シャボン玉とニュートン
日経文化欄で連載していた「アートが映す科学」の8回目で、ペラジオ・パラージが描いた「ニュートンによる反射の発見」という絵を紹介している。
ニュートンは、ある日シャボン玉を見て光の反射について考察を始めたと言われる。パラージが描くのは、子供が膨らませて遊ぶシャボン玉を見て科学者が気付く場面だが、実際にこんな場面だったのかは定かでない。ただ、ニュートンが自らの手で窓からシャボン玉を飛ばしているところはしばしば目撃されている。彼はそこでシャボン玉の表面の紋様が七色になっているのを見て、プリズムによって光が7色に分かれる原理を理論化したとのこと。さすが知の巨人。凡人とはシャボン玉の見方も違う。
この記事を読んで2つのことが気になったので少し書きます。
1つは当時の学問の広がりです。ニュートンは主に17世紀に活躍したイギリスの学者です。この「光学」についての理論は1704年に刊行されています。イタリアのパラージがこの絵を描いたのは1827年らしいです。(この絵はイタリアの美術館所蔵)パラージという人がどうしてニュートンの説を知っていたのか良くわからないのですが、この一般的とは思われない理論が、100年ちょっとでイタリアまで広がっていたということは確かです。(もちろんパラージが特別先進的な人という可能性もありますが。)つまり当時のヨーロッパにはその様な学問的交流があったということです。日本が江戸時代であったことを考えると、進んでいます。
もう一つは誰が何のためにこの絵を描かせたのかという疑問。ニュートンの功績を称えるという発想があったのか?それとも上流階級の教育的意味だったのか?いずれにしてもニュートンの理論が広く大衆まで知れ渡っていたとは考え難いので誰か特定のスポンサーがいたのではと思います。
以上素朴な疑問ですが、もし機会があったら調べてみたいです。この記事はそれまでの備忘です。