ヤツは本物の酒を持って来る、本物の漢(おとこ)だ! マッコイ船長 《カティサーク④》
■「リアル・マッコイ」って聞いたことありますか?
聞いたことあるような、ないような?という感じではないでしょうか?
私は最初、「リアル・マッコリ」かと思って、韓国のマッコリのムチャクチャ高級品とか、そんな感じのものを、勝手に思い描いていました。
マッコイとは、アメリカ禁酒法時代(1920年~1933年)に活躍したアメリカの船長さんのお名前です。
で、このマッコイさん船長で、何で活躍したかと言うと「お酒の密輸」です。
アメリカ禁酒法の時代、「飲みてー!!」というお酒へのとっても強い需要がアメリカ国内にありましたから、お酒の密造や密輸が超横行しました。
で、『密輸選手権:船の部門』の有名度No.1がマッコイ船長だったのです!
■密輸入酒と粗悪品
この時代、密輸入されるお酒には、粗悪なものも非常に多くありました。
この時に「粗悪なお酒」の汚名を着せられて、禁酒法の撤廃後も、しばらくはそのブランド力が低下したまま売上を回復できなかった商品も、少なくありません。
有名なのが、
です。
本当に、キャンベルタウン・モルトや、アイリッシュ・ウイスキーのつくり手が、手を抜いたものをつくっていたのか、はたまたそれらが有名でブランド力があったので、つくり手でなく、密造者やブローカーがそれを勝手に名乗っていたのかは、はっきりしない部分があります。
ただ、
この2つはともに、禁酒法時代に「まずい!」と汚名を着せられて、禁酒法撤廃後も、そのブランド回復にかなりの時間を要しました。
汚名を着せられるという意味では、もともとその街に名医がいて、そこ出身だという偽物・名医が横行してしまい、ブランド力を落としてしまった「養父のお医者さん」=「藪医者」と同じような話だと思います!
(藪医者の語源は諸説あるみたいですが)
藪医者 - Wikipedia
いずれにせよ、ブランド力・情報発信・噂、というものは、つくづく重要なのだと痛感しますね。
■ブランド力を築き上げたマッコイ船長
お酒の密輸をしていたマッコイ船長ですが、彼を有名にすることになった密輸品が、1923年にアメリカをターゲットに新発売された、あっさりライト系スコッチ・カティサークでした。
密輸行為をする船長の中には、怪しい粗悪品をギャングに売りつける人も多かった中で、マッコイ船長は、BBR社の正真正銘のカティサークを、しっかりと、そしてコッソリとギャングへ運び続けます。
ということで、「本物のマッコイ」=「リアル・マッコイ」と呼ばれるようになったそうです。
現在も、「リアル・マッコイ=the real McCoy」とは、「正真正銘の本物」という意味のイディオムとなっています。
(このリアル・マッコイの語源もいくつかの説があるようなので、マッコイ船長のその諸説の中の1つということだと思います!)
https://koala-times.com/the-real-mccoy
世界のウイスキー、100人のレジェンド その3【全4回】 | WHISKY Magazine Japan
■禁酒法撤廃80年記念
アメリカ禁酒法が撤廃されたのが、1933年です。
その80年後にあたる2013年に、このマッコイ船長へのリスペクトも含め、発売されたのが、カティサーク・プロヒビション(プロヒビションとは禁酒法の意味)です!
カティサークは、一般的なスコッチが行っているカラーリングを行っていないナチュラルカラーが売りの1つですが、その中でもこのプロヒビションは、冷却ろ過を行わない「ノンチルフィルタリング」となっています。
そして、加水は最小限のAlc.50%。
このスペックだけで、ウイスキー愛好家は、グっときますね!
そして味わいも、スパイシーで濃厚。
シェリー樽由来の熟したフレーバーを感じる、コクと飲みごたえのある商品です。
カティサークを学ぶ!味や種類、おすすめの飲み方 (barrel365.com)
東京ウイスキー&スピリッツコンペティション-TWSC (tokyowhiskyspiritscompetition.jp)
このプロヒビションの発売にあわせて、あらためてリアル・マッコイの逸話も紹介されたそうです。
■禁酒法下で持ち込まれたお酒
ビールはアルコール度数も低くてかさばりますから、密輸されるお酒は「ラム」「ウイスキー」などの蒸溜酒が多かったそうです。
そして、
が、好まれたようです。
次回は、これらのラムやウイスキーの禁酒法下のアメリカへの密輸の逸話について、ご紹介したいと思います!
(そして、4回に渡りましたカティサークのお話は一旦終了です!)
※タイトル写真は、ウィリアム・フレデリック・“ビル”・マッコイ船長です。
(以下のWikipediaより画像を引用。)
Rum-running - Wikipedia