惜しまれつつ伝説の名店が閉店 [松山市]サントリーバー露口 〜伝説の角ハイボールとは〜
■2022年秋、残念なニュースが・・・
惜別 ハイボールの聖地 松山・バー「露口」閉店へ(愛媛)(愛媛新聞ONLINE) - Yahoo!ニュース
伝説の名店「サントリーバー露口」さんが、2022年9月末で64年の歴史に幕を閉じました。
私自身、7年間、松山市に住んでいましたので、良く飲みに行ったカウンターだけの約10席のお店です。
いつかはこの時が来ると覚悟はしていましたが、ついにその時が来てしまいました。
■バー露口さんの素晴らしいところ
それぞれについて解説してみたいと思います。
■露口さんの角ハイボール
露口さんには各種ウイスキーやカクテルがありますが、なんといっても名物なのは、露口貴雄マスターのつくる「角ハイボール」です。
この独特の「縦回転のステア」が、「露口さんの角ハイボール」の味を引き立てているのだと思います。
このステアの所作がとても美しく、うっとり見入ってしまうことも多いです。
そして、この角ハイボールを口にすると、小ぶりなグラスゆえの「濃さ」を感じさせない、円やかな味わいに驚きます。
ハイボールなのに「円やか」なのです!
■「角ハイボール」と「角瓶のソーダ割り」
そもそも、角ハイボールは「超炭酸」などのプロモーションもあり、
「炭酸が強さ=美味さ」
の相関関係があるように、語られることが多いです。
一般的には、それは正しいと思います。
今は角ジョッキで、「生ビールのようにグイッと飲む」シチュエーションが多いので、そのような「強炭酸による爽快さ」が好まれるからです。
しかし、露口さんの角ハイボールは違います。
「ウイスキーのソーダ割り」なのです。
「それがハイボールでしょ?」とツッコミが聞こえて来そうですが、解説させてください。
そもそもウイスキーは、2008年の「角ジョッキ」の登場まで、ビールのようにグイッと飲むお酒ではありませんでした。
ウイスキーは、本来、その香りや熟成感を、ゆったりと味わうお酒です。
したがって、グイッと飲む「ビール的」なものではなく、ゆっくりと味わう「ワイン的」な性格を持っています。
露口さんの『角ハイ』は「ワイン的」にその味わいを堪能するため、角瓶の味わいを引き出すべく「ソーダを加える」といった感じでしょうか?
そのため、角ジョッキの場合は「角瓶:ソーダ=1:4」「レモンは先入れ、軽搾り」が定番レシピですが、露口さんの角ハイは「濃いめ」で「レモン」は入っていません。
具体的には、小ぶりなタンブラーで、居酒屋の角ジョッキの「1:4」より濃い、ウイスキーそのものの味わいが良く感じられるアルコール度数で提供されます。
■濃いめの角ハイボール
露口さんでは「濃いめの角ハイボール」が名物と書きましたが、私たちがコンビニで見かける同様な商品に、
「角ハイボール缶 濃いめ(9%)」
があります。
実は、この「角ハイボール缶 濃いめ」は、その商品開発時に、サントリーの商品開発担当者が、露口さんを訪れ、マスターに試作品を試飲してもらい、意見をもらっていたそうです。
つまり、今、全国で流通する「角ハイボール缶 濃いめ」は、
「サントリーバー露口・監修」
ということになりますね!
■ハイボールを引き立てるアテ
露口さんにフードメニューはありません。
お酒のアテとして、チャーム(居酒屋業態でいうところのお通し)が提供されますが、露口さんのど定番は「ポップコーン」です。
このポップコーン、有名になりすぎて、地元のスーパーで「あのサントリーバー露口さんが使っている!」というPOPとともに販売されていることもあります。
ポップコーンの他には、たまに甘めの「ドライ・オレンジピール」が提供されることもあります。
ウイスキーとの相性が良さそうですね!
また、露口さんご夫妻は、とてもとてもお客様に愛されているので、お客様からの差し入れも多いです。
その差し入れがそのままチャームで提供されることもあります。
(ポップコーン+αって感じで提供されます。ちなみに、小さな四角いカゴに入れられたポップコーンは、減ってくると朝子さんが追加してくれます。)
朝子さんの
「あちらのお客様からの〇〇土産なんよー」
なんて言葉とともに出てくるのですが、差し入れをした方にとっても、悪い気はしませんよね?
■やっぱり
予想はしていましたが、やっぱり1回の記事では収まりませんでした・・・
というわけで、今回は「露口さんの素晴らしいところ」の「①角ハイボールの味わい」についてでした。
次回も引き続き「露口さんの素晴らしいところ」についてです!
それにしても、今夜の乾杯は角ハイで決まりですね!
ポップコーン、買ってこよっと。
※タイトル写真は、バー露口さんから徒歩5分くらいのところにある松山城です。