大企業でイノベーションを推進する方法(その3)
前回の記事では、「社内」のイノベーションについて、「課題」をどのように見つけ、解決すべき課題を絞り込む方法を解説した。今回はどのように解決策に繋げていくか記載したい。
1. 前回のおさらい
イノベーションとは、革新的なサービスやプロダクトを作ることではない。それはあくまでも結果であり、イノベーションを起こす為には、「解決策」よりも「課題」を上手く捉えることが重要である。イノベーションの目的は「課題を解決すること」と理解しよう。課題をいくつかリストアップしたら、対応するべき最も重要な課題をひとつに絞り込む。但し、半年~1年間で達成できるものを選択する。
2. 解決策を考える
対応するべき課題が決まったら、どのようにそれを解決するか知恵を絞る。このとき、エンジニアやデザイナーを入れて議論することが重要。課題を抱えている部署の人は、社内の「顧客」であり、「課題」については語れるが、「解決策」については知らない。何も作ったことがないような人間が、アイデアベースで議論しても具体化することは難しい。サービスなりプロダクトを作れる人、技術者が入れなければ、イノベーションは期待できない。エンジニアはモノづくりのプロ。デザイナーは最適なUI/UXについて知恵を出せる。この二種類のタレントを入れることが重要。
「エンジニア」と「デザイナー」を入れて議論しよう
議論において最も重要なことは、どんなに馬鹿げたアイデアも否定しないということ。とにかく何でもいいからできるだけアイデアを出し、一番馬鹿げたアイデア出した人が賞賛されるような環境を作ること。みんなが気づかなかったようなアイデアこそが、イノベーションの源泉になるのだから。
「馬鹿げたアイデア」 = 「イノベーションの源泉」
アイデア出しを行ったら、具体的にどのように解決策にするか、アイデアを絞り込んでいく。ここでも、大事なことは時間軸を意識すること。膨大なコストをかけ、数年間かかるようなプロジェクトはやめておく。とにかく、半年間で何かしらの成果が出せそうな解決策に注力することが重要。
いつまでに何を達成するか明確にし、アイデアを絞り込む
3. MVPで試してみる
MVPとはMinimum Viable Productの略で、最小限のコストや仕様で作るプロダクト・サービスのこと。最小限のコストと時間で、何かを作り、まずは課題解決に繋がるか試してみる。壮大なプロジェクトで作ったものが、全く使い物にならなかったら、時間とコストの無駄になる。とにかく、課題を解決する上で、必要最小限の仕様で試してみること。何も作らなくたってよい。将来的にシステムで解決しようとしていることを、まずは手作業で誰かがやってみて、どのような効果があるか見ればよいだけ。最初から完璧を求めず、とにかく最小限の仕様で試すこと。
本当に最小限の仕様(MVP)で、試してみる。
MVPを作ったら、実際に試してみる。社内のユーザーにテストをして見て、感想を聞く。どのように解決できたか、使いにくいことはあるか、新たな課題はあるか。ユーザーの声を拾う。忌憚のない意見を聞き、プロダクトの改善に役立てることが重要。
ユーザーテストで、プロダクトを改善していく
次回に続く
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