日本の2大「ビールメーカー」の起源 ボンドのコニシ!
■「ボンドのコニシ」と日本のウイスキー
前回の記事のおさらいです。
意外な関係! 「ボンドのコニシ」とウイスキー|チャーリー / ウイスキー日記|note
■「ボンドのコニシ」の沿革に気になる記載が・・・
え? アサヒビール??
■アサヒビールの沿革
アサヒグループホールディングスのHPから沿革を確認してみたいと思います。
歴史・沿革 | 企業情報 | アサヒグループホールディングス (asahigroup-holdings.com)
大阪麦酒の創業者:鳥井駒吉は和泉国(現在の大阪府西南部)で、1853年に生まれました。実家は、米穀商をしていた本家から分家した「造り酒屋」で、日本酒「春駒」をつくっていました。
そして、実家を継いだ駒吉は1879年には、堺の酒組合の初代総代を務めるほどの実業家でした。
ちなみに、サントリーの創業者は鳥井信治郎(現・大阪府中央区の両替商&米穀商をしていた商家の次男として1879年に誕生)であり
「鳥井姓」で、
「大阪府出身」で、
「実家が米穀商の流れを汲む」ので、
かなり似通っていますが、この両者には、親戚的なつながりはないようです。また、時代が四半世紀くらいずれていますので、接点もなかったと思われます。
さらに話は横道へ外れますが、大阪麦酒の吹田工場は、日本人で初めて本場ドイツ・ミュンヘンでブラウマイスターの称号を得た大阪麦酒の醸造技師:生田秀がプロデュースした工場で、当時、世界でも最新鋭のビール醸造所でした。この詳細も色々と記事化したいことがありますが、今回の本題でないので(そもそもウイスキーの話題でもないですが)、話を戻します。
■小西屋と大阪麦酒の年表をガッチャンコすると
いくつかの文献と、NETの情報を組み合わせると以下のような年表になります。
ちなみに、日本初のビール醸造所は、ユダヤ系のローゼンフェルトが、1869年に横浜で開業したジャパン・ブルワリーにはじまります(5年ほどで廃業)。
日本人経営者によるビール醸造所は、1872年、渋谷庄三郎が大阪・堂島で開業した「渋谷(シブタニ)ビール」が最初です(1891年撤退)。
今の大手ビールメーカーへと繋がる醸造所としては、1870年に横浜でスプリング・バレー・ブルワリーが開業(今のキリンビールへと繋がる)。
1878年には北海道に開拓使麦酒製造所(今のサッポロビールへと繋がる)が開業しています。
ただ、それぞれの醸造所で、明治期には運営母体が目まぐるしく変わっているので、現在へ直接繋がる経営法人が立ち上がった時を「創業年」とした場合、
話を戻して、ガッチャンコ年表をみると、1888年に小西屋が「アサヒ印ビール」の製造を止めて、1892年に大阪麦酒が「アサヒビール」を販売する間に、同じ大阪の酒類製造会社同士として「ブランド権の移管」的なやりとりがあった可能性が高いと思えます。
この「小西屋(小西儀介商店)のアサヒ印ビールが、大阪麦酒のアサヒビールへとつながっていく」という点は、ごくわずかな文献に簡素な一文で書いてあるのと、NET情報でわずに書いてある程度で、イマイチ真相がわかりません。
なので、かつて、コニシ株式会社のお客様相談センターに電話して「御社のHPにアサヒ印ビールと書いているが、それが今のアサヒビールになっていったというようなNET記事を見かけたが、それは本当か?」と聞いてみたことがあります。
(自分で言うのもナンですが、相当なマニアですね・・・)
電話口のお兄さんからは「はい、そうっスよ」という回答でした。
具体的なところ(ブランドの売却か? 製造設備も売却か? 製造スタッフも移籍か?)は、お聞きしませんでしたが、ビール業界の大局的な見地としては「小西屋→大阪麦酒」いう何らかの流れがあったようです。
■やっぱりすごいぞ! ボンドのコニシ
ボンドのコニシは、サントリー創業者の鳥井信治郎が、洋酒の修行した薬種問屋:小西儀介商店の現在の姿です。鳥井さんはその後、日本発の本格ウイスキーづくりへ参入します。
したがって、「ボンドコニシ=小西儀介商店」がなければ、日本のウイスキーの歴史は始まっていなかった、もしくは違う形となっていたことでしょう。
一方で、「ボンドコニシ=小西儀介商店」のアサヒ印ビールの撤退がなければ、その後、大阪麦酒から発売されるビールのブランド名も、違うものとなっていたことでしょう。
そして、ウイスキーづくりに参入した寿屋は、ビールつくりに本格参入すると同時に、社名をサントリーと変え、大手ビールメーカーの一角を担っています。
日本の「ウイスキー産業の歴史」に、そして日本の「2つの大手ビールメーカーの歴史」に大きな影響を与えた「ボンドのコニシ=小西儀介商店」。
小西儀介、只者ではありませんね。
そして、今回、コニシ株式会社の沿革を確認していたら、日本人なら「ボンド」と言えばすぐに頭に浮かぶ、あの「黄色いボトル」に「赤いキャップ」の『ボンド 木工用』が、2007年に立体商標を登録していることを知りました。
やっぱりすごいぞ! ボンドのコニシ!!