アメリカのウイスキー文化は、当初のライウイスキーから、バーボンウイスキー(トウモロコシの比率が51%以上)へと移って行ったのです。
バーボンというのは地名で、この「トウモロコシがメインのウイスキー」が出荷されたオハイオ川のほとりの港町のことです。
これが語源という説が有力です。
これについては以前に記事にしています↓
バーボン/ブルボン/バドワイザー|チャーリー / ウイスキー日記
ちなみに、アメリカでは今は温故知新で、再びライウイスキーが脚光を浴びています。
■次回へ続きます!
ところで、ライスウイスキーと、米焼酎は何が違うのでしょうか?
次回へ続きます。