「世界平和」と紙に書いて涙した中坊の話
「海外は旅しないの?」とよく聞かれることがある。
確かに、あれだけ日本をふらふらと旅していたら、
「次は海外を旅するぜー!」とか言いそうだけど
僕は海外にはまだ行かない。時が来たら行くかもしれないけど
まだ封印してる。
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小学4年生でなりたい職業が二つあった。
「学校の先生になること」「消防士になること」
自分の気持ち的には子どもながらに子どもと遊ぶのが好きだったので、
先生になりたかった。
でもその頃の自分は人前で話すのも、
人の前に立ってリーダーシップを発揮することも苦手だったので
先生になることを早々にあきらめて消防士になることを目指した。
そして中学3年生のころ、また目指すものが変わりそうになっているとき
朝、家族でめざましテレビを見ていると、画面の向こう側で戦争が繰り広げられていた。
アフガニスタンとイラクの戦争の映像。
鳴り響く銃声、子どもの泣き声、人と人との殺し合い。衝撃的だった。
何で戦争は起こっていて、それが終わらないんだろう?
自分は今、日本に生まれたっていうだけで、肌寒い朝にめざましテレビを見てパンを食べながら家族と談笑している。学校も行っていて、友達もいる。勉強もスポーツも好きなこともすることができているのに
なぜ画面の向こう側では、その国に生まれたっていうだけで辛く、悲しい思いをしないといけないのだろう。
その差がやけに不平等に思えて悲しくなった。
世界を平和にしたい!
そう思った。完全に中二病。でもその時は割と本気だった。
自分なりに戦争について調べたり、平和になるにはどうすればいいか考えてた。国連に入りたいとも思ったり、青年海外協力隊にもあこがれた。
あるとき、政治とか経済とか銃とかにやけに詳しい同じ部活の友達を近くの河原に呼んで聞いてみた。
「何で世界から戦争が終わらんのんかね?俺世界を平和にしたいと思うんじゃけど!」
すると友達は「戦争を止めるには政治とか経済とか宗教とか国の成り立ちとか、世界のいろんなことを勉強せんといけん。それで今世界のいろんなことを勉強した賢い人たちがたくさん集まって平和にしようとしとるけど、それでもなってないけー相当厳しいかもね。」と。(大人すぎ!)
自分の人生全部を使っても一つの国を平和にできたらすごいけどそれじゃ人生足りない。だから世界平和は限りなく不可能に近い。
今まで感じたことのない無力感。
暗くなって家に帰っておもむろにA4用紙に筆ペンで「世界平和」と書いた。それを書きながら泣いた。
それを見ていた母親が
「すぐに世界平和は難しいかもしれんけど、あんたが好きなこととか得意なことで自分の周りの人を少しずつ幸せにしていったら、いつか世界は平和になるかもね。」という言葉をくれた。
そしたら自分の好きなことは子どもたちと関わることだし、先生になって少しでも周りの人、幸せにしていこう。海外に行って戦争にかかわる光景を見たら、また無力感に襲われるから、海外は封印している。
今、周りの人を少しでも幸せにできているかなぁ。
あのときの理想に燃えていた中二病の自分に恥じないように頑張ってこ。