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新アーリータイムズ・ホワイトラベル、日本で世界先行発売をする心意気《アーリー⑯》

■前回のつづき

◇新しいアーリータイムズは何が違うの?

【旧】アーリータイムズ・イエローラベル
  ⇒ バーボン

【新】アーリータイムズ・ホワイトラベル
 ⇒ アメリカン・ブレンディッド・ウイスキー
   (それも、世界で日本先行発売!)


■アメリカン・ブレンディッド・ウイスキーって?

アメリカンウイスキーは、各分類が法的に厳密に規定されているので、法律上は色々なブレンドのパターンが考えられます。

ただ、一般的に「アメリカン・ブレンディッド・ウイスキー」という場合は、

【A】バーボンウイスキー原酒や、ライウイスキー原酒など
2年以上熟成原酒を20%以上
 +
【B】グレーンウイスキー原酒
(+スピリッツもOK)

をブレンドしたスペックが多いものと思われます。

《注記》
【A】には、バーボンウイスキーやライウイスキー以外にも、2年以上熟成させた「ホイートウイスキー」や「ライモルトウイスキー」でもOK。
(でも、そんなレア商品の原酒を使うケースは一般的にはあまりないかと)


■アメリカに、ブレンディッド・ウイスキー??

私も、今回のホワイトラベルの発売まで、アメリカでブレンディッドウイスキー(やグレーンウイスキー)をつくっている認識がほとんどなかったです。

私が、唯一知っていたアメリカン・ブレンディッド・ウイスキーといえばコレ。

◇シーグラム セブンクラウン
昔から人気のアメリカン・ブレンディッド・ウイスキー。

※ 正規輸入代理店のHPを見つけられないですが、
NETで検索すればすぐ見つかります!


ただ、アメリカン・ウイスキーに詳しい有識者の方に聞いたところ、アメリカでもグレーンウイスキーは一般的につくられていて、なんならブレンド用のグレーン原酒として、アメリカ以外へも輸出されているとのこと。

(まあ、バーボン自体が、大麦以外の穀物を原料に、連続蒸留してつくりますから、スコッチ的視点からすれば、グレーンウイスキーと言えなくもないわけではありますが。)


■《番外編》アメリカンウイスキーとグレーンウイスキー(グレーンスピリッツ)の歴史

私も今回調べていて知ったことで、アメリカでのグレーンウイスキーや、グレーンスピリッツの歴史について簡単にご紹介します。

連続式蒸機が普及しだした19世紀中頃、できの悪いウイスキー原酒を、連続式蒸溜機で再蒸留してリメイクしていたそうです。

これ、割とよくある裏技です。

以前に発売された台湾:カバラン蒸溜所のカバラン・ジントニック缶。
(Amazonを見たら、まだ売っているみたいですが。)

そこで使われたジンのベースとなるスピリッツは、ちょっと味わいに納得できなかった樽熟成中のウイスキーを再蒸溜したものだそうです。

そして、カバラン蒸溜所の親会社は金車グループという大手飲料メーカーなので、カクテルをつくるのはお手のものだと思います!

その後、禁酒法解禁直後第二次大戦直後に、ウイスキー原酒が枯渇した時には、連続式蒸溜機でつくったニュートラル・スピリッツを、ウイスキー原酒にブランド。

この即席ブレンディッドウイスキーをつくることで、大量の需要に対応していたそうです。

その後、バーボン原酒の供給が回復すると、アメリカン・ブレンディッド・ウイスキーの存在は薄くなりました。

《出典》
ブレンデッドウィスキー : バーボン、ストレート、ノーチェイサー (bloggeek.jp)

ただし、先ほどのシーグラム セブンクラウンのように、ちゃんとしたものは残るわけですが。


■さて、ホワイトラベルのお味は?

◇公式コメント
【明治屋】スーパーマーケット|明治屋NEWS|<世界初リリース 日本先行発売>『アーリー・タイムズ ホワイト』含む4ブランド計5SKUの出荷開始にて順次全国小売店・料飲店で発売 (meidi-ya.co.jp)

◇飲む前から想像できること
・ブレンディッドウイスキーであるから、バーボンより飲みやすいだろう。

・一般的なバーボンには、スパイシーさ・オイリーさを感じさせるもととなる「ライ麦」を結構な比率で使うが、その比率も減るので、比較的クセが少なそう。

◇飲んでみて
(すでに15話も記事を書いている私が悪いのですが、もはや、この記事を書くために買ったホワイトラベルは、ボトルに残り1㎝ほどしか残っていないです・・・)

一番思ったのは、ボトルの開けたてよりも、開栓をして置いておくと、香りが穏やかになり、公式コメントのようなニュアンスに近くなるということ。
逆に開けたては、ツーン(キーン!?)という香りを、私は感じました。

◇ブレンド・スペック
公式には開示されていないで、
・バーボン原酒
・ライウイスキー原酒
・グレーンウイスキー原酒
・スピリッツetc.
が、どのようなブレンドになっているかは不明。


■なぜ、サゼラック社はホワイトラベルを、アメリカン・ブレンディッド・ウイスキーで発売したのか?

ここからは、私の勝手な推測です。

・日本はアーリーにとって「売上規模」「歴史」「知名度」があるマーケット。

・でも自社として、日本で売りたいバーボンはバッファロートレースがすでにある。それはすでにセミプレミアム価格帯で売っているので、より低単価帯の商品を新規投入して、同じバーボン商品内で購入単価を下げる必要はない。

・自社でバーボンブランドはいっぱい持っているので、これ以上のバーボンブランドは不要である。新しく「低価格帯」「飲みやすい」『アメリカン・ブレンディッド・ウイスキー』というものを世界に問うてみたい。

・ただ、どこの馬の骨ともわからぬ「新ブランド」の「アメリカン・ブレンディッド・ウイスキー」なら、最初はムチャクチャ苦戦するだろう。

・であれば、「アーリータイムズ」の知名度があり、ハイボールブームが続く日本で、すっきり系の味わいのアメリカン・ブレンディッド・ウイスキー『アーリータイムズ・ホワイトラベル』を発売してみよう!

・そして、日本でうまくいったら、これを世界に展開しよう!

こういう流れではないでしょうか?


■最後に

商品スペックが、アメリカンウイスキーとなり、往年のアーリータイムズ・ファンの方には、寂しい想いがあると思います。

ただ、アーリータイムズ・ホワイトラベルは、新しいブランドオーナー:サゼラック社のもと、ここ日本を大切なマーケットだと思うからこそ、世界戦略商品を「世界初」で投入したのはないでしょうか?

個人的には、イエローラベルやブラウンラベルの復活発売は、可能性が低いと思っています。
ただ、サゼラック社がしがらみなの少ない日本で、新しいチャレンジを始めたからこそ、今後はもっと「あっ」と驚く、チャレンジングな商品が、テストマーケティングとして日本に新規投入されるかも知れませんね。

例えば 《チャーリー的妄想》
・セカンドフィル、サードフィルという中古樽原酒だけをつかったSDG‘S的アメリカン・ウイスキー

・ワインのウッドチップの技法を応用して、焦がしたウッドチップをガンガン詰め込んだ樽で熟成させたタンニンMAXのアメリカン・ウイスキー(今もインナーステイプはありますが、それよりも強く木材の成分が溶け込むかと)

アリメカ発のワールド・ブレンディッド・ウイスキー  など

いずれにせよ、今後の新アーリータイムズの展開に期待したいと思います!

アーリータイムズの話、やっと終わったぁー。

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